高校時代「憧れの雑誌」に掲載された思い出がバッチリと黒歴史になった話

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意外といいかげんだった出版社の内実

僕の前には、30枚ほどのハガキを手にもってトランプのように広げる先輩がいる。


「おい、早く引けよ」。


そう急かされた僕はババ抜きのように1枚のハガキを引き抜く。


「おし、今週のプレゼント当選者はこいつで決まりだ」。


そういって先輩は残ったハガキをデスクの引き出しに放り込んだ。


個人情報の保護は大丈夫なのだろうか。


当時、入社して間もなかった僕は、これらの一連のやり取りに「ずいぶんいいかげんなものだな」と何だかがっかりした思い出がある。


僕が零細出版社に入社したのは、もう15年近く前だ。


たまたま入社した会社の規律が緩んでいただけなのかもしれないが、社内では冒頭のようなやりかたで雑誌の読者プレゼントの当選者を決めることがあった。


また、僕と同時期に別の出版社に入社した同級生の女の子はこんなことを言っていた。


「男の子向けの雑誌の企画で『女子の本音 大アンケート』みたいな記事あるじゃない?あの手のアンケートの結果ってだいたい適当だし、結果の横でコメントしてる女の子は編集部員だったりするのよね」


これまたずいぶんといいかげんな話だし、まったく夢がないと思ったものである。


もちろん、まともな編集部もたくさんあっただろうが、15年ほど前の出版社には、いい加減な仕事をしている編集部もそれなりにあった。
少なくとも僕の周囲には、そんな編集部が実在したのである。

「カリスマ高校生ブーム」を生んだ雑誌に同級生が登場

話はさらにさかのぼって今から20年ほど前。
僕が高校生だった頃、とあるストリート系ファッション雑誌が流行っていた。


この雑誌に登場したモデルの一人が誌面で紹介した、ある高校の指定バッグにはプレミアがついた。それぐらい読者である高校生から圧倒的な支持を集めていたのである。


ちなみに僕が通っていた高校の中等部で売られていた指定バックもそれなりに人気があったので内部進学してきた連中は後輩に買わせて高額で転売したりしていた。


また、この雑誌には繁華街で撮影された高校生のファッションスナップを掲載するコーナーがあり、そこに載ることは、一種のステータスとなっていた。
このファッションスナップに掲載されると、合コンなどでも人気を集めることができるのだ。


埼玉の片田舎で部活に精を出していた僕には無縁の世界ではあったが、それでもクラスのチャラ男クラスタから、雑誌が回ってくることがあった。


時に「隣のクラスの●●が載ったらしい」などという話も聞き、実際に見てみると、廊下で見かけたことのある人物が掲載されていた。そいつのイキリきった表情の顔写真の横には、「グッチのセーターはグレーがベスト」などというよくわからないセリフがあしらわれていた。


当時は、いわゆる「キレイめ」のファッションが流行っていたので、それを踏まえたセリフなのだが今考えると、なんだか恥ずかしい発言だと思う。


そんな雑誌に中学の同級生だったX君が載ったらしいという噂は、僕らの間でも絶大なインパクトがあった。
X君は確かにイケメンであり、なおかつ名門校に進学していたので、そうした雑誌に掲載されるだけのバリューがあった。


その頃、中学の同級生と会えば、必ず「Xが雑誌に載ったの知ってる?」という話になり、X君本人も照れてはいたものの、まんざらでもなさそうなリアクションをしていたことを覚えている。

若かりし頃の思い出はだいたい黒歴史化する

当時は周囲やX君本人もポジティブにとらえていた雑誌への掲載であったが、10年ほど経つとまったく異なる解釈をされるようになった。


キメ顔で「今度はパーマをかけたいな」などというセリフを吐く若かりし頃の自分にX君は耐えられなくなったのである。そして、これ以上ないほど、読者に対してイキっていた過去の自分が恥ずかしいと思うようになったのだ。


大人になったX君がそう感じるのであれば、当然周囲も同じような思いをいだく。
そのため、同窓会などで、このエピソードは鉄板のネタになった。


今では30歳を超えたX君は飲み会で嘆く。
「あんなセリフ言ってないから。パーマかけたいとか思ったことないし」と。
それでも周囲はイジる。「本当はパーマかけたかったんでしょ?」「今からでも遅くないよ」と。


ところで、X君は本当に「今度はパーマをかけたいな」などと言ったのだろうか。


僕は自身の出版社勤務時代の経験から知っている。
X君は本当にそんなこと言ってないかもしれない。
編集部がかってにコメントを付けたのかもしれない。
事実はわからないけれど、X君のコメントが捏造された可能性はそれなりにある。


だから、X君には同情するのだが、それでも彼はうかつだったことは否めない。


時がたつと、若いころの出来事は明確な失敗でなくとも恥ずかしく感じるものだ。
雑誌だった僕らの時代はまだマシかもしれない。
永遠にネットに残り続けることになるかもしれないことを思えば、今の若者は何らかのメディアに露出する時にはよく考えたほうがいい。


少なくとも原稿を事前に見せてもらえるようにお願いした上で、念入りに確認したほうがよいだろう。


今は誇らしくとも後に黒歴史化するかもしれないのだから。


著者:永田 正行
大学卒業後、零細出版社に広告営業マンとして勤務。
その後、会報誌の編集者を経てネットメディアの編集記者となり、政治家や大学教授へのインタビューを多数手掛ける。現在も某ネットメディアに勤務中。
好きな言葉は「ミラクル元年 奇跡を呼んで」の西武ライオンズファン。
Twitter:https://twitter.com/jake85elwood

<Photo:Toa Heftiba>


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