裁判傍聴は生き方の見本市、大麻に溺れた様々な人間模様

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我々一般人にとって大麻は遠い存在で、芸能人やスポーツ選手が大麻で捕まるニュースを耳にするぐらいでしょう。


大麻にはどのような害があるのでしょうか。
裁判傍聴を通じて知った大麻で捕まった被告の人生、生き方についてご紹介します。


大麻と関わってしまった人生、その様々な生き方は大麻がどのような存在であるか教えてくれます。

アウトドアガイドの大麻ハンターが刈った大量の大麻

北海道に住む40歳の男性。
彼は北海道でアウトドアガイドとして働いています。
肌は浅黒く焼けていて、自由人と言った風貌です。


彼は自分で大麻を探して刈り取っていました。
その大麻を検察官が証拠として提出します。
出てきたのが大きな袋で、大量の大麻がぎっしりと詰め込まれていました。


「これはあなたのですか?」と美人検察官が質問しました。
被告は「はい」と正直に答えます。
そして「1日で刈り取りました」と証言します。


大麻は合計500gありました。
え、この量を1日で?と傍聴席から聞いていて思います。


「普通にドライブして○○○を歩けば見つかります」と被告は言いました。
大麻に詳しい人間から見れば、生えている場所はすぐにわかるのだとか。
そんな被告人の大麻歴は10年以上のベテランです。
10年前に一度大麻取締法違反で捕まり、そして今回が2度目の裁判になります。


執行猶予を勝ち取るために、弁護士が証人を呼びます。
被告の父親が呼ばれ、証言台に立ちました。
裁判では肉親が証言台に立ち、被告の更生を監督すると宣言するのがよくあるパターンです。


検事が「10年前にもあなたは息子の更生を約束してましたよね?」と質問します。
これは「その約束が守られなかったから、息子さんが再び大麻を使うことになったのだ!」という理屈です。


それに対して証人は「ですが、70歳の私が40歳の息子を監督するというのは限界があります」と言い返しました。
こちらも納得の理屈です。


続いて被告人が証言台に立ちます。
大麻を刈り取った場所について質問されましたが、適当にドライブして発見したので覚えていないとのことです。
弁護士も立ち上がり「警察によって虚偽の証言をさせられました!」と言います。


つまり、被告にとって大麻が生えている場所など、なんでもない場所に過ぎないのです。
ですが、警察は調書を作らねばならず、そんなあやふやな書類は作れないのでしょう。
「じゃあ、ここで刈り取ったことにしろ」と被告に対して指示したとのことです。


裁判はグダグダな感じになってきました。
被告は罪を認めているので、親の監督なり反省の態度なりを見せれば良いだけなのですが、どちらもハッキリしないのです。


「大麻をやめることができますか?」という質問に対し「できます」とハッキリ答える被告。
「大麻の優先順位はパチンコ、音楽、スノボの次ぐらいですので、自由を失ってまでやることでははありません!」という被告らしいセリフが聞けました。

さらに「北海道を出れば大麻をやめられます、僕にとって買ってまでやる物ではないからです」と証言。
弁護士も「被告はこの裁判が終わり次第、本州で仕事を見つける予定です」と付け加えます。


裁判も終わりかけて、無事執行猶予付きの判決がおりそうな雰囲気です。
しかし被告はここで驚きの発言をしました。


「それでも、大麻ってそれほど悪いものじゃないと思うんですよね・・・」


とことん正直な被告です。
それを裁判で言っちゃうあたりが、憎めないキャラクターだと感じました。
弁護士が慌てて発言を遮り、裁判は終了しました。

ルームシェア男と友人切り男

次は、友人とルームシェアで生活していて、大麻で捕まった男の裁判でした。
自然に生えている大麻を採取して捕まります。量は252gですが、それで1年分とのこと。
この裁判では母親が証人として出廷していて、悲しみで声が出ていませんでした。

ボソボソと喋る母親に裁判官から注意が入ります。


「もっと大きな声で喋ってください!」


母親は裁判官に言われ、なんとか聞こえる声を出します。
そして、これからの被告との生活について語りはじめました。


地元に連れ帰り、一緒に生活することを約束しました。
大麻の裁判では重要なポイントです。


続いて被告人質問になります。
「なぜ、大麻を使ってしまったのですか?」という質問に対して「よく眠れるから」という被告。
ルームシェアの為に購入したマンションは売却し、友人と別れ母親と生活することを約束しました。


被告人の大麻歴は中学生のころからということです。
10年前には覚せい剤でも捕まっていて、大麻に対する罪の意識も薄かったのではないでしょうか。
それでも、裁判は辛いよなあと傍聴していて感じました。


なぜなら、母親の悲しむ姿、それを傍聴人に見られるのは大変な屈辱だと思います。
しかもこの裁判では、傍聴ツアーのような団体が来ていて、20人近い傍聴人がいました。
休廷後にすぐ判決になり、懲役2年、執行猶予3年の判決でした。

また、別な被告。
彼は大麻を吸い始めて3か月で逮捕されました。


友人から勧められ、その友人の名前も出しています。
小さい時からの幼馴染でしたが「友人の名前を出すことに抵抗はなかったんですか?」という質問に「ありません」と答えます。


「やってしまった罪を償うべきだと思ったからです!」


と言いました。
私は傍聴席から心の中で拍手を送ります。


名前を出したことで、被告人は幼馴染と絶縁状態になってしまうでしょう。
自分の罪を認め、深い反省があったのだと感じました。
たった3か月でも大麻によって友人を失ってしまったのでした。


大麻はおそらく簡単にやれてしまうものなのでしょう。
そして、この両者の裁判を見るに、人間関係を簡単に壊すものであるのは間違いありません。
軽い気持ちでそれまでの生き方を変えざるを得なくなってしまうのです。

ヒップホップとカッコ悪い生き方

次は、「ブラックミュージックが好きです」と法廷で証言する34歳の男性が被告でした。
スーツ姿が似合っています。
彼が大麻で捕まったのは2回目、その時は25歳でした。


前回は起訴猶予でした。
被告はその後結婚し子供も生まれます。
結婚している間は大麻を止めていましたが、つい最近離婚して仕事も辞めてしまいます。
月5万の養育費と慰謝料があるのですが、なぜ仕事を辞めてしまったのでしょうか。

「16年もやったのでそろそろ・・・何するってわけじゃなく、海外とかで働きたい」という被告。
弁護士から具体的な計画について質問されると「いや、具体的には何も・・ただ、ブラックミュージックが好きでミュージックビデオを作る仕事などをやってみたい」と言います。
そのような、フワッとしている理由で仕事を辞めてしまい、大丈夫なのでしょうか。


大麻の使用に関しては「私の考えが甘かった、人生やり直したいです」と言う被告です。


そして母親が証言台に呼ばれました。
この母親も凄かったです。
被告が今後大麻をやらないように監督すると宣言するのですが「具体的にはどうするんですか?」と検察に質問されます。


「1人では運転させず、お酒を飲むときも一緒についていきます」
「え、一緒にお酒を飲むってこと?」と裁判官。
「悪いお店や友人の所に行かせず、大麻を使わせないということです」


ポカーンとした空気が法廷に流れました。
34歳の息子が酒を飲む場所に同席する母親。
その絵を想像しただけでいたたまれなくなります。


最後に裁判官から強烈な説教がありました。
「これは刑事事件とは関係が無いのですが・・」と前置きの後「あなたは人生やり直したいと言いますが、やり直しはできないと思います」と言いました。


「過去を無かったことにできません、人生はやってきたことの積み重ねです」と重い言葉です。
その言葉は傍聴席にいる私まで響きました。

まとめ:大麻は生き方を破壊する

裁判を傍聴していて感じたのは、大麻をやる人は特別に悪い人ではないということです。
軽い気持ちで、大麻ぐらいならいいやとやってしまった人ばかりでした。


ちょっと興味がある人ならば、簡単に自生している大麻を探すことが出来るのでしょう。
しかし、そのような場所には警察の監視があり、マークされてしまえばあっさりと捕まってしまうのです。


そして大麻で捕まってしまうと悲惨です。
仕事や人間関係、住んでいる場所、親の信頼などあらゆるものが崩壊してしまいます。


裁判官が言った「人生は積み重ねです」という言葉が忘れられません。
自分が積み重ねてきた物を犠牲にしてまで、大麻をやりたい人はいないでしょう。


私は今まで自分が積み重ねてきた物について考えました。
仕事の信頼、友好な人間関係、家族との信頼など、今までちょっとずつ積み重ねて来ました。
それは長い時間と努力がしみ込んだ、自分自身と言えるものです。


自分が積み重ねて来た物より価値のある物はありません。
そしてそれこそが、「カッコよく生きること」でもあります。
大麻で人生を破壊することは極端な例かもしれませんが、嘘、ごまかし、不誠実・・・
大麻とおなじくらい、あっというまに積み上げたものを壊してしまう人の弱さは多く存在します。
ぜひ、そんな弱さに立ち向かい、カッコよく人生を歩んでいけるように頑張りましょう。


野澤 知克
プロフィール:自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。現在は専業ライターとして、裁判所に通う毎日。事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。

Photo by Sven Brandsma on Unsplash

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