ナイナイ岡村の大失言をAV関係者はどう受け止めたか AV業界、新型コロナとかく戦えり

「密閉・密集・密接の『3密』を避けましょう」
新型コロナウイルスの感染拡大に際し、この呼びかけが正式に発せられたのは3月28日のこと。


言うは易く、行うは難し。でも、やらねばならぬ…


そんな重苦しい空気に包まれていた当時、さまざまな業種が「3密」回避のための対応に追われました。


ところが、世の中にはどうやってもヒトとヒトの濃厚接触なしには成り立たない商売が多々あります。


その最たるものが、アダルトビデオ。
まさに不要不急の極みといえる業種です。


AV業界の人々は昔に比べてサラリーマン化が進んだと言われるものの、一般社会の基準からすればまだまだはみ出し者揃い。


数年前にはAV強要事件が問題になったこともあり、世間的イメージは決して良くありません。
事実かどうかはともかくとして、AV業界=無法者の集まりといった印象を持つ方は決して少なくないはずです。


ところがそんなAV業界が、このたびのコロナ禍ではやたらと大人しい。
自粛ムードを乱すような騒ぎを起こすこともなく、「右にならえ」となったわけです。


緊急事態宣言以降、政府・自治体からさまざまな業種に対して営業自粛要請が出されました。
言うまでもなく、この自粛とは建前上はあくまで「お願い」。


強制力はないと言いつつも、抜け駆けをしようものなら世間様から容赦なく総攻撃を受けます。
お上の言いつけに従わず血祭りに上げられたパチンコ店がいい例です。


パチンコとAV、どちらも世論から叩かれがちな商売ですが、一方はニュース沙汰となり、もう一方はひたすら沈黙を保ったのは何故なのか。
それ以前に、AV業界は新型コロナという未曾有の困難を、どう乗り切ったのか? 


絶対匿名を条件に口を開いた関係者の証言を元として、緊急事態宣言下で繰り広げられたアダルトビデオVSコロナの戦いをご紹介!

AV業界の住人たちはコロナ自粛を先読みしていた!?

かつて、AVといえば一攫千金が叶う世界でした。
親兄弟に胸を張って言えない「ヨゴレ」の商売ではあるけども、とりあえず金になる。
そこで一発当てたい山師たちや、ワケありの女性が集まってくる業界だったわけです。


ところが今や、スマホがあれば無料でモロ出し動画を見られる時代。
AVは売れず、メーカーから女優、モデル事務所まで稼ぎは年々減る一方です。


そのくせリスクは昔よりはるかに高く、関係者がうっかり捕まることもしばしば。
先行き、どう考えても厳しいよね…という業界全体のコンセンサスが出来上がっているところに、コロナショックが起きました。


AV業界なんて大手を除けばほとんどが零細、というか個人事業主の集まりみたいなものです。
当然誰もが大慌て…となるかと思いきや、業界歴十数年の某監督いわく、関係者の反応は決して一様ではなく、冷静に受け止める人も結構いたとか。


「中国でコロナが広まりだした頃から、撮影現場では『日本に来たらやばくね?』という話は普通にあったよ。でも、2月中はあくまで雑談ネタのひとつって感じだった。
さすがに3月に入ると、ある大手メーカーが現場で体温測定と手の消毒を始めたりして、こりゃ4月は丸ごと仕事飛ぶかもっていう雰囲気になったね」


監督いわく、実際に現場のキャンセルが始まったのは3月後半くらいから。
緊急事態宣言が出る前に、大手メーカー「P」が口火を切って撮影を中止しますと公言し、公式サイトで大々的に自粛アピールを行ったそうです。


その後、メーカーごとにタイムラグはありつつも、最終的に「表向きは」全メーカーが追随したとのことでした。


「頭が回る奴は仕事がない間にどうするかということをあらかじめ考えていたね。大したタマだと思ったのは、『どうせ4月は撮影ないだろうからこの時期に整形する』とか言ってた女優さん。
確か3月初旬だったと思うけど、韓国が日本人のビザ免除停止を打ち出すギリギリ直前のタイミングでソウルに渡航してね。周囲は『向こうで14日間隔離されたんじゃないの?』とか言っていたら、つい先日撮影に来ていて、ちゃんと顔の工事が終わってた(笑)」


撮影自粛で仕事がなくなるのは女優だけでなく、その他のスタッフも同じ。


「俺がよく知ってる男優は4月がまるまる空きそうだって話が出てすぐ、レンタカーを借りて1人親方の宅配業を始めたんだよ。彼が言うには外出自粛で通販需要があるせいで結構忙しいらしくてさ、ひと月50万稼げたんだって。お前いい機会だからカタギになったら? ってからかったら『いや、僕は生涯男優ひと筋でいきたいんで!』とか言ってたね(笑)。
ただ、当然こういう風に上手いことコロナを乗り切った奴ばかりじゃなく、AVに携わっている大半の人間がダメージをくらったのは間違いない。特に中小のメーカーとかあまり売れてない女優さんなんかは、それこそ死活問題だったと思うよ」

ナイナイ岡村の大失言をAV関係者はどう受け止めたか

世の中のさまざまな業種同様、弱者にしわ寄せがいきやすいのはAVも同じ。
特に女優さんの場合、お金に困ってこの仕事を選んだ人とて少なからずいます。


筆者知人のスカウトマンは、女の子たちの窮状を次のように語りました。


「以前AV事務所に紹介した子たちからは、連日のようにSOSの連絡が来ていました。現場がキャンセルになった、とにかくいついつまでに金がいる…といった話ばかりです。何か稼げる仕事はないか、というわけです。そういう子には基本、風俗の仕事を紹介していましたね。緊急事態宣言以降もデリヘルは普通に動いてましたから。本来ならAVで働けるレベルの子が流れてくることで、デリの女の子のレベルは上がったと思いますよ」


同様のことを言うのは、AV制作の傍らデリヘル経営をしている方。


「新型コロナのせいで収入が減ったり失業したりしてお金に困った女性が、間違いなく業界に入ってきています。
ひどい例えであることを承知で言うと、AVに限らずアダルトの仕事を長く続けている女性からは、あけすけに言って『養殖いけすの魚』といった印象を受けることがあります。
いけすの中の魚がアミにぶつかったりしてキズだらけになるように、夜の仕事をしている女の子は風俗やAVなどいろいろな職種をぐるぐる回っているうちに、身体と心にダメージが蓄積されていくんですね。お前はそういう女性を喰い物にしているんだろうと言われたらそれはその通りで、何も反論できませんが。
非難されることを承知で言うならば、最近は明らかに『天然モノ』が入ってきているんです。
業界に染まった感じがなく、恥じらいがある。
そしてビジュアルも格段にいい子が増えました。
先だってナイナイの岡村がラジオ番組で『お金に困った女性が風俗に流れてきて可愛い子が増える』みたいなことを言いましたよね。端的に言って、それはぶっちゃけその通りなんですよ。
ただ僕が言うのもなんですが、芸能人がそれを公言するのはバカすぎます。
いまはSNSなんかで誰でも発信できる時代ですけど、風俗はおろかAV関係者だってそこまで露骨なことを表立っては書きません。
特にAV業界の人間は強要事件の経験から、世間に袋叩きにされるのがどれだけ恐ろしいことか身に染みて分かっていますからね。
新型コロナが問題になって以降、業界全体が割と大人しく自粛モードに入ったのも同じ理由です」


グレーを通り越してブラックな業界と思われがち、というかそういう側面が間違いなくあるAV業界。
しかし、その世界の住人たちは世の中の空気を読むことに意外と長けているようです。

どこの業界にもこっそり抜け駆けをする者がいる

とはいえ、AVは海千山千の猛者がうごめく世界。
前出の監督いわく、コロナ何するものぞという輩も中にはいたようで…。


「ぶっちゃけ小さなメーカーなんかで、こっそり撮影しているところはあったよね。ただ、それが表沙汰になるようなバカなことは絶対しない。女優さんがうっかり『今日の撮影楽しかったです♡』なんてツイートした日には、それだけで炎上確実でしょ。口止めは当然あったはずだよ。
でもね、こういう密かにやってた現場のおかげでなんとか生活費だけは確保できたっていう女優さんとかスタッフが結構いた。特にスタッフの方は、AVだけじゃなく表の仕事を掛け持ちしている人がいるわけよ。メイクとか照明さんとかね。そういう人たちは『AV以外の仕事は全部キャンセルになったんで助かってます』とか言ってたな。エロをやってたから無収入だけは免れた、AVさまさま…って感じなのかもね」


てなわけで今回、複数のAV関係者に話を伺いましたが、業界歴が長い人ほどコロナを深刻に受け止めつつも、どっしり落ち着いていたのが印象的でした。


記事では詳しく触れなかったものの、中には
「騒ぎが収まった後、撮影前の性病検査に加えてコロナ陰性の証明も必要になるんじゃないか」
などと妄想チックな予言を語る、駆け出しの男優さんがいたのも事実です。


ただこういう人は、あくまで例外。
何しろAVは、ある日いきなりお縄にかかるリスクもある特殊な商売です。


エロ事師の皆さんからすれば「コロナごときで動揺していてAVで飯が食えるか!」ということなのかもしれません。


最後に一応フォローをしておくと、ジャパニーズポルノ、つまりAVは我が国が世界に誇る「夜のクールジャパン」に他なりません。


世の中から消えて欲しいと思う女性は多いでしょうが、男としてはAV業界に声援のひとつでも送りたくなるのが本音であるはず。


果たしてAVは、ポストコロナの時代をどのように生き抜いていくのか。
今後もアダルトビデオVSコロナの戦いから、ひとときも目が離せない! …というのは言い過ぎですが、筆者は引き続きこのテーマに注目していきたいと思います。
AVにさんざんお世話になった、ひとりの男として!!

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もがき三太郎
スポーツ新聞記者、雑誌編集長を経て現在は国外の出版社勤務。本業の傍ら日本国内の様々なメディアに硬軟織り交ぜたルポを寄稿している。 

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