女性から「体が目当て」と言われたらきっと男は誇らしい

 

ここは六本木のとある会員制バー。

30代から50代の働き盛り、遊び盛りの男女が集まり、夜毎楽しい時間を過ごしています。

そんな紳士淑女と密に接してきた元スタッフである私が、「モテる男」とはどういうものかについて、バーで見てきたこと、感じてきたことを基にお伝えします。

 

今回のテーマは「体の魅力」についてです。

当たり前のことですが、男だろうと女だろうと性欲はあります。

「カラダが目当て」などと男から言われたら、女性は悲しんだり、怒ったりするでしょう。

でも、もし女性から同じことを言われたら、男としてこれほどうれしい言葉はありません。

今回は、肉体的な魅力についてのお話です。

 

とりあえず、体だけあたしに貸しなさい

「ああ、誰でもいいから〇〇〇がほしい」

「しばらく×××してないなあ」

女性の友人同士、アルコールが入ってきたせいで話がエスカレートし、周囲をはばからず欲求不満を口にする女性が、たまにいます。

バーというところ。やはり少なからず異性との出会い、接触を求めてくるのは、男性に限らず女性も同じようです。

異性を求めるのはやはり性欲があるからこそ。

そういうあけすけな発言で鬱憤を晴らす女性もいれば、他の客が皆帰ってからも店に居つづけ、目当ての男性スタッフにしなだれかかるような方もいます。

 

バーで働き始めて間もない頃、私も常連のYさんというお姉さまから口説かれたことがあります。

私よりも干支一回りくらい年上で、身なりもしっかり整っていて、それなりにお金もあるような方でした。

口説かれたといっても、「かっこいいね」とか「今度ごはん食べにいこう」とかいった甘い言葉を囁かれたわけではありません。

「別に付き合わなくたっていいんだよ。とりあえず、体だけあたしに貸してくれればいいから」

Yさんが言いたいのは、つまりこういうことでした。

 

――ごはん食べに行くとか、休日におでかけするとか、別にしたくない。

でも、性欲はあるし、人並みに一人がさみしいときもある。

面倒な恋愛感情なんていらないから、オスとしての体だけ使わせてくれないか。

 

女性に幻想を抱くような年齢ではありませんでしたが、そこまでストレートなことを口にする女性がいることには驚きました。

もちろん、私なんか20代半ばの若造でしたから、からかわれていただけでしょう。

ただ、相手の心も人権もおかまいなしに、「体だけほしい」と言われたことに、私は意外と不快感はなく、むしろすがすがしい誇らしささえ感じていました。

出典:経済産業省「小豆島で進行する輸出戦略」 

 

男にとっては最高の自慢

「おまえのカラダが目当てなんだ」

と、男が女性に言ったらどうなるでしょう。

言われた女性はショックで泣くか、怒り心頭に発するか。

今の世の中だったらSNSの投稿に書きなぐり、多くの共感と共にシェアをされ、拡散されていくかもしれません。

しかし、逆だったらどうか。

「あなたのカラダが目当てなの」

などと女性から言われたら? 

私だったら身震いするほどうれしくなります。

男の自尊心をこれほど掻き立てられる言葉はありません。

今すぐにでも、誰か友人の一人でも捕まえて、その自慢話をネタに一杯飲みに行きたいところです。

大不評を買うのでSNSには投稿しませんが。

 

なぜ「カラダが目当て」で女性が怒るかという分析はさておいて、少なくともそんなことを言われてうれしくない男はいないはずです。

「彼女は僕のカラダのことしか考えていない。性格なんてどうでもいいんだ」

なんて、悩みを打ち明ける友人がいたらどうでしょうか。

ばかばかしくて聞いてられません。「自慢話か?」と突っ込みを入れたくもなります。

 

三島由紀夫が『不道徳教育講座』の中で言っていますが、

「男にとって最高の自慢になることは、彼のやさしい心根や、純情や、あるいは才能や、頭脳を愛されたということではなくて、正にそのものズバリ、彼の肉体を愛されたということ」

なのです。

 

もちろん、カラダが目当ての女性でも、相手は誰でもいいというわけではありません。

筋肉が充実していること。性的に強いこと。巧みなこと。

性格だとか、収入だとかといった加算ポイントが剥ぎとられるぶん、むしろ、直接的で性的な評価を下されるでしょう。

そんな容赦ない目で評価をされるわけです。

男にとっては、まさに肉体は力の象徴。強い生き物として認められたことになります。

「カラダが目当て」は即物的で、正直で、刹那的で、最も性的なほめ言葉です。

 

「悟空」と呼ばれた少年時代

男であれば、誰もが力に憧れるものです。

当店に来るお客さんにも、ジムに通ったり、スポーツをしたり、体を鍛えている方は多くいました。

そういう人たちは、どこか自分に自信を持っていて、陽の空気を発散させています。

 

私は小学生のとき、やはり男らしい肉体にあこがれて、毎日筋トレをしていました。

おかげで10歳そこそこながら腹筋が割れていて、プールの授業のとき、同級生から「悟空」(ドラゴンボールの主人公)などと、もてはやされたことがあります。

このとき、私はかなり自尊心を満たされました。

取るに足らない少年時代の出来事ではありますが、その後の人生においてもそこそこ自己肯定感の支えになってくれていたように思います。

 

三島由紀夫は、逆に少年時代は病弱な体質だったようで、当時の劣等感からか、成人してからボクシングやボディビルなどを始め、肉体美に固執するようになります。

三島のように劣等感をばねに飛躍できる人はいいですが、なかなか消化できないまま鬱屈を抱え続けて成長する人のほうが多いものです。

社会に出て、肉体的にではなく、収入や地位で取り返す人も多くいます。

たしかに筋肉よりも頭を使った方がお金を稼げる世の中ではありますが、あまり肉体を置き去りにしすぎてもよくないように思います。

 

例えば、一流アスリートの言葉には、有無を言わせぬ説得力があります。

うろ覚えですが、野球の松坂大輔選手の言葉

「夢という言葉は好きじゃない。夢じゃなくて、目標ですから」

 

卓球の福原愛選手の言葉

「(記者から新年に目標を訊かれて)目標はありません。目標を決めてしまうと、そこから先に行けなくなるから」

 

テレビで観た彼らの表情が、あまりに淡々としていたのが印象的でした。

肉体の限界と可能性を知りぬいた人たちが、身体から発した言葉です。

ただ単に体から出てきた言葉なので、理屈ではない。シンプルなのに、力強い。

体を使ってこそ、説得力ある言葉も生まれてくるのだと思います。

筋骨隆々になる必要はありませんが、ある程度体を動かしておいたほうが、自信が言葉や表情に表れ、自然と人を惹きつける男になれるのではないでしょうか。

 

あなたが理想とする筋肉は?

ところで、筋肉質な体型といってもタイプはいろいろです。

ボディビル、プロレスラー、ボクサー、柔道、ラグビー、水泳選手、陸上選手、などなど。

あたなが理想とする筋肉のタイプはどれですか?

私の理想は、肉体労働者タイプです。

土建屋、農家、運送業、酒屋など。労働で鍛え上げられた筋肉に、一番魅力を感じます。

日焼け跡の目立つ上腕二頭筋、節くれだったがさがさの手、酒と飯で膨れ上がった太鼓っ腹。

見た目に美しくはないですが、実用から作られた筋肉はかっこいい。

汗臭く、最も性的な肉体です。

私自身、肉体労働をしている時期もありましたが、現在はパソコンに向き合う日々。

もう少し、汗の似合う男でありたいと思います。

 

 


 

【著者】渡辺 悠樹

千葉県出身。現在山形県在住。ライター。

地方の医療、観光、農業、食文化の記事を執筆。

慶応義塾大学文学部卒。会員制バー、出版業、食肉卸業、行政職員などを経験。

学生時代は落語と野坂昭如に傾倒。20代は酒とツーリングばかり。震災を機に山形へ移住。

小説に、渡辺麦角『壁向こうのリズム』(いるかネットブックス)

https://www.cmoa.jp/title/1101018705/

ブログ  https://note.com/bakkaku