承認欲求が強かった私に天才ダンサーが教えてくれた生き方

 

「誰かの事が羨ましい・もっと認められたい」そんな事を感じながら生きている人の事を、世の中では”あいつは承認欲求がすごい”と悪い方に言うことがあります。

しかし、実際世の中の人は”誰かに認められたい”という気持ちは持っているはず。

誰かに評価されたい、結果を残したい。もっと有名になりたい、すごいって思ってもらいたい。

最近、仕事でずっと結果が残せなかった私は、「誰からも評価されていない」と落ち込んでいました。リビングのフローリングに、頭がのめり込みそうな勢いで。

そんな時に、思い出したのが「異端児・天才・鬼才」と呼ばれたダンサー時代のライバルの存在です。

 

天才と呼ばれたダンサーの先生は”Youtube”だった

バイトをしながら必死にレッスン費を払い、真面目に練習をしていた高校時代の私。

そんな中、夜遅くにストリート上で練習するようになると、一人の男の子をよく見かけるようになりました。

彼は同い年の高校生なのにドレッドヘアだし、身長は185cmくらいあってアメリカンな古着コーデ。テンションが上がると裸になって踊っている”ちょっとヤバイ存在”です。

近所のイオンモールに解き放ったら、多分120%浮きます。

しかし、ダンススキルがずば抜けていて、個人のダンスバトルに出るといきなり優勝したり。「有名になりたい!」と本人がどんなに思っていなかったとしても、彼はダンス界隈でかなり目立つ存在でした。

ある日彼に「誰に習ったの?」と聞くと・・・

「ダンス仲間!!でも一番の先生はYoutube!!」と自信満々に答えました。

キラッキラの、純粋な笑顔で。

お金が無いから、海外ダンサーのYoutubeをひたすら毎日見ているとの事。

とにかく洋楽を端から端まで漁って、自分の好きな音楽を見つけて好きに踊っているとの事。

いやいや、なんだそれは。笑

そんな自由人な彼を、「レッスン行けよ、我流でやるなよ」と悪く言う人もいました。(多分嫉妬)

「誰のダンスでも無く、俺が自分で作って来た」と言わんばかりのスタンスに、頭を撃ち抜かれた瞬間でした。

 

お前は誰かに評価される為に生きているの?

そんな彼とは気づくと、ダンサー仲間として仲良くなりました。なんでも話せて、友達でありライバルです。

当時ダンサーとして18歳からダンスのインストラクターをしていた私は、21歳くらいまで猛烈なスランプに陥っていました。

結果が残せないから生徒が集まらない。

生徒が集まらないから、歩合制のインストラクターとしての収入が安定しない。

収入が安定しないから、バイトで練習時間が取れない・・・。

そんな負のループに陥っている時、「俺、実は芸能事務所にスカウトされたんだよね」と、ある日深夜のガストで彼がビールを飲みながら一言。

しかも、誰もが知っている某芸能事務所でデビューも決まり、ドームツアーのバックダンサーから始まると言う話でした。

びっくりしすぎて、イスから転げ落ちそうになった当時。

私からすると、欲しいものがそこに全部詰まっていました。

すると、彼はのほほ〜んとした顔で「で、俺は断ってさ!」と一言。

もう2回目のジャブで、今度こそ頭から昇天しそうな勢いでした。

一体、何を言っているんだこのドレッド頭は・・・と。

お金も地位も名声も手に入るのに。

すると、彼は「俺は別に芸能人になりたくてダンスやってる訳じゃ無いんだよ」って普通のトーンで言ったんですよね。

いやいや、結果を残してナンボでしょう!みんなに評価されるよ!?何を断っているんだと猛反対。

すると、「お前は誰かに評価される為に生きてるの?」って真顔で言われたんですよね。

そんな風に言った彼の事が、なんだか綺麗事に感じた私。”やりたい事の為にインディーズにこだわる地元バンド”のようにも見え、モヤモヤがずっと抜けませんでした。

 

結果が残せなかったら「審査員の見る目が無い」と思え

評価される為に生きているんじゃない。

そう頭では分かっている。

でも、結果が出ないと「自分は認められてない」って落ち込まない?

そんな風に彼に聞くと「俺は自分の持っているモノに絶対的な自信を持ってるから、コンテストとかで結果が出なかったら”審査員の見る目が無い”って思う」と言った天才児。

この男はメンタルも無敵か・・・もう、無双状態で最強かなと思いました。

すると、「他者評価を捨てないと、お前ずっと息苦しいぞ?」とズバって言われてしまったんです。

私にとって、「息苦しい」という言葉がぴったりハマった瞬間。

確かに、今までダンスをしていて息苦しかった。

自分に自信が無いから、結果として誰かに評価してもらいたかったのかもしれない。

自分というものがはっきりしていないから、”何が他の人と比べて足りないんだろう”と周りと比べてモヤモヤしてしまう。

この時、日本中に認められるようなアーティストになれる”成功の道”を蹴った彼の言葉は、あまりにも衝撃的でした。

岡本太郎の「常識人間を捨てろ」の話を思い出した瞬間です。

戦後で原色の絵が「奇抜すぎる・不謹慎だ」と言われても自分の絵を描き続けた、岡本太郎のように見えました。その時は、私の心の中に太陽の塔が見えた気がします。

 

彼は信念を貫いたら自分の力で結果を出すようになった

彼の行動は、当時はどうしてももったいないと感じていました。何年経っても、やっぱりもったいないだろう・・・と。

しかし彼は、ダンスの大会の審査員や、人気インストラクターとして振り付けなどを行なっています。

自分でダンス組織を作り、フリーのダンサーとして自分の踊りたいダンスをしています。

最終的に、自力で結果を出していきました。

「結果にこだわる」という意味では、周りの評価からすると芸能人になった方がよかったはず。

人気も爆発して周りに評価されて、きっと今ではミュージックステーションに出ていたんだろうな・・・なんて思ってしまいます。

でも、数年ぶりに彼に会うと、本人はすごく幸せそうでした。

「なんであの話蹴ったの?」と聞くと「だって、やりたいダンスじゃなかったんだもん。いくら有名になれても、作られた枠に入りたくなかった」と自由人らしく言い放ちました。

「息苦しいぞ」と私に言い放った彼は、すごく生き生きしていたんですよね。全く息苦しくなさそうだった。

むしろ、年を重ねているのに、21歳だった当時よりもキラキラしていました。

 

結果にこだわり他者評価を気にしすぎると息苦しくなる

自分の持っているモノは唯一無二で、それに対して絶対的な自信を持っている彼は周りの事なんて気にしていません。

評価をもらっても、「それが自分に合わないなら必要ない」と蹴った瞬間を見ました。

今って、誰でもインフルエンサーになれて、SNSで目立てて、Youtuberにもなれて・・・。

きっと、みんな「誰かから評価されたい」からスタートする人も多いと思うんです(全員じゃないですよ)

「他者評価を気にしすぎると息苦しい」と言った彼の言葉は、まるで、「息苦しい」が「生き苦しい」とも捉えられました。

他者評価でしか自分の事を評価できないと、ずっと結果を残す事に執着しないといけません。

結果にこだわる事もいい事ですし、きっと間違いではありません。結果を追い求め、成功している人もたくさんいます。

でも結果が出ないと、自分に価値がないと感じてしまうのは、ずっと生き苦しいはず。

私も彼の言葉から、「本当に好きな事・自分にしか無いもの・自分の武器」に自信を持ちたいなと感じました。

今から美容室に行くので、「ママになって落ち着いた格好をすべき」と周りの目を気にして感じていたけれど、ずっとやりたかった明るい髪色にしてきます。その方がきっと自分らしいから。

 


 

出典:文部科学省「トビタテ!留学JAPAN

【著者】あおい

元ダンス講師・キャバ嬢という異色の経歴。

20代前半でシングルマザーになり、ネットショップの立ち上げやWebメディアの運営をしているフリーランス。

色んな場面で出会った人達から学んだ、体験談を交えた話を執筆中。