「20代で人生決まる」かどうかを考えた結果

働き方
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先日、こんなツイートが流れてきた。


20代でここまで考えるなんてすごいなと、素直に思った。
ただし、20代で人生決まるとは、少し大げさだなとも。


しかしその一方で、こんな資料を見つけた。

”2019年1月-9月に希望・早期退職者を募集した上場企業は27社に達し、対象人数は1万342人と6年ぶりに1万人を超えたことがわかった。”*1


さらに調べてみると、日経新聞に関連記事があった。

“衣料品大手のオンワードホールディングス(HD)は6日、2020年1月末までに販売職を除く40歳以上の社員を対象に約350人の希望退職を募ると発表した。”2

“ファミリーマートは14日、2020年2月までに原則40歳以上の社員を対象に約800人の希望退職を募ると発表した。”3

“オンキョーは13日、国内社員を対象に約100人の希望退職を募集すると発表した。40歳以上60歳未満の正社員かつ家庭用オーディオ事業の拠点集約に伴う転勤対象者の中から12月12日から20日まで募集する。”*4


45歳前後が「分かれ目」になっているが、40代と言えば、就職氷河期(90年代中盤~2000年代中盤)を勝ち抜いた世代でもあるはずだ。
なのに今度は、リストラの前段階とも言える希望・早期退職を提示されている。


現実は、「20代を全力で駆け抜けても、将来何があるかわからない」ではないだろうか。


冒頭のツイ主の姿勢は、30代以上の人も見習うべきだとは思う。
しかし、「20代で人生決まる」かと言えば、どうだろう。


わたしは別の考えを持っている。





とある省庁に勤めていた時のことだ。


同じ部署に、間もなく60歳の定年を迎える上司がいた。
常に物事の本質を見て、部下の性格や能力に合わせ、指導の仕方を変える柔軟なタイプの上司だった。
その仕事ぶりはまさに「信頼できる上司」であり、尊敬していた。


彼が若かった頃は、新進気鋭、現場での優秀さは名をとどろかせていたようで、わたしが所属する部署に異動してくる前には「漢が来る」と噂されていた。


しかし、定年半年前の彼の仕事は「再就職準備」だった。
赴任当初は「ちょっと聞いてくるわぁ」と他部署に自ら乗り込んでいく姿に「噂の漢」を感じたが、再就職準備に入ってからは、彼の大きな体が小さく見えた。


朝の課業開始前は、コーヒーを淹れ、老眼鏡をかけ、朝刊に目を通すのが習慣だ。
課業中は就職先への手紙を書くためのペン習字、知識を蓄えるための読書、企業から示された資格勉強に余念がなかった。
昔の彼を知る人は「丸くなった」と漏らしていた。


とある日、わたしは、担当していた教育プランについて彼に指導を受けた。


習字が終わるタイミングを見計らい、デスクの前へ。


「失礼します。ご指導、お願いします」


彼は、開いた習字帳の最後の文字をなぞりながら、ペン先から目を離さずに言った。
「オッケー、ちょっと待ってねー」


彼の就職活動はうまくいっていないらしい、という噂を聞いていた。


一歩外へ出ると評価されなくなるって何なんだろう。
おれも将来こうなるのかな。。。なんだか空しいな。。。
彼のデスクの前で、このように思いを巡らせていた。


「よし、もらおうか」
彼は、最後の文字を書き終わると、わたしから教育プランを受け取った。


手渡したプランに目を通しつつも、心は別のところにあるといった感じで言った。


「何でもいいから、今のうちからいろいろと勉強しておいた方がいいよ」


「再就職に向けて、ということでしょうか?」


「そうそう。君だってこの先、いつ何があるかわからないでしょ。いやぁ、正直きついよ。この年になって初めて気づかされるのは。60にもなって、自分の価値を始めて考えたよ。外に出るって、こういうことなんだね」


確かにきつい。


彼は、組織内の最上級の昇任試験に受かっていた。
この試験は、幹部職員全員が30代前半で受け、合格すれば出世が約束されるというタイプのもので、当時のわたしがまさに受験中だった。


30年前なら、価値の高いスキルだったのかもしれない。
しかし、30年も経てば、時代は変わる。
そして、スキルは「陳腐化」する。


「何でもいいから、今のうちから勉強しておいた方がいい」という彼の一言が、すべてを物語っている。
スキルは「更新」し続けなければならないのである。





今は、「人生100年時代」と言われる。
ある研究によれば、今の30代の半分が98~100歳まで生きるそうだ。


ロンドン・ビジネススクール教授、リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットは著書の中で、長い人生を生き抜くには、生涯を通じて「スキルを更新」し続けることが極めて重要だと述べている。

”100年ライフが当たり前になれば、人生の早い時期に一度にまとめて知識を身につける時代は終わるかもしれない。テクノロジーが目を見張る進歩を遂げると予想される以上、キャリアの初期に身に着けた専門技能を頼りに長い人生を生き抜けるとは考えにくい。古いスキルを土台にした仕事に飽きたり、テクノロジーの進歩によりスキルが時代遅れになったりする結果、生涯を通して新しいスキルと専門技能を獲得し続けることが一般的になるだろう。”*5

また、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズは、「スキルの更新」を体現してくれている。

”その後の5年間に、NeXTという会社を起業し、ピクサーも立ち上げました。そして妻になるすばらしい女性と巡り合えたのです。ピクサーは世界初のコンピューターを使ったアニメーション映画「トイ・ストーリー」を製作することになり、今では世界でもっとも成功したアニメ製作会社になりました。そして、思いがけないことに、アップルがNeXTを買収し、私はアップルに舞い戻ることになりました。いまや、NeXTで開発した技術はアップルで進むルネサンスの中核となっています。そして、ロレーンとともに最高の家族も築けたのです。”*6

しかし、「スキルの更新」は、だれにでもできるというわけではない。
「スキル更新のためのスキル」が必要だからである。

“有形の資産と無形の資産のバランスを取るためにマルチステージの人生を生きる必要が出てくるとすれば、私たちは新しいタイプの資産を築かなくてはならなくなる。それは「変身資産」とでも呼ぶべきものだ。人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のことである。”*7




冒頭のツイ主が言うように「20代で人生決まる」ことはない。
しかし、20代で「スキル更新のためのスキル」を身に着けておけば長い人生を「生き抜ける」ようになるはずだ。


例えば転職。
これには、ただ仕事が変わるという以上の意味がある。


・自分と向き合う
・家族と話し合う
・将来を見通して計画する
・自分の役割を判断し、役割を果たす
・新しい仕事や会社の価値観を受け入れる
・わからないことを自分で調べる
・結果がわからない中でも、何かに挑戦する


転職という経験ひとつ取っても、これだけスキルアップにつながる。
しかも、これらの「スキル更新のためのスキル」は、陳腐化しない。


自分の得意、不得意を理解し、日頃から自らのスキルに自覚的でありたい。
「スキルを更新」し続けることが、数年後には大きなスキルの差になるかもしれない。


*1
引用:株式会社商工リサーチ「2019年上場企業「希望・早期退職」実施状況」
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20191009_01.html
*2
引用:日経新聞2019年12月6日版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53053460W9A201C1916M00/
*3
引用:日経新聞2019年11月14日版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52173110U9A111C1HE6A00/
*4
引用:日経新聞2019年11月13日版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52112480T11C19A1000000/
*5
引用:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット「ライフシフト」東洋経済新報社、2016年11月3日
*6
引用:日経新聞 2011年10月9日版
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO35455660Y1A001C1000000/
*7
引用:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット「ライフシフト」東洋経済新報社、2016年11月3日

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めんおう
専業ライター。大学卒業後、防衛省、民間企業を経てフリーランスへ転向。インターネット、働き方、英語、取材などを中心に。
ブログ:めんおうブログ(https://www.zinseitanosiku.com/
Twitter:https://twitter.com/mennousan

<Photo:ZhaoQi Yu>

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