日本の美容、フランス語メディアはどう報じてる?

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。


「パリジェンヌのスタイルキープ法!」

「フランス式洗顔法!」

美容について、フランスをお手本にするような記事を、きっとあなたもご覧になったことがあるのではないでしょうか。

確かにおしゃれなイメージです。

シャネルにラデュレにビオデルマ、花の都のおパリから、マドモアゼルがボンジュール。「マリ・クレール」や「エル・ジャポン」など、フランスのモードを知る日本語メディアもたくさんありますね。

では、逆の発想をしてみましょう。

フランス語メディアは、日本の美容をどう紹介しているのか?


さっそく、5つの実例を見ていきたいと思います!

●La Presse「日本の美容はミルフィーユ」

(画像:La presseスクリーンショットhttps://www.lapresse.ca/vivre/mode/beaute/201309/05/01-4686414-soins-de-la-peau-rituels-japonais.php

乳液で汚れを浮かせ、拭き取り化粧水でオフする、フランス式「水で洗わない洗顔」。

アヴェンヌ・ビオデルマ・ラロッシュポゼなどのフランスコスメで、この美容法を試したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

面白いことに、フランス語では、逆に「日本式のめちゃめちゃ洗うダブル洗顔」が紹介されています。

“les Japonaises se tapoteraient le visage cent fois par nettoyage…”

“日本人女性は一度の洗顔で100回のフェイシャルタッピングマッサージをするといわれる……”

(lapresse.caよりhttps://www.lapresse.ca/vivre/mode/beaute/201309/05/01-4686414-soins-de-la-peau-rituels-japonais.php

日本式洗顔として紹介されているのは、オイルクレンジング→泡洗顔→化粧水→美容液→アイクリーム→保湿クリーム→リップクリームの7ステップ。

この日本式洗顔はフランス語で「Layering」と名付けられ、基礎化粧品を重ね付けすることから「ミルフィーユのよう」と言われています。

2013年には「Layering 日本人女性の美の秘密」という書籍が刊行されており、緑茶・米粉・ごま油・こんにゃくスポンジといった、食材を使った美容法も紹介されています(出版社公式サイトはこちらhttps://www.laplage.fr/catalogue/layering-elodie-joy-jaubert/)。

Grazia「しゅわしゅわのひみつ、炭酸洗顔」

(画像:Graziaスクリーンショットhttps://www.grazia.fr/beaute/tendances-beaute/astuce-beaute-japonaise-eau-petillante-902471)

毎回毎回ミルフィーユ塗ってられまへんがなということで、「GRAZIA(グラツィア)」が2018年に紹介したのが、炭酸洗顔。

“les Japonaises détenaient un secret bien gardé et qui a un tout petit prix”

“日本人女性は秘密のプチプラ美容法を大切に隠している”

なになに? って読んでみると、「洗顔時のお水を無糖炭酸水にするだけ」「洗面器に炭酸水を張って10秒くらい顔をつけるのでもいい」ってお話です。

確かに日本、炭酸マスクとか炭酸ヘッドスパもあるし、しゅわしゅわで好き。

ELLE「目指せ、mochi skin !」

(画像:ELLEスクリーンショットhttp://www.elle.fr/Beaute/Soins/Astuces/Voila-les-secrets-adoptes-par-les-gourous-Japonais-pour-une-peau-parfaite-3628673

こちらは2018年の「ELLE(エル)」の記事。

「日本の導師たちからパーフェクト肌の秘訣を学ぼう」「日の出ずる国に輝く鉱脈」「代々受けつがれる美の儀式……」みたいな文章で盛り上げたあと、これです。

“Voici toutes les astuces pour obtenir la « mochi skin »”

“もちスキンになろう”

も、mochi skin……。確かに「もち肌」って言うけど、「もちスキン」って言われるとパワーワード感すごい。

内容はやはり「Layering」や、「米ぬかと真珠粉を使った芸者式の角質ケア」、こんにゃくスポンジ、フェイシャルマッサージなどでした。

COSMOPOLITAN「緑茶を飲んで、あずきでゴマージュ」

(画像:COSMOPOLITANスクリーンショットhttps://www.cosmopolitan.fr/secrets-beaute-des-japonaises-pour-une-peau-parfaite,1995310.asp

もちスキンに続き、日本食の食材にインスパイアされた美容法が続きます。

「COSMOPOLITAN」が紹介するのは、あずきピュレを使ったゴマージュ、緑茶を飲むことによる抗酸化、コメ油や椿油などでの植物性オイル美容、そしてなんと、米のとぎ汁を化粧水がわりに使うメソッド!

“Au Japon, la beauté est une philosophie”

“日本において、美は哲学である”

ちなみに「米のとぎ汁」をフランス語で言うと「オー・ドゥ・リ(eau de riz)」です。

すごい。オードトワレみたい。

とぎ汁使った節約美容、「あたくしオー・ドゥ・リでシートマスクしておりますの」とか言えばめっちゃリッチにリュクスに感じる。

Madame Figaro「佐伯チズ、美容家電、顔面コロコロマッサージ」

(画像:Le Figaroスクリーンショットhttp://madame.lefigaro.fr/beaute/rituels-beaute-a-piquer-aux-japonaises-290817-133742

わあ、美肌師の佐伯チズさんがフランスデビューしてる!!

「Madame Figaro」は「つまんじゃお!日本女性の美の儀式」と題し、ローションパックなどの美容法で知られる美肌師・佐伯チズさんの美容本から紹介しています。

フランス語タイトルがすごい。

Les Secrets de beauté des Japonaises(日本女性の美の秘密)」。


続けて、美容家電、コロコロマッサージャー、ネイルアートなどが紹介されています。

まとめ:もっとビュッフェにビューティーしたい

以上、La presse、ELLE、Grazia、COSMOPOLITAN、Madame Figaroと、フランス語メディアの有名どころを立て続けに5つツアーしてまいりました。

全体的に、「神秘の島の美の秘密……!」みたいなノリが多いみたいですね。

Layering・緑茶・こんにゃくスポンジあたりは、多くの記事で定番。

日本で「フランス人はおしゃれ」って言われるようなノリで、フランスでも「日本人は美肌」って言われている様子が浮かんできます。

が。

ここで考えたいのが、これです。

「たとえ期待を込めたイメージであっても、“○○は××”って言い切ってしまうことでわたしたちは言葉に縛られてしまいはしないだろうか」

考える材料としたいのが、Slateのこちらの記事。「男性の化粧は西洋にも届くだろうか?http://www.slate.fr/story/175557/maquillage-avenir-homme-genres 」と題されています。

(画像:Slateスクリーンショットhttp://www.slate.fr/story/175557/maquillage-avenir-homme-genres)

これは、2019年2月に南フランスのアルビで起こった、男性の化粧にまつわる議論から始まる記事です。アルビの男子高校生が、アイライナーを引いて登校したところ、近所の女子中学生の母親から学校あてに苦情の電話が入り、男子高校生は化粧をやめるか学校をやめるかの二択を迫られた……という内容。

このことを報じる最初の記事http://www.slate.fr/story/173787/homme-maquillage-genres-masculinite-virilite-homosexualiteと合わせて読むと、

・1789年のフランス革命までは男性貴族も化粧をしていた

・革命後、貴族という身分がなくなり、男性も化粧をしなくなった

・ところが日本では古くから歌舞伎などで男性が化粧をしている

・1968年には男性用のブロンズ肌パウダーが発売されている

というような内容が、歌舞伎役者の二代目中村獅童さんの写真などとともに紹介されていることがわかります。

「フランス人はおしゃれ」

「日本人は美肌」

「男性は化粧をしないもの」

「女性は化粧をするもの」……

「○○は××」と言い切ることには、確かに、「ルールを作る」「ものごとをだいたいのカテゴリに整理し、それについて知る」といったような効果があります。

しかし、「偏見を強める」「言葉で自分や誰かを縛り、不自由にしてしまう」というネガティブな面があることも否めません。

美容というものは、誰に強制されるものでもなく、誰に禁止されるものでもないところで、やっと楽しくなるのではないでしょうか。

歌舞伎で男性が化粧をするようになったのは女歌舞伎が禁止されたからですし、フランス男性が化粧をやめる大きな分岐点になったフランス革命は本来、自由のための革命だったはずです。

そうした歴史の波を超えて、現代がある。

スマホ一つで、日本からフランスの美容法を知ることも、「フランスで日本の美容法がどう紹介されているか」を知ることもできる。

昔にはなかった自由が、やっと、あるんです。

この先に、何を選ぶか。何を作るか。

消された選択肢も増えた選択肢もある中で、思っています。

「もっとビュッフェにビューティーしたいな」って。

まるでビュッフェを楽しむみたいに、好きなことを選べたらいいな。

さて、あなたは、何を選ぶでしょうか。


牧村朝子(まきむら・あさこ)

タレント、文筆家。2010年、ミス日本ファイナリストを機に芸能界デビュー。

2012年渡仏、フランスやアメリカでの取材を重ねる。

2017年独立、現在は日本を拠点とし、執筆・メディア出演・講演を続けている。

夢は「幸せそうな女の子カップルに”レズビアンって何?”って言われること」。

出演『ハートネットTV』(NHK-Eテレ)ほか、著書『百合のリアル』(星海社新書/小学館より増補版、時報出版より台湾版刊行)『ハッピーエンドに殺されない』(青弓社)ほか。

ツイッター@makimuuuuuu(まきむぅ)


『不二夫のフレグラン』


ーーーにおいで遠ざかり、匂いが近づけた。一組の家族の物語。


【あらすじ】
気がついたら、離れていた。とある家族の物語。
今日は妻と映画を観よう。急いで帰宅した矢先に、妻とママ友の立ち話を耳にする不二夫。 「うちの夫も最近加齢臭が……」
ショックを受け一人ソファで寝ていると、追い打ちをかけるように娘が家出してしまう。
不二夫は娘を見つけ出し、家族との距離を縮めることができるだろうか……

第1話~7話 絶賛公開中!
第8話 7月26日(金)公開!




特設サイト
不二夫のフレグラン
気がついたら、離れていた。とある家族の物語。今日は妻と映画を観よう。急いで帰宅した矢先に、妻とママ友の立ち話を耳にする不二夫。「うちの夫も最近加齢臭が……」ショックを受け一人ソファで寝ていると、追い打ちをかけるように娘が家出してしまう。不二夫は娘を見つけ出し、家族との距離を縮めることができるだろうか……




Translate »