オンライン英会話で連絡先交換 禁止された出会いと恋愛関係の結末

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男女の友情は成立するのかどうか。この問題は僕の人生に定期的に現れ、そして僕を大いに苦しめた。

 

大学3年生の僕は焦っていた。2か月後に複数企業の英語面接が予定されていたからだ。

グーグルで「英語面接 対策」と調べてみると、当時はそれほど一般的ではなかったオンライン英会話が出てきた。

 

いくつかあるサービスの中から、僕は毎日話しても月額5千円程度にしかならないサービスを選んだ。

 

公式サイトで講師一覧を見たものの、正直なところ誰がいいのか分からない。

人気講師が良いのは明白だが、彼らのレッスンはすぐに埋まってしまうため、予約を取るのが難しい。

人見知りな僕は1人の講師に固定したかったがゆえ、おのずと選択肢は毎日予約を取れる不人気の講師となった。

 

数名の講師とレッスンを受けたものの、どの講師も同じようなことしか言わなくて退屈だ。

講師探しに難航しているとき、出会ったのがケイトだ。

彼女の髪は栗のような赤茶色でウェーブがかかっている。写真でも思わずどきっとするほど目力が強い。

パソコンの前で待機して、ケイトから電話がかかってくるのを待つ。ある種の警報を思わせる着信音が鳴り、僕は慌てて通話ボタンをクリックした。

 

「ハーイ、シュンペイさん!」と言ったところで、彼女は止まった。

「あら、ビデオ通話にしていないのね。それじゃあ私も音声だけにさせてもらうわ。私だけ顔見せるのはバカみたいだもの」と彼女はくすくす笑った。

「私はケイト。あなたはシュンペイさんね。なんだかシャンパンみたいな響きの名前ね」

 

彼女はほかの講師とは違った。

マニュアルを徹底的に守り、生徒との会話に慎重になるタイプの講師ではない。とても人間味にあふれていて、ある種の勇敢ささえあった。

なにより彼女自身、英語を第二言語として学び、英語面接を突破した経験もあった。

 

僕はケイトをメイン講師にすることにした。

そして、その決断は大正解だった。

英語面接練習では、実践的な質問をしてくれ、一緒に回答も考えてくれた。

面接練習以外はフリートーク。すぐに話すことがなくなるのではと不安だったが、話し上手な彼女のおかげで、毎日話しても話題が切れることはなかった。

その日もまた、僕はフリートークを選んだ。

 

「オッケー。今日はあなたがテーマを考える番よね」

「今日は僕ではなく、君に話してもらいたいんだ。いつも僕が話してばっかりだし、ケイトのことが知りたいからね」

一瞬の沈黙が訪れたあと、ケイトは笑い出した。

「そんなこと言ってくれたのあなたが初めてよ!それじゃあ、私について時間たっぷり話させてもらうわ」

 

ケイトは26歳の女性で、好きな本は「モリー先生との火曜日」、好きな映画は「きみに読む物語」と「ラブ・アクチュアリー」。

日中はアメリカ人上司がいる職場で働いているため、深夜だけオンラインレッスンをしている。2つの仕事をかけ持ちしている理由は、英国に住む夢をかなえるため。

最後のコマということもあり、彼女はレッスン時間を超えても話し続けた。

 

「あっ、もうレッスン時間終わっちゃってる!ごめんね」

「大丈夫だよ。君の話を聞くのは好きだし」

「明日も話せるの?」

「同じ時間で予約を取るよ」

 

これをきっかけに僕とケイトの距離は縮まり、レッスン時間終了から10分たっても、30分たっても、時には1時間たっても話し続けることが増えた。

 

聞き上手はハートブレイカー

僕は週に4日ほどケイトと英語面接とフリートークをした。

残りの3日は、様々な英語になれるため、ほかの講師とのレッスン。

そのことを知ったケイトは、「ほかの講師と浮気しているなんて!嫉妬しちゃう」と笑った。

「ねえ、ライン持ってる?よかったら交換して、レッスン外の時間も話しましょ」

ある日のレッスン終わり、ケイトは僕に尋ねた。

 

「持ってるけど、そんなことしていいの?」

「本当はだめだけど、あなたならいいわよ」

まるで塾の講師と生徒が秘密の関係を築いているような気持ちになった。

それでもケイトの申し出はありがたかった。

毎日夜の12時ころ、ケイトからメッセージが送られ、僕たちは眠りにつくまで話をした。

 

ライン交換したことで、ケイトはよりパーソナルな部分を打ち明けるようになった。

元カレに浮気された過去、ほかの生徒の愚痴、友人の恋バナや不満、彼女の住む国では明日花キララが有名だということ。

 

「あなたは聞き上手だから何でも話せちゃう。知ってる?聞き上手な男はたいていハートブレイカーって決まってるのよ」

ケイトのこの発言は、僕の鼓動を少しだけ早めた。それは過去に何度か同じようなことを言われたことがあるからだ。

そして、僕のことを聞き上手だと言った多くの女性が、僕に恋愛感情を抱いてた。

「もしかすると、ケイトは僕のことが好きなのかもしれない…」

 

告白と関係性の消滅

僕はケイトと少し距離を置くようになった。長時間ラインで会話するのをやめ、「君は僕の最高の友達だよ」と友人関係を強調することもあった。

 

実際それまでの人生で、心を開いた人物は片手ほどしかいなかったが、間違いなくケイトはその中に入っていた。

恋愛関係になるのは避けたくとも、友人関係は続けたかった僕は、彼女にはっきりとした態度をとれなかった。

 

「ねえ、今から真剣な話をしていい?」

ケイトからこのメッセージが送られてきたとき、僕はこれから起きる展開を察して、脇にひやりとした感触を得た。

「あなたの顔を一度も見たことはないけど、私はあなたのことが好き」

僕は今返事をすべきなのか、それとも続けてメッセージが送られるのか考えた。とてつもなく長い時間に感じられたが、それはたった1分程度の出来事だった。

「あなたと一緒なら楽しいし、何でも話せるの。それにありのままの私でいられるから、とっても楽なの」

それはとても嬉しい言葉であり、僕もまた彼女と同じ気持ちだった。唯一違うのは、僕は彼女に恋愛感情を抱いていなかったこと。

 

僕にとってケイトは、人生における数少ない親しい友人だった。

僕は彼女の期待には応えられなかった。

この出来事の後も、しばらく僕たちは連絡を取り合った。しかし、その頻度は少なくなり、いつの間にか彼女からメッセージが届かなくなった。

ケイトと連絡を取らなくなって数週間後、僕は無事に英語面接を突破した。もうオンライン英会話を継続する必要もない。

最後にケイトと話そうと思ったものの、中途半端に彼女の人生に再登場すれば、それは彼女を傷つけるかもしれないと思いやめた。

 

こうして振り返ってみると、ケイトは彼女の話を聞いてくれる人物を求めていたのかもしれない。

ケイトは姉御肌の女性で、いつも友人の悩みや相談にのっていたものの、何でも話せる相手はいなかった。

そんな時に現れたのが、遠く離れた異国に住む僕だ。彼女にとって僕は、どんな話でも受け入れる神父のような存在だった。

そして、僕に抱いていた安心感や居心地の良さを、彼女は恋心と混同したのかもしれない。

 

少しの謎が関係性にスパイスを加える

後日、飲み会の席で男女の友情が話題にあがった。僕はケイトについて思い出していると、その場にいた女性がこう言った。

 

「男女の友情は成立するわ。ただし、何もかも話す覚悟があるのならね。すべてをさらけ出したら、どんなに親密でも、それは友達。少しの謎が友達を恋人にするの」

彼女の言葉は、僕がケイトに抱いていた漠然とした思いを言語化していた。友達と恋人の境界線は曖昧だ。

僕はケイトのことを知りすぎたのかもしれない。一方ケイトは、僕の顔やすべては明かさなかった私生活の部分に謎を感じたのかもしれない。

 

あれから5年が経ち、ケイトが再び僕の人生に現れた。インスタグラムのレコメンド機能が、彼女のアカウントを表示したのだ。興味本位でのぞいてみると、そこには夢だった英国で生活を送るケイトがいた。

 

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画像引用:文部科学省「留学体験エピソード特集、トビタQ」

https://tobitate.mext.go.jp/tobitaq/06/index.html

 

【筆者プロフィール】

奥川駿平

1992年福岡県生まれ。立教大学卒。

2015年、当時付き合っていた彼女と結婚するため、アルゼンチン・ネウケン州へ移住。

2年間ほど現地で働いた後、2017年よりフリーライターとして活動中。

https://mobile.twitter.com/shunpeiokugawa

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