女性が男性に求める「やさしさ」の正体

女性はやさしい男性が好き

 女性に対して「好きな男性のタイプ」を質問すると毎回のように上位にあがってくるのが「やさしい」です。一例を紹介しましょう。


三木幹子・広島女学院大学教授「女子大生の恋愛と結婚に対する意識調査」という論文では、広島女学院大学学生636名(2010年、2011年、2012年、2014年の調査の合算)を対象に質問紙法によるアンケート調査を実施しました。


〇「恋人にしたい男性の条件」の上位3条件

1位「性格・価値観が合う」
2位「優しい人」
3位「顔・ルックス」


〇「結婚相手の条件」の上位3条件

1位「性格・価値観が合う」
2位「経済力」
3位「優しい人」

出典)三木幹子「女子大生の恋愛と結婚に対する意識調査」
(「広島女学院大学論集 第 63」)


「優しい」という条件は「恋人にしたい男性の条件」「結婚相手の条件」の両方で上位3位以内に入っています。


「性格・価値観」「経済力」「顔・ルックス」など他の上位条件と比べると、比較的、努力でなんとかできそうな「優しい」という条件は女性にモテたい男性にとっては着目すべき条件なのではないでしょうか。

やさしい男性になるために何をしていいのか分からない

さて、女性はやさしい男性が好きだということはよく知られていますが、女性の考える男性のやさしさが具体的に何を意味するのかについてはあまり知られていません。


そのため男性が「やさしい男性になろう」と思い立ったとしても「まず何から始めればいいのだろう?」と、立ち止まってしまいます。


そこでまずは「優しい」の辞書的な意味を確認してみましょう。
「デジタル大辞泉(小学館)」によると以下の3つの意味です。


「優しい」
①他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである。
②性質がすなおでしとやかである。穏和で、好ましい感じである。
③悪い影響を与えない。刺激が少ない。
(「デジタル大辞泉(小学館))


おおまかにいえば「他人に対する思いやりがある」「穏やかである/刺激が少ない」という2つの異なった要素を含んでいる言葉だと言えるでしょう。
しかしこれでもまだ具体的な行動につなげていくためには少し曖昧さが残ります。

女性が男性に求めるやさしさの意味を細分化する調査を実施

そこで、筆者は「女性が男性に求めるやさしさとは具体的にはどのようなものなのか」を調べるために、2019年11月17日に私のツイッターアカウントの女性フォロワーに向けてアンケートを実施しました。


ツイッターのつぶやきでグーグルフォーム(調査票)のURLを案内して誘導するという方法です。
このような方法ですので一般的な女性の傾向としてはみなせませんが「大まかな傾向をみる」という意味では参考になるでしょう。


86件の回答があり、回答者の属性は、20代53.5%、30代29.1%と、20~30代が約8割でした。
質問文は以下の通りです。


質問:あなたが男性に求める「やさしさ」とは、例えば具体的に、どのような男性の言葉や行動ですか?どのような書き方でも結構です。思いつくことをご記入ください。(「やさしさ」を求めない方は空欄で結構です)


結果を、ひとことで表現すれば、「多義的である」ということです。
具体的には、①思いやりがある、②困っているときに配慮できる、③女性が望む便益が提供できる、④形式的な配慮ができる、⑤女性の意見を尊重する、⑥暴力的ではない、という6つの要素に分類できました。


このように多義的であるがゆえに、男性が具体的な行動に落としこむことが難しくなっているのではないでしょうか。
では、ひとつひとつの要素を確認していきましょう。

女性が男性に求めるやさしさ①:「思いやりがある」

まずは「思いやりがある」です。これは辞書的な意味と一致します。
「相手のことを思って行動してくれること」「周囲に対する気配り」「常に相手の気持ちを考慮できること」などの意見がありました。


自分だけに意識を向けず、周囲や相手に対して思いを巡らせることがやさしさだと考えられているようです。

女性が男性に求めるやさしさ②:「困っているときに配慮できる」

次に「困っているときに配慮できる」です。
「自分に何かあった時にサポートしてくれる」「誰も声をかけられない深刻な時にこそかける強さ」「体調を気遣ってくれる」などの意見がありました。


これは「困っているとき」という具体的な場面における思いやりです。
女性ならでは体調の変化(生理、妊娠、出産など)があるがゆえに、思いやりの具体事例として多くあがったのだと思います。

女性が男性に求めるやさしさ③:「女性が望む便益が提供できる」

次に「女性が望む便益が提供できる」です。
「お金を出してくれる」「おいしいものを一口分けてくれる」「話を提供してくれる」などの意見がありました。


人は誰しもが便益を提供されるとうれしいものです。
人に好かれる最も単純な方法だと思います。
もちろん、相手が望むものを、自然な形で、という条件付きでしょう。

女性が男性に求めるやさしさ④:「形式的な配慮ができる」

次に「形式的な配慮ができる」です。
「エスコートしてくれる」「重い物を持ってくれる」などの意見がありました。


「女性であればこのように扱うべきだ」という文化(レディーファースト、ビジネスホスピタリティ)に基づく形式的なふるまいです。
このような形式に強くこだわる女性もいれば、そうではない女性もいるでしょう。

女性が男性に求めるやさしさ⑤:「女性の意見を尊重する」

次に「女性の意見の尊重」です。
「他人の意見にも耳を傾け(中略)我意を通そうとしない」「私の意思を確認、考慮してくれる」などの意見がありました。


男性が「俺が俺が」という態度を抑制し女性の意見を汲み取ろうとする姿勢を見せることが期待されています。
結婚生活の安定性・持続性を考慮すると「相手が対話できる人かどうか」というポイントは重要だと思います。

女性が男性に求めるやさしさ⑥:「暴力的ではない」

最後に「暴力的ではない」です。
「店員に偉そうにしない」「暴力的な手段を取らない」などの意見がありました。
「悪い影響を与えない」「刺激が少ない」という辞書的な意味と一致します。
こちらも、結婚生活の安定性・持続性を考慮すると重要なポイントになると思います。

女性が男性に求めるやさしさの中で最もキーとなるのは「察する力」

男性にとって実行するのが難しいのは①~③ではないでしょうか。


④についてはレディーファーストやビジネスホスピタリティに関する情報を記憶すればいいだけです。
⑤については相手との関係の浅い段階では自然に行うことですのであまり問題ないでしょう。
⑥についても同様です。これから関係を深めていきたい相手を前に暴力的な自分を見せる男性はあまりいないでしょう。


①~③は「察する」という行為である点で共通しています。
そのため①~③を男性が実行するためには「察する力」を身に着ける必要があります。
「察する」ために必要な要素を筆者が勘案した結果、「察する力」は、次のようなものだと考えます。


「能動的な質問、観察、洞察を通して、相手の非言語情報を含めた様々な情報を収集・分析することで、相手固有の言明されていない不満やニーズを発見し、それに対応した適切なリアクションを選択して、自然に明示すること」


④~⑥のやさしさは、比較的難しくないものであるため、女性に対するアプローチの差別化にはなりません。
一方、①~③の「察する」は、対象の女性への「特別な対応」となるため、好意形成に対して大きな意味を持つものだと考えます。

「察する」にはどうしたらいいか

では「察する」にはどうしたらいいでしょうか。
筆者の経験から最も重要だと考えるのは、相手と対峙したときに「<自分が>どんなことを話そうか」「<自分が>何をしようか」などの自意識を捨てて、真っ白な状態になって相手になりきることだと考えます。
そうすることで見えてくる欲望を”読む”ことだと思います。練習の場数も重要だと思います。


少し抽象的になりましたので、男性が女性に喜ばれた(と本人が思っている)「気配り」や「気遣い」の成功事例をご紹介します。
具体的な回答を引き出す目的で「察する」ではなく「気配り」「気遣い」という表現で質問しました。


2019年11月18日に私のツイッターアカウントの男性フォロワーに向けてアンケートを実施。
調査方法は前述の私が実施した調査と同じです。


166件の回答があり、回答者の属性は、20代43.4%、30代30.7%と、20~30代が約7割でした。
質問文は以下の通りです。


質問:過去の経験で、気になる女性に、具体的にどのような「気配り」や「気遣い」をしたら喜ばれましたか?(特にない方は空欄で結構です)

「察する」成功事例①「好みを反映した物品やデートプランの提供」

回答で最も多かったのが「女性の好みを反映した物品やデートプランの提供」です。
「相手が好きなモノをリサーチしてプレゼントしたら喜ばれる事が多かったです」「相手の行きたがっていたところに連れて行ってあげる」などの意見がありました。
比較的簡単に実施できて喜ばれる方法なのではないでしょうか。

「察する」成功事例②:「体調が弱ったときの配慮」

次に「体調が弱ったときの配慮」です。
「SNSで(体調について)言っていたのを覚えておく」「体調を崩したときにメールを送る」「のど飴やギャバチョコレートをあげる」などの意見がありました。
女性が男性に求めるやさしさにも「困っているときに配慮できる」が多くあがっていました。

「察する」成功事例③:「余計な気遣いをさせない配慮」

次に「余計な気遣いをさせない配慮」です。
「飲食店の事前予約」「先に支払をしておく」「食事のスピードを合わせる」などの意見がありました。
女性が問題を認識する前に先回りする行動が女性にとっては感心されるのかもしれません。


以上の他にも様々なレディーファースト系の回答や傾聴系の回答がありましたが、女性が男性に求める「やさしさ」のうち「察する」に関連する回答数が多かったものに限定して紹介しました。

女性にやさしさを提供する男性側のコスト感

「察する」という行為は、男性にとってはコスト感が高い行為かもしれません。
私のツイッターでは、男性側の意見として「エスパーか」「無理」という意見が複数あがりました。


「察する」という行為はスキルフルな行為ですし、相手に向けて意識を集中する心理的な負担も大きいです。
そして察したからといって100%女性に選ばれるわけではありません。


近年のように恋愛にも劣らない質の高い娯楽が安価で享受できる時代で、男性にとってはそこまでするメリットを感じないかもしれません。
このようなコスト感があることを女性が理解してあげてもいいのかもしれません。


ただ、将来的に結婚したい男性、子供がほしい男性であれば、たとえそれが高コストだと感じても、女性の求めるやさしさを磨くことが、女性に選ばれる有効な手段になると考えます。

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すもも
データ分析を活用した男女論をインターネットで発信しています。
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Photo by Camila Cordeiro on Unsplash