公務員は、時に現代の貴族とも言われることもあります。
一生安泰でクビになることはほとんどなく、退職後も厚い共済年金、おまけに公務員同士で結婚すれば長期の育児休暇も確実で、復職もスムーズに行えます。
公務員試験は毎年希望者が増え、倍率は4~10倍ほどということです。
そんな狭き門を突破した公務員は皆優秀で、自らの仕事を頑張ってこなしていると思われます。
ですが、ごく一部には腐った慣習があり、腐った公務員が立場を利用し私腹を肥やすことがあります。
今回傍聴した官製談合の裁判が、まさにそれでした。
「ずぶずぶの関係」と被告自らが語る業者との接待。そして被告からおねだりするビール券。
「昔は当たり前だったから」という談合汚職の被告の姿から、皆さんは何を感じるでしょうか。
談合なんて当たり前の世界
記者でほぼ埋まっている傍聴席の1つに腰を下ろします。談合の裁判でした。
被告は40代の男性で、着慣れたスーツ姿で被告人席に座っています。
検察によると事件の概要は以下の通り。
・「価格が知りたい」と業者から言われる
・工事設計書のコピーを渡す
・その代り業者から飲食接待、ビール券などをもらう
ビール券は年10万円分ほどだったようです。
その代りに渡した工事設計書は、もちろん部外秘の重要書類。
それを「はいこれ」と手提げ袋に入れて執務室で渡していました。

詳しい内容について聞くために、被告人質問が始まります。裁判官にうながされ、証言台に歩く被告。
まずは弁護士から被告への質問が始まります。
「今回の事件のきっかけについて教えてください」
「ギャンブルなどで知人から借金をしていて、その返済のためにビール券が必要でした」
「それはいつから、どのようにして?」
「平成26年ごろから、妻にも打ち明けられず、借金で借金を返す状態でした」
「今どのくらい借金があるのですか?」
「全部で200万円ほどです」
思ったほどの借金ではありませんでした。この年齢の公務員ならば、充分に返済可能な額でしょう。
おそらく懲戒免職になってしまう被告に退職金は出ません。いまは妻のパートで暮らしているとのことです。
たかが200万ほどの借金で公務員をやめなければいけない被告。ギャンブルの恐ろしさを感じる瞬間です。なんてもったいない。
両親も経済的に困窮していて、今回の件を相談できなかったとか。
「最後に何か言いたいことがありますか?」
「自分の金銭面のだらしなさを克服し、新たな人生を歩んでいきたいと思います。」
弁護人質問が終わりました。
このコメントを本社に送るのでしょう。記者がガタガタッと席を立ち法廷を後にします。
なんてもったいない・・・。裁判のハイライトは検察による被告人質問なのに。
実際にこの裁判でも、被告人の本質に検察が鋭く切り込んでいきました。
ギャンブルで作った借金を返済するために業者の力を借りる
検察官は若く、眼力の強い男性です。
あまり普段の裁判では見かけないので、おそらくチンケな事件は捌かないエリートなのでしょう。
ばっさばっさと業界の闇に切り込んでいきました。
「ずぶずぶな関係って言いましたけど、それについて詳しく教えてください」
「飲食接待やビール券の代わりに、情報を渡すことです」
「最初はいつ?」
「平成27年です」
「相手は?」
「Yさんです」
「次はいつ?」
「平成28年です」
「それ以降は?」
「記憶していません・・平成29年にもあったかも」
「それからあなたはA地区からB地区に移動してますね?」
「はい」
「B地区に移動になり、Yとの関係はどうなりましたか?」
「とくに情報は求められなくなりましたが、ビール券のお願いはしていました」

つまり「異動になりA地区の情報は渡せないけど、ビール券は欲しい」ってことです。
根っから腐ってる小役人だなあ・・・と驚きました。
Yも驚いたでしょう。情報は渡せないのにビール券をねだられたのです。
相当悔しかったのではないでしょうか。
「異動後にビール券のお願いが、なぜできるのですか?」
「ちょっと説明が難しいけど、ズブズブな関係の流れでいけるかなと」
「で、ビール券はくれたんですか?」
「金額は忘れたましたが、くれました」
Yのニガニガしい顔が伝わってくるようです。
「あの、クソ公務員め・・・」と思っていたでしょう。そして検察の質問は別件についても切り込んでいきます。
「B地区で横領事件をしていますね?」
「はい、B地区の平和フォーラムの会計をしているときに、流用をしてしまいました」
「犯罪行為にためらいはないんですか?」
「ありましたが、借金があったので・・・」
70万ほどのお金を流用してしまったとのことです。
今回の事件には関係ないかもしれませんが、なんとなく被告の規範性が見えてきます。
後で返せば問題ない、とお金を軽く考える人なのでしょう。
10万円分ものビール券を業者にたかったのも納得です。10万円を稼ぐ大変さを知らないのでしょう。
「ズブズブの関係」と被告が表現する公務員と業者の間柄。その具体的な内容についても切り込んでいきます。
今後談合をなくすためには?被告の答え
最後に、裁判官から被告人への質問です。
「Yと知り合ったきっかけについて教えてください」
「平成15年ぐらいに、自分が監督していた工事の現場代理人でした。その後、別の工事で『前も会ったね』と仲良くなりました」
「個人的なつながりは無いんですか?」
「はい」
「利益供与を受けてはいけないのを知っていますね?」
「はい、職場で公務員倫理の研修を受けています」
「今後、再発防止策を立てる事になると思いますが、あなたの考えはありますか?」
「自分の口からとてもじゃないけど言えません・・・」
防犯は空き巣に聞け、ということなのでしょう。
しかし被告はそれに気が付かず、反省を形で見せる大きなチャンスをみすみす失いました。
アホだなあ。
「あなたの職場では『他の人もやっているから』という感じですか?」
「昔は当たり前だったから・・という感じです」
当たり前だったんですね。驚きはしませんが、腐ってるなあ。
被告の態度からは「なんで俺だけ。。」という空気が溢れています。
結論:自分の仕事に誇りを
この裁判では検察は懲役1年を求刑し、3年の執行猶予がついて結審しました。
被告は「今回の件を十分に反省し、新たな人生をスタートさせたい」と前向きでした。
民間人になって初めて、自分のやってきたことが異常だったことに気づくのでしょう。
私も過去に異常な業界で働いていました。かんぽ生命の営業マンです。
そこでは悪質な営業をする人が一定数存在し、評価されます。
NHKがドキュメンタリーとしてそのことを報道するまで、それが当たり前の世界でした。
自分のやっていることが良くない事と知りつつも、仕事だからと実行してしまう。
そんなことをしていては自分に誇りが持てないし、お金の代わりに大事なものを失ってしまうんです。
退職し、民間の仕事に就いて、初めてそれを知ることが出来ました。
悪事が習慣化している仕事なんて辞めてしまうべきです。
自分の仕事に誇りを持てない人間はカッコ悪いし、腐ってます。
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【著者プロフィール】
ライター名 : 野澤 知克
自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。
現在は兼業ライターとして、介護の仕事をしながら裁判所に通う毎日。
事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。
Twitter:@hatinoyado
