刑務所で切腹した被告!法廷で必死の訴えも裁判官にまで失笑された理由とは

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理不尽なことを言われたら選択肢は3つです。

従うか、戦うか、逃げるか。

このうち最も疲れるのは戦うことでしょう。そして法廷では、理不尽と戦う被告をしばし傍聴することがあります。

 

建造物破壊の裁判がありました。

傍聴してみると被告は刑務所に服役している囚人で、独房の窓ガラスを割ってしまったのです。

 

この被告は怒っていました。自らの身に降りかかった理不尽と戦っていたのです。

その勝ち目のまったくない戦いを傍聴したのですが「戦う場所は選べよ」と感じた裁判でした。

 

喋る被告!法廷で戦うロンリー囚人

建造物破壊の裁判です。被告は現在服役中の囚人で、30歳ほどの男性です。罪名の建造物破壊の「建造物」とはつまり刑務所のことで、被告は収監中に独房の窓ガラスを割り、裁判になってしまったのでした。

 

この日は証人が呼ばれ質問をする日でした。

裁判官が「その前に軽く前回の証拠調べで確認する点を・・・」と事務的なやり取りが始まったその時です。

「ハイ!」

と被告が天高く手を挙げたのです。

その発声、手の角度や指の反り具合、完璧な挙手です。

刑務所ではなにをするにも刑務官の許可を得なければならないので、こんな完璧な挙手を身につけたのでしょう。

 

しかしここは法廷、被告は何かを言いたいのですが、そう簡単に発言できるわけではありません。

裁判で被告が自由に言いたいことを言えるのは、本当にわずかな時間しかなく、喋るのは主に弁護士や検事。基本的に被告は質問されたら答えるだけです。

 

ですのでこんなタイミングで発言を求める被告は大変珍しく、裁判官もあまり経験なさそうでした。

「えっと・・」と面食らっています。

しかし被告は構わず、裁判官に主張を始めました。

 

「写真に間違いがあるので訂正させてください!」

「じゃあ、被告人質問の形で、手短にお願いします」

裁判官が折れ、被告の意志が伝わりました。こうして番外編、形ばかりの被告人質問が始まったのです。

 

被告人はまず「手紙をもってって良いですか?」と許可を求めます。

考えてきた原稿があるようです。

もはや被告人「質問」ではなく被告人による「スピーチ」になりそうでした。

やむを得ず弁護士が形式的に質問する形で、被告の主張が始まります。

 

「証拠について意見があるんですね?」

「はい、ありますね」

「じゃあ、写真だすね」

問題の写真が提示されたようでした。傍聴席からは見えませんが、どうやら被告が破壊した窓ガラスとその現場の写真のようです。その写真を見ながら被告が話し始めました。

 

「これは刑務所の安全管理に問題があり、さも私が壊したようなフェイク写真があります。本件、○月○日。形だけの実証検分があり、私はかわいそうなのでやってやったら・・カメラマンにも騙されました」

証拠として採用された写真をフェイクだと主張する被告。

その口調はとてもスムーズであり、何度も頭の中で練習してきたような形跡があります。

手紙に書かれた被告の主張は長く、必死にメモを取りましたが追いつきません。

 

なぜ、こんなに被告は怒っているのでしょうか。その理由がスピーチのクライマックスで明かされました。

 

え?刑務所の窓ガラスって100万もするの?

「請求書が95万7千円!私がやったのはガラスだけなのに!窓を全部取り換える!?科学的根拠に基づいて考えてもおかしい!」

「何事もオスとメスがあるように、サッシにも引きずり跡がないとおかしい!」

 

まるで探偵小説に登場する名探偵のようです。被告の口調は怒りにみちみちており、自らにふりかかった理不尽に対して戦っているのでした。

さらにガラス代が100万近い金額というのも、被告の怒りに油を注いだようです。

刑務所のガラスがどんな構造になっているか分かりませんが、無理もないことでしょう。

 

ですが彼は、戦う場所が間違っているのに気づいていません。

今は裁判官のお情けのように与えられた被告人質問です。真実をあばきたいなら弁護士に代弁してもらうのが常套手段です。

 

しかも時間が押しており、手短にと言われたにも関わらず、被告人の大演説は続きます。この後は証人への質問が控えていて、余分な時間はありません。

 

裁判官は「まだかかりますか?」と何度か注意しました。

 

弁護士も「ね、もういいでしょ」とうながします。

被告だけが「もう少し、せっかくだから」とスピーチを続けようとします。

 

裁判官が失笑を通り越しイライラし始めました。

それが被告にも伝わったのか、もっと言いたいことがあったけど・・・というそぶりで引きさがります。こうして形ばかりの被告人質問が終わりました。

 

そして本日のメインイベント、刑務官が証人としてやってきます。

 

ガラスで切腹!刑務官って大変

屈強な中年男性が柵を超えて証言台に向かいます。証人である刑務官です。

彼にまずm検察が質問しました。

 

「刑務官ですね?」

「はい」

「118号室には1人部屋ですか?」

「はい」

「被告がそこに入っていた理由はなんですか?」

「工場でモメごとがあり、その懲罰です、閉居罰」

「閉居罰とは?」

「自分がやった事を1人で理解するものです」

 

被告は刑務所内の工場でトラブルを起こしたようで、独居房に入っていたようです。

 

「居室検査は行いましたか?」

「部屋に入って鉄格子、備品を検査しました」

「窓は?」

「触って検査します」

「どうして?」

「逃走の恐れが生まれ、凶器にもなりうるからです」

 

窓ガラスは重要なアイテムなんですね。そして質問は事件当日の話になりました。

 

「被告はその日、工場に出場しましたか?」

「する予定の前に、四種、反省の色なしが見えたので、1人個室で刑務作業をしていました」

 

そして証人は検察にうながされ、その日の出来事を話し始めました。

 

「PM3時06分、ガシャンと音がして担当台から音がした方向に歩きました。118号室の窓が割れ、窓枠が外れていました。被告人がガラスの破片を拾おうとしており『やめろ!』と言うが従わず、非常ベルを押しました。戻ってくると被告人は居室中央で立ち膝になり、腹を切っていました」

 

は・・腹!?なぜに切腹を!!??しかし、残念ながら切腹した理由は語られませんでした。被告人の演説が長くて時間が押していたのです。裁判はここで終了してしまいました。

 

裁判の後で被告が切腹した理由を想像してみました。工場のトラブルがよほど癪にさわったのか、それともただ死にたくなったのか。

いずれにせよ、どうしても許せない理不尽なことが被告に起こり、その抗議や怒りの表現だったのかと思います。戦い方は間違っていますが、理不尽に立ち向かう被告の行動力には感服しました。

 

まとめ:戦うべき場所を見極めなければならない

窓ガラスを割っただけなのに100万円近く請求された被告。彼の怒りはもっともだと思います。

もしかしたら、刑務所が特定の業者と蜜をすすりあう関係になっていて、法外な値段を被告に請求したのかもしれませんからね。

 

今回は割れてしまいましたが、刑務所でガラスは凶器にも武器にもなります。

被告人は切腹に使いましたが、他の囚人を傷つけたり、刑務官を人質にとったりなども使えるでしょう。だから特殊なガラスなのかもしれません。

 

しかしながら、戦う場所は選ぶべきです。理不尽と戦う被告の姿には感動さえしましたが、法廷で叫んでもあまり意味がりません。なぜなら法廷には法廷なりのルールがあり、それに則らなければいけないからです。

ルールを無視して、声高に刑務所の闇をあばこうとしても無駄です。傍聴人はせいぜいヒマな一般人しかいません。

 

戦うなら、フェアに自分の話を聞いてくれる人がいる前で、かつ冷静に。激情に自分を見失っている人の話って、失笑を買うだけで誰も聞いてくれませんよ。

 


 

【著者プロフィール】

ライター名 : 野澤 知克

自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。

現在は兼業ライターとして、介護の仕事をしながら裁判所に通う毎日。

事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。

Twitter:@hatinoyado


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