犯罪ほどコスパの悪い商売は無い!ナマコ密漁で稼ぐ男たちの生き方

 

被告人の数が10名以上の密漁事件を傍聴しました。

獲られていたのはナマコです。

密漁の現場は北海道の稚内で、ここのナマコは中国で漢方薬として人気の食材です。

 

密漁集団は酸素ボンベを用意して深夜の海にボートを出し、海に潜ってナマコを獲りました。

密漁は大人数で行われ、彼らの為にアジトを用意したり、車を用意したり、大変な事業です。

バックには暴力団があるようですが、逮捕されるのは使い捨ての男達でした。

 

裁判では密漁ナマコの単価、そして1人当たりの収入まで明らかにされました。

普通に働いた方がマシなのでは?と思ってしまったナマコ密漁者たちの生き方です。

 

 

ナマコと集められた男達

漁業法、水産資源保護法、北海道海面漁業調整法違反という罪名の裁判を傍聴しました。

長い罪名ですが、要するに密漁です。

法廷には4名の被告が並んでいました。

それぞれの弁護士も付いていて、刑務官も5名の大人数でした。

人の多い法廷です。検察はたった1人で証拠を読み上げました。

400㎏という量に驚きましたが、これでも密漁全体の一部に過ぎません。

今回摘発されたグループは10名ほどですが、他にも20名規模の密漁グループが存在しているとのことです。

 

黒幕は暴力団です。

しかも暴力団は労働力をかき集めるだけで、逮捕されるのは集められた男達。

裁判で裁かれるのは通常は風俗店などで働く労働者でした。

法廷に4人の男達が並び、効率的に裁判が進んでいきます。

 

今回の被告は黒幕の暴力団員の弟であり、密漁の実行犯でした。

検察による厳しい追求が始まります。

 

「車の名義はあなたですよね?名前が残ってるから逮捕されるかもって言われていたでしょ?」

「・・・・」

「アジトで何話してたの?朝から夕方までいたんでしょ?」

「覚えていません、寝ていました」

「密漁やめてどうするの?」

「実家で生活します」

「実家でって(笑)ずっと住む気なの?できるかなあ?」

 

被告の兄の供述が取れれば、黒幕逮捕につながるからでしょう。

検察は挑発的な口調で質問を続けます。

 

被告1人につき弁護士が1人ついているのも、黒幕の情報を漏らさないようにするためです。

拘留中の被告は弁護士により接見禁止にされています。

黒幕の手下である弁護士としか話すことが出来ず、家族は面会することはできません。

それにより、被告は「何もしゃべるなよ」というプレッシャーを受け続けます。

法廷で被告が喋るのは密漁の手口と段取りだけでした。

 

ナマコ密漁の手口と逮捕劇

普段は札幌の風俗店などで勤務する被告は、兄に誘われて密漁グループに加わったようでした。

その兄は暴力団関係者です。

集められた男たちは被告名義の3台の車に乗り込み、途中スキューバの機材などを調達して、最北端のアジトに集合します。

夕方までアジトで時間をつぶし、陽が落ちるのを待ちました。

身体を休めるのは密漁が夜通し行われる作業だからでしょう。

 

密漁が始まったのは17時。

現場は最北端の夜の海です。

あらかじめ置かれたライトを目印に、複雑な海の地形を読むボートの操縦士。

そして10m程の海底に潜ってナマコを密漁します。

被告は警察が来ないか見張る役「オカバリ」でした。

 

密漁の被害が相次ぐこの地域では、警察はあらかじめ密漁に警戒していました。

漁業関係者もナマコ資源を守る為に自主的にパトロールをしていました。

「密漁者がいる」と警察に連絡が入り、一斉検挙に動き出します。

 

警察は密漁者が仕事を終えるまで待ちます。

朝になり、密漁者が400㎏のナマコを車に積み込んだころ動き始めました。

警察がやってきたことをオカバリの被告が気付きます。

彼の合図でクモの子を散らすように逃げる密漁グループ。

ボートに乗り込み海に逃げるもの、車で逃げるもの、全員の逮捕とはなりませんでした。

 

被告はボートに乗り込み、海に逃げることに成功します。

それから1週間ほど最北端の町に滞在し、地元に帰りました。

しかし、車の登録から逮捕されてしまいます。

 

気になる日当は1日1万円ほどだったと言いました。

「普通に働くよりは楽かなあと」ということです。

 

密漁だけでは生きていけない男の生き方

被告は密漁を「2~3年前から、年に10回ぐらいやりました」と言います。

オカバリの仕事は1回につき1万円、たまに4、5万のボーナスをくれるだけです。

 

検察「それじゃあ、年収10万とボーナスだけ?奥さんと子供いるよね?」

被告「日雇いの仕事をしていました」

検察「他の被告はみんな喋っているけど、もっと貰ってるでしょ?」

被告「反省して、すべて喋っています」

 

検察の挙げた証拠によると、被告の仕事であるオカバリのボーナスはキロ100円です。

今回は400㎏の水揚げでしたので、もし逮捕されなければ4万円のボーナスだったのでしょう。

犯罪を犯し、夜通し働いても5万ほどの収入ということになります。

 

被告はなぜ、そんな仕事をやり続けたのでしょうか。

兄が密漁を取り仕切っていた暴力団関係者だったこと、なんとなく仕事が断れなかったなど理由があるかもしれません。

それにナマコをスキューバで取る役割になれば収入が上がることなどが考えられます。

 

ダイバーは水揚げ量に応じた報酬がキロ1300円ということで、オカバリの13倍の報酬です。

1晩で23万稼げてしまったら、普通仕事を真面目に淡々とやることは馬鹿らしく感じてしまうでしょう。

ここまでの報酬が出せるのも、ナマコの価値が高いからです。

 

ナマコの単価は通常ルートならばキロ5000円、密売ルートでは3600円ほどだったということです。

最終的に市場で流通する乾燥ナマコは100g(2~3個)で1万円以上の価値がついていました。

ここまでくると海の底にお金が眠っている感覚になります。

 

一攫千金に目がくらむ男達。それは人間の本能かもしれません。

ある意味、ナマコが人を狂わせたと言える事件でした。

 

結論:ナマコに狂った男たち

この裁判がきっかけでナマコに興味を持ち調べてみました。

ナマコはとても変わった生き物です。

起源は古代カンブリア紀からで、その生態は気持ち悪いと言わざるを得ません。

 

例えばナマコは身の危険を感じると内臓を吐き出しますが、その内臓は簡単に復元します。

身体を切られても、別の個体として分かれるらしく、その生命力が漢方として重宝されているのです。

 

こんな変わった生き物に、人生を賭ける密漁者たち。

逮捕されるリスクと、荒稼ぎできる可能性を天秤に賭けたのです。

自分たちが取ってしまったらナマコの水産資源がどうなるかなんて見えていなかったのでしょう。

 

密漁が短期で稼げる仕事だとしても、その未来は真っ暗です。

水産資源は簡単に枯渇してしまうでしょうし、そうならないために地元の漁師が頑張っているのです。

どうせ技術を磨くなら、真っ当な道で勝負するべきだったでしょう。

 

ナマコを獲るのが好きなら、覚悟を決めて漁師の世界に入れば良かったのにと思います。

警察に怯え、夜の間だけ海に入る密漁者。

400㎏のナマコを揚げる重労働。

代わりに得る一時の報酬と、それに目がくらみ犯罪集団に加わってしまうそのフワフワな生き方に、私はナマコ以上の気持ち悪さを感じました。

 


 

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【著者】野澤 知克

自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。

現在は専業ライターとして、裁判所に通う毎日。

事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。