カッコつけない「できる上司」は自己一致できている

働き方
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偉ぶって指示を出すのに、的を射ていない上司には大いに悩まされるものです。その一方で、さりげないサポートに徹して素晴らしい実績を挙げる上司も、世の中には存在します。

この管理職としての能力の差は、どこから生まれるのでしょうか。

今回は、私が出会った人たちの振る舞いやエピソードを元に、心理学のメソッドと絡めつつ、「固定概念や常識で決めつけない重要性」をお伝えします。

できる上司ほどジャッジしない理由

私のビジネスパーソンとしての初めての配属先は営業部でした。営業職に配属をされると、必然的に営業成績を見ることになります。

しかし、初めて営業を経験する自分にとって営業は未知の世界。どのように提案をしたらお客様が耳を傾けてくれるのか、必要性を感じて興味を持ってくれるのかが掴めず、営業職に配属されたばかりの頃はほとんど数字が上がりませんでした

当時の上司は「努力不足だ」「仕事ができないならもっと頑張れ」と形ばかりの指示を出すばかりで、できないのは単に努力不足と片付けるのです。指示通りにやって数字が上がらずとも、上司からは努力が足りないという評価で終わります。

別の上司は「これをすればいい」「これを使いなさい」と具体的な指示はありましたが、結果については無頓着でした。上がらない数字について叱責されることはないものの、これでは数字が伸びません。

そのようなときに、新たに配属になった上司の話です。

この上司は、「何に困っているのか」を丁寧にヒアリングし、問題解決に同じ目線で取り組む努力を惜しみませんでした。

先入観で「数字が取れないのは努力不足だ」と決めつけず、「純粋性」をもって接していました。

純粋性は「カウンセリングのお話」の中で「ありのままで相手とつきあえるだけの純粋さや自由さ、自然さを持っていること」(*1)と語られています。

「上司だからしっかりしなきゃいけない」

「上司として弱いところを見せないために、きつくてもいいから強い態度を取らなきゃいけない」

などのような思い込みと、その上司は無縁であったと言えるでしょう。

だからこそ私も心を開いて、一緒に仕事をしていきたいと思えたのです。

仕事ができる上司は、自分の価値観に囚われて現実を評価しません。

「頑張っているけれど、数字が上がらずに悩んでいるんだね」

「言われたことをやっているけれど現状が変わらずに困っているんだね」

と、部下の話をありのままに聴き、問題の所在を明らかにしようとしていたのです。これまでの上司が部下の話を先入観を持ってジャッチする様子とは雲泥の差でした。

この振る舞いができるのは、その方が自己一致しているからでしょう。「産業カウンセリング」によると、「感情と行動が一致し、感情と行動に矛盾がない状態」(*4)を自己一致と記されています。

新しい上司は「しっかりしなきゃいけない」という見栄(感情)がなく、「チーム全体として数字をあげること」にフォーカスを当て、「どうサポートしたらいいんだろう」と考え、行動してくれていました。

そして「きっと大丈夫」と本気で心から思ってくれているのが伝わるような温かな口調で何度も励ましてくれました。おかげでモチベーションを保つことができ、数か月後には支店で1位の営業数字を挙げられるまでになったのです。

その上司が行ってくれたのは「4つの社会的支援法」のうち、「心理社会的な支援」であり、当時の私が必要としていたものでした。

「こころの予防医学」によると「1つ目が、経済的な支援。2つ目が道具的な支援。3つ目が心理社会的な支援。4つ目が情報的な支援」(*3)と4つの社会的な支援があると記されています。

これまでの上司が行っていたのは情報的な支援法で「どうやったらアポイントが取れるのか」「どうしたら数字が上がるのか」を経験則でアドバイス、指示するものでした。

そのようなアドバイスも大切です。しかし、初めての営業に対して自信がなく、不安いっぱいだった私にとっては「大丈夫」と励ましてもらえたり、寄り添って相談に乗ってもらえたりなどの心理社会的な支援をしてもらうことの方が重要だったように思います。

励ましによって「自分も大丈夫かもしれない」という自己肯定感の高まりを受けて、自信に通じ、営業数字が上がり、営業成績が1位になったのですから。

のちに知ることになりましたが、何の変哲もない「いい人」にしか見えなかったその上司。月商100万円超えも少ない社内で、実際には月商500万円越えの実績のあるエリート営業マンだったのです。

自らもトップセールスマンの経験があり、情報的な支援だけでなく心理社会的な支援も必要だということを肌感覚で知っていたため、敢えて自分の考えを伝えて「こうした方がいい」と助言するよりも励ますという行動を選択したのでしょう。

本当に仕事ができるいいオトコは、先入観で決めつけて意見を押し付けるのではなく、自己一致しているからこそ状況に合わせた対応を部下にとってあげられるのです。

年商3億の社長のだれからも学ぶ姿勢

もう1人のビジネスパーソンを紹介します。見た目は普通の30代の若手男子。これと言って特徴はなく、ぎらぎらとした溢れる自信や装飾品による自己顕示欲もない一般的なスーツスタイルの男性です。むしろ振る舞いからは実年齢よりも幼く見えるほどでした。

けれども実際は30代にして会社を興し、年商3億円で恵比寿駅から駅チカな場所にオフィスを構えていたほどの実力者。仕事のできるビジネスパーソンと言えるでしょう。

しかし彼は、その実績を見せつけることはなく、考えを押し付けることもありません。つねにフラットさを持っていました。むしろ自分の知らない知識や経験を知っている人に出会うと、その相手が自分より若かったり、自分の教え子であったりしても「それすごいね」「教えて」などと学ぶ姿勢を持っていました。

この振る舞いができるのは、その方が自己一致しているからでしょう。「産業カウンセリング」によると、「感情と行動が一致し、感情と行動に矛盾がない状態」(*4)を自己一致と記されています。

指示が多く、自身の考えを押し付ける人は「できる人に見せたい」「かっこいい自分だけを見せたい」との思いから、自分の行動や感情に蓋をしている節があります。結果的に、本当の自分と魅せている自分との間に隔たりができ、自分を苦しめます。自己不一致の状態です。

けれども、自己一致している状態は自分の中で負担が少ない状態です。等身大の自分を受け入れ、自然体の自分の価値が認められいるからこそ、出会う人に対してもカッコつけて指示を出したりする必要もないのです。素晴らしいビジネス上の実績を作っているのに、自慢や決めつける発言が無いのも彼にとっては当たり前のことなのです。

まとめ

仕事をしていると、偉そうに指示だけ出していたり、決めつける発言をしたりする上司に出くわすこともあります。しかし本当に仕事のできるビジネスパーソンは、自己一致できているので、かっこつけて偉そうにふるまったり、決めつけて優位に立ったりする必要もないのです。

固定概念をもたずに、感情と思考を合致させた行動を選び取り、できるオトコとしてかっこいいふるまいをしていきましょう。


引用文献

*1共感的理解 平木典子「カウンセリングの話」p171 4-12行、朝日新聞出版

*2純粋性 平木典子「カウンセリングの話」p175 12-14行、朝日新聞出版

*3社会的支援 田倉怜美「こころの予防医学 偽りの仮面を投げ捨てて自分らしく生きる方法」p128 4-7行、ギャラクシーブックス

*4自己一致 社団法人日本産業カウンセラー協会「産業カウンセリング」P63 6-7行、学芸社


『不二夫のフレグラン』


ーーーにおいで遠ざかり、匂いが近づけた。一組の家族の物語。


【あらすじ】
気がついたら、離れていた。とある家族の物語。
今日は妻と映画を観よう。急いで帰宅した矢先に、妻とママ友の立ち話を耳にする不二夫。 「うちの夫も最近加齢臭が……」
ショックを受け一人ソファで寝ていると、追い打ちをかけるように娘が家出してしまう。
不二夫は娘を見つけ出し、家族との距離を縮めることができるだろうか……

第1話~7話 絶賛公開中!
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不二夫のフレグラン
気がついたら、離れていた。とある家族の物語。今日は妻と映画を観よう。急いで帰宅した矢先に、妻とママ友の立ち話を耳にする不二夫。「うちの夫も最近加齢臭が……」ショックを受け一人ソファで寝ていると、追い打ちをかけるように娘が家出してしまう。不二夫は娘を見つけ出し、家族との距離を縮めることができるだろうか……




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