
今は亡き携帯のメールアドレスという文化
「メルアド変えました」。
20年ほど前は、割と頻繁に友人からこんなメールが届く時代だった。
現在は、LINEに代表されるメッセージアプリが主流になってしまったが、僕が学生時代を過ごした2000年代は、まだまだ携帯電話のメール機能の全盛期だった。
携帯電話のメールアドレスは、自分で設定できるので個々人が思い思いのメールアドレスを設定していた。
名前と誕生日の組み合わせだったり、好きなミュージシャンやスポーツ選手になぞらえたものだったり、無機質な数字の羅列だったりと、アドレスは設定した本人の性格をなんとなく感じさせるものでもあった。
こうしたメルアドが変更される理由は、機種変更や迷惑メールの増加などがメインだったが、時に恋人との出会いや別れがきっかけとなるケースも散見された。
つまり、彼氏or彼女の名前をメールアドレスに入れてしまうとう痛々しいカルチャーである。
最初に連絡先として聞いた際に、恋人の名前が入っていたりした場合、アドレス変更の通知をもって、こちらはある一つのカップルの破局を知ることになる。
受け取っただけで何だか損した気持ちになったものだ。
今回は、そんなメールアドレスに関わるお話。
当初から不安視していた教え子の恋愛運
大学生の頃、家庭教師のアルバイトをしていた。
「家庭教師」といっても、僕の勤務先は、大部屋でいくつかの先生と生徒のペアが同時に授業を行うというスタイルだった。
僕は、このバイト先で何人か生徒を受け持ったのだが、その中に一人、とても可愛い女子高生がいた。
そして、彼女には幼稚園からエスカレーター式に大学に進学したという名門私大に通う彼氏がいたのである。
あるとき、僕は彼女の学校の課題を手伝うことになった。
いまでも明確に覚えているのだが、彼女曰く、学校の授業で「義務教育が必要か否か」をテーマにディベートを行うというのだ。
そして、彼女は「必要ではない」という立場で立論し、なおかつその主張を英語で展開しなければならないという。
僕は彼女の話を何ら疑うことなく、純粋に「最近の高校の授業はずいぶんと高度なんだな」と感心した。
そして、必死に主張を組み立て、英作文をした。
納得のゆくものが仕上がり、彼女も喜んだ。
僕も家庭教師としてふさわしい仕事ができたことに満足したものである。
しかし、数日後、塾長から驚きの事実を告げられる。
なんと、僕が手伝ったのは、私立大学に通う彼氏の授業の課題であったというのだ。
己の大学の課題を彼女の家庭教師にやらせるとは、なんという男であろうか!
見知らぬ男にまんまと利用された悔しさもあり、僕の彼氏に対する心証は極めて悪くなった。
そして、わが生徒の恋愛運はあまりよいほうではないのだろうと勝手に思っていた。
僕を震え上がらせた「メルアド変えました」のお知らせ
とはいえ、僕はあくまで家庭教師である。
生徒の恋愛に立ち入るようなマネはできない。
ちょっとずるがしこいところもあるかもしれないが、実はいい奴なのかもしれない。
いずれにせよ、僕にできることはないので、その後も淡々と家庭教師としての業務をこなし続けていた。
時折、雑談で彼氏の話題がでることもあったが、決して悪口は言わなかったし、ましてや「別れたほうがいい」などとは口にしなかった。
しかし、そんな僕を驚愕させる出来事が起こる。
僕と生徒は急な欠席や予定変更が発生した場合に備えて、互いのメールアドレスを交換していた。
ある日、その女子高生からアドレス変更を告げるメールが届く。
彼女のアドレスはどんなものになったのだろうか。
当時使っていた二つ折りの携帯を開くと、とんでもない文字列が僕の目に飛び込んできた。
彼氏くんの名前を仮に太郎君としよう。
なんと僕の生徒である女子高生のアドレスは「taroumania@~」すなわち、「太郎マニア」に変更されていたのだ。
その瞬間、僕が感じたのは混じりけのない恐怖である。
太郎君は、なぜわが教え子にこんなアドレスを強いるのか。
そして、彼女はなぜ受け入れたのか。いくつもの疑問が頭の中を駆け抜けていった。
これはもうちょっと若さとか「恋は盲目だから」などというレベルには収まらない。
次の授業の際に、思わず事情聴取をしてしまった。
「どういう経緯で、メールアドレス変更したの?」
そう尋ねる僕に、わが生徒はあっけらかんと応える。
「なんか合コン行ったのが、彼氏にバレて。浮気しないようにってことでメルアド変更されました」。
確かに合コンでアドレス交換した相手のメルアドが、「男の名前+マニア」であれば、ちょっと怖くて次のステップには進めないだろう。恐ろしいが効果は絶大だ。
何だか妙に感心してしまった僕をよそに生徒は続けた。
「実はもう一つ候補があって、それは『toki-meki-tarou@~』でした」
束縛が強い男がモテるはずがない
恋愛において、嫉妬は欠かせない要素であり、適度なものであれば2人の関係のちょっとしたスパイスになるかもしれない。
だが、何でもやりすぎはよくないものだ。
束縛が強すぎる男がモテるはずがない。
ましてや、いくら浮気を防ぐためにとはいえ、そんなダサすぎるメールアドレスを彼女に強いる男がモテるはずがないのである。
ちなみに、当時の僕のメールアドレスは、エレファントカシマシの「今宵の月のように」にちなんで「like-the-tonight-moon@~」であった。
あまりのダサさに、いまはとても後悔している。
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著者:永田 正行
大学卒業後、零細出版社に広告営業マンとして勤務。 その後、会報誌の編集者を経てネットメディアの編集記者となり、政治家や大学教授へのインタビューを多数手掛ける。現在も某ネットメディアで執筆にマーケに奮闘中。
好きな言葉は「ミラクル元年 奇跡を呼んで」の西武ライオンズファン。
Twitter:https://twitter.com/jake85elwood
Photo by Eirik Solheim on Unsplash