裁判官、検察官からリンチ状態の犯罪者 イケてる男は彼から何を学ぶ?

辛い現実から逃げることは、決して恥ではありません。

ブラック企業はもちろん、理不尽な環境や抑圧された人間関係から離れるのは良いことです。

人は誰でも、自分の心と体の健康を守ることが第一です。

 

ただし、その逃げ方にももちろん、やっちゃいけない逃げ方と言うものがあります。

それが今回の、家出した33歳男性の生き方です。

辛い現実から逃げ万引を繰り返したため、ついに正式裁判になってしまいました。

 

逃げ方は、生き方に通じます。ただ逃げるだけではダメなんです。

そんなダメな生き方をしてきた33歳ダメ男の逃亡記をご覧下さい。

 

出典:財務省「税金が足りないと、町は泥棒天国

 

家出を繰り返す33歳の生き方

 

身柄を拘束されている被告は、腰縄と手錠を付けて法廷に入ってきました。

33歳の男性。体は細身で、顔はイケメン。

彼がやった罪は「窃盗」、つまり万引きです。

 

彼のこれまでの人生は、逃げの連続でした。

無職期間が長く、たまに短期の仕事をやるぐらいで何一つ長続きしません。

以前の彼はニート状態で、母親との2人暮らしでした。

しかしそのような環境に耐えきれず「1人暮らししたい!」という希望を持ち、家出します。

 

そして被告は大きな街まで行き、仕事を探すのですがそう簡単に見つかるものではありません。

所持金も1万円ほどしかありません。

考えあぐねた被告は、コンビニから漫画を大量に万引きしてしまったのです。

そしてそれを転売し、そのお金でホテルに宿泊。翌日も、また翌日もそれを繰り返しました。

判明しただけで612点、金額にすると13万2712円に及ぶ卑劣な、1ヶ月あまりの万引き生活でした。

 

「売れそうな本を盗んだ」と、反省の色も見せずに話す被告。

この歪んだ生活は、とあるコンビニ店長に見つかったことで終わりを告げました。

 

正式裁判になった店長の言葉

 

万引きは通常、簡易裁判所で裁かれる罪で、悪質なものに限り正式裁判になります。

被害弁償をし、謝罪をすれば正式裁判まで行くことはほとんどありません。

ですが被告は前科3犯、そして何よりインパクトがあったのが店長の心情です。

 

「簡単に人の物を盗む根性が許せない」

検察が代読する被害者感情。

必死にコンビニの経営をする店長にとって、被告の生き方は許せるはずもありません。

 

法廷で公開リンチ状態になってしまった被告

 

被告人と2人暮らしだったという母親の姿は、法廷にありません。

「もう面倒は見られない」と縁を切られてしまったのです。

弁護人から現在の被告の状況と、今後の生き方について質問が始まりました。

被告は逮捕拘留されていて、今は留置所から拘置所に移されて生活しています。

 

弁護士「今後どうしていきますか?」

被告「拘置所での生活は辛いです。」

弁護士「いえ、今後です。どうしていきますか?」

被告「行政の力を借りて、生活を立て直します。」

 

ここでいう行政の力を借りるとは、生活保護を意味しているのでしょう。

それは被告にとって社会復帰に必要な制度かもしれませんが、余りにも軽率な発言に検察官と裁判官が反応します。

そしてここから、怒涛のネチネチ攻撃が始まりました。



検察「どうして家出したの?」

被告「仕事を見つけるため、でも見つけられなかった」

検察「何で仕事を見つけられなかったの?」

被告「選んでいたからです」

検察「どうして選んでいたの?」

被告「今後の人生で長い時間をかけるからです」

検察「万引きするぐらいなら、家に戻れば?」

被告「戻れなかったです」

ここで検察官は被害額と万引きした期間を読み上げ、被告を精神的に追い込みます。

もちろん、攻撃はさらに激しさを増していきます。

 

検察「お母さんが『もうアンタの面倒見切れない』ってさ。お金困ったらどうするの?」

被告「・・・」

検察「また万引きするんじゃないんですか!?」

弁護士「異議あり、繰り返しです」

検察「繰り返しじゃないですよ」

裁判官「繰り返しではありません。検察官は続けてください」

 

もはや、検察、裁判官によるリンチ状態です。

もしかして弁護士も、わざと煽ったのでしょうか。

さらに質問は続きます。

 

検察「仕事見つからないで、すべてダメだったらどうするの?」

被告「頭を下げ続けて・・」

検察「誰に頭を下げるの?で、仕事は?どうするの?」

被告「職種も選ばず、住み込みとか、生活安定、それまで仕事を選びません」

 

「行政のお世話になり・・・」などと簡単に口にしてしまったために、エライことになってしまいました。

さらに裁判官も参戦します。

 

裁判官「11月に捕まっているよね。今回、また4月にやってますよね。なぜ?」

被告「考えが甘かったです」

 

ここで少し、裁判官と検察官の攻撃が一息つきました。

おそらく、被告からこの言葉を引き出すためのネチネチ攻撃だったのでしょう。

全てにおいて甘い。

嫌なことからすぐに逃げる。

最後には、生活保護のお世話になるといい始める。

そんな被告が社会に迷惑をかけない大人になるための成人式が、この言葉によって終わったように感じられました。

 




被告は辛いことがあればすぐ逃げ出してしまう、そして生活のために万引きを繰り返してしまいます。

そんな被告の為に行われた法廷の成人式。

ただ罰を与えるだけでは、きっと被告はいつまでも、成人しないのです。

私には、裁判官、検察官の激しい攻撃は、実は被告のためを思ってのものに見えました。

 

結論:精神論だって必要な場合がある

 

繰り返しますが、逃げることは恥ではなく悪でもありません。

しかしこと、この被告に関しては逃げ方が酷く、また逃げた後も悲惨すぎであることは論を待ちません。

「どれだけ辛くても、気合いと根性で職場に根を張れや!」

という昭和の精神論を叩き込むべき、非常に稀少な例外と言えそうです。

そうしなければきっと、

「お客さんに怒られた」

「エアコンが効きすぎて辛い」

などと些細な言い訳を重ね、現実から逃げ続けるでしょう。

 

被害店長の言葉である「根性が許せない」が印象的です。

1人前の男になるに、彼は気合いと根性で生活を作っていかねばなりません。

被告はきっと、それを教えてくれる人に人生で一度も、出会えなかったのでしょう。

 

令和の時代、男性的な父親像は過去のものになっています。

気合いや根性を説く人は、陰で笑われてしまう存在です。

女の子にもモテないでしょう。

スマートに、そして上手に社会を生きていく。そんな男性がもてはやされています。

 

ですが、それが生来出来るのは、強い精神力を持っている人だけなのです。

多くの子供達は、やはり誰かから鍛えられる必要があるんです。

 

この裁判を傍聴して、自分を鍛えてくれた人たちを思い出しました。

あの時は憎かったけど、今となっては感謝しかありません。

 


 

【著者】野澤 知克

自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。

現在は専業ライターとして、裁判所に通う毎日。

事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。