高橋との出会いは、私が大学4年生の時。
当時、卒論の準備が始まるころだったこともあり、私はよく大学近くのカフェで卒論作業をしていました。
高橋はそのカフェで働くウェイターだったのです。
見た目は少し長めの黒髪に緩めのパーマ、丸眼鏡をかけた雰囲気イケメン。
背が高く細身なため、カフェの制服である蝶ネクタイに白シャツ、長めの腰巻エプロン姿がよく似合います。店頭にいるとかなり目立つ存在です。
私はかなり頻繁にそのカフェに通っていましたが、高橋も同じく大学4年で暇だったのか、ほぼ毎日出勤しており、仲良くなるのにあまり時間はかかりませんでした。
そして、高橋に引かれない程度のアプローチを掛け、高橋とのデートにこぎつけたのでした。
初デート
純喫茶でバイトするだけあって、カフェめぐりが趣味だった高橋。
初回のデートは、ケーキとコーヒーがオススメだという、渋谷の純喫茶を指定されました。
私はいつも通り「媚びすぎないモテ服」を意識した出で立ちで、渋谷のハチ公前で立っています。
Aラインのワンピースにカーディガン、小さめのハンドバッグに揺れるピアス。
童貞が興奮する「The★女の子」で、勝手に”清楚”と勘違いしてくれるコーディネートです。
待ち合わせ時間は金曜の13時。待ち合わせ時間5分ほど前になってから、高橋はやってきました。
「生まれも育ちも渋谷のヴィレッジヴァンガード」といった雰囲気の、いかにもサブカルチックな出で立ちです。
THE オシャレ上級者といったところでしょうか。
私の服装から「男にモテたい」という下心を気取られてしまうのでは…?
と不安になる程度には服にこだわりを持っていそうです。
この雰囲気、相手もそこそこモテてきたに違いありません。
気を抜くとこの勝負、敗戦の色が濃くなってしまいます。
私は気を引き締めなおして初デートに臨みました。
しかし、私の心配をよそに初デートはとても順調に終わりました。
普段から会話をしていたからなのか、高橋のコーヒーの知識が深く勉強になったからか、会話が弾み特に問題なく終了したのでした。
高橋、卒業旅行へ
最初は「ちょっと味見できればそれでいいや」程度に思っていた相手でしたが、予想以上に相性がよく、私は自然と高橋に惹かれていきました。
普段ならさっさと身体の関係を持って、飽きたらすぐ逃走する私。
でも私にしては珍しく、高橋とは丁寧に付き合っていこうと決めていました。
おそらく高橋も私と似たような感覚で付き合ってくれていたのだと思います。
時々いい雰囲気になるものの、お互い手は出せずに2か月ほどカフェ巡りをしては別れるという流れを繰り返していました。
そんなある日、高橋が夏休みを利用して卒業旅行を計画していると知らされました。
バイト三昧だったのは卒業旅行資金を貯めるためだったようです。
高橋の卒業旅行は一人旅で、場所はインド。
期間は10日間ほどで、タージマハールやガンジス川を巡る定番ルートを自分で計画したとのことでした。
少しの間会えなくなるのは寂しいものの、ぜひ楽しんできてほしいと心から思い送り出します。
しかしこの時の私には、この後、高橋と私の身に起こることなど想像できていなかったのです・・・。
インド帰りの男
そろそろ9月になろうとする頃に、インド旅行から帰ってきたと高橋から連絡がありました。
土産話も聞きたいし、何より高橋に会えることが嬉しくて、私はすぐデートの約束を取り付けます。
デート場所を2人お気に入りの純喫茶に提案したのですが、高橋は「インドが恋しい」と、インド料理店に行くことに・・・。
恋しくなるの早くね?
まぁ、それだけインドが楽しかったんだな、と理解してインド料理店で待ち合わせすることになりました。
ところが、待ち合わせ時間になっても高橋は一向に現れません。
いつも必ず5分前には待ち合わせ場所に来るのにも関わらず、10分経っても連絡なし。
待ち合わせから20分ほど経ったころ、やっと高橋が来ました。
連絡なしで遅刻するなんて…とさすがにイライラした私は、高橋に文句の一つでも言ってやろう!と思い、高橋を見やります。
そして私は思わず固まりました。
(誰だこいつ…)
インドかぶれの男
旅行前はあれだけキレイに整えられていた黒髪パーマですが、今はボサボサに伸び見る影もありません。
髭も中途半端に伸びていてかなりだらしない印象です。
高橋・・・お前どうした?
格好も大いに違います。
アジアンテイストが過ぎる。アジア雑貨店の店員さんかお前は?
これまでずっと白黒で身体にフィットする服ばかり着ていたのに、今の服装はかなりカラフルで、パンツもトップスもダボダボです。
しかもお香の甘ったるい匂いが強すぎる!くさいよキミ!
インパクトが強すぎてイラっとした気持ちが斜め上のほうに吹っ飛んでいきました。
遅刻の理由を聞きましたが、
「瞑想していたら時間を忘れた」
「・・・」
マジでどうした?
とにかく一度気持ちを落ち着けようと店内に入ります。
しかしその日はインド、インド、インド。インドの良さを存分に語られ尽くしました。
インドがどれだけ素晴らしいかの解説されまくったのです。
「俺さ、インドで人生の真実を見つけたんだ。インドには人を解放する力があるんだよ。」
いやさ、でもお前、10日間しかインド行ってなかったろ?
高2の時、夏休みを利用して1か月だけオーストラリアに短期留学した伊勢崎さんを思い出します。
彼女はオーストラリアから帰国後、半年間は「やべ!」を使う場面で「oops!」しか話せなくなる病に罹りました。
高橋は今まさにあれと同じ病に罹っています。
その日は高橋の変貌ぶりに驚きすぎて、状況を飲み込めないまま帰宅しました。
多摩川はインド・・・?
卒論作業も少し落ち着き始めた9月後半のころ、私は高橋から多摩川に行こうと誘われました。
は?多摩川でなにすんの?
この時の私は、高橋を恋愛対象としてではなく、宇宙人になった知り合いとして接するような気持ちになっていました。
若干めんどくさいことになりそうな予感もありましたが、怖いもの見たさが勝って、会ってみることにしたのです。
多摩川駅に現れた高橋は、髪も髭もさらにボサボサになっていました。
・・・キミ、就職大丈夫?
格好も相変わらずアジア寄りです。
男だけどそのうちサリーでも着てしまいそうな勢いです。
とりあえず、多摩川に来た目的を聞いてみます。
「多摩川はガンジス川に似ているから…。」
似てねーよ。ガンジス川見てきたなら良くわかんだろ?
とりあえず多摩川の河川敷に下りてみます。
そこそこキレイな川だね。
すると突然、何を思ったか、高橋は多摩川に入っていきました!!
私は思わず自分の清楚キャラの設定も忘れ、叫んでしまいました!
「いや、服どーすんだよ!!!」
「着替え、持ってきてるから」
「そういうことじゃねーーーーーよ!!」
「ガンジス川でした水浴びが忘れられないんだ・・・」
もうこいつはダメだ。
インドの魔力にあてられて、行ってはならないところにいってしまったのだ。
私はそっと心を閉ざし、彼との別れを決めました。
まとめ
水浴びを始めた高橋を多摩川に置いて、私は高橋の存在を記憶から抹消しました。
インド、恐ろしい国です。
たった10日でサブカル純喫茶オタクをインドかぶれに変えてしまったのですから…。
インドの何が高橋を変えたのかは知りませんが、インドの魅力は凄まじいものだったに違いありません。
貴方もインド旅行に行く際にはお気を付けを。インド帰りに何かを悟ってしまうかもしれませんからね…。
それでは今日はこの辺で!
今日もお読みいただきありがとうございました!

画像引用:国土交通省「PRI Review」
【著者】ちんかぴ
アラサー既婚者。
夫との結婚生活10年弱だが現在もラブラブ。穏やかでやさしい息子と3人暮らし。
結婚までの男性遍歴は30人以上。隠れ肉食女子として暗躍し、最大5股を経験。
様々な男性との接触で得た「モテる男」と「モテない男」への気づきを徒然なるままに書いていきます。

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