怒られるようなミスをしたとき、他人にミスを押し付けたり逃げてしまったり・・・。
そんな経験ないでしょうか。
道路交通法違反の裁判でそのような被告がいました。
怒られるのが嫌で逃げ出し、交通事故を起こしてしまいます。
そして車を置いて逃げ出してしまい、事故を彼女の責任にしようとしました。
そこには被告人の恵まれた生い立ちが影響しているようです。
甘い考えでミスから逃げようとした男の、とんでもない発言がいつまでも心に残っています。
前にドーン!後ろにもドーン!1人で2回の交通事故を起こした男
被告は30代の男性。
転職を繰り返し「やっとこれからいい職場で働けると思ってました」という時に事故を起こしてしまいます。
運転する車で前の車に追突、そしてバックして後ろの車にもぶつけてしまいます。
弁護人よる被告人質問が始まりました。
「なんで前の車にぶつけたの?」
「感情が高ぶるとせき込んでしまうんです」
「どうしてバックしたんですか?」
「とりあえず車を離そうと思って・・・バックに入れてアクセルを思いっきり踏んでしまいました」
問題はこの後です。
被告は2台の車にぶつけた後、道路に面したどこかの会社の駐車場に車を停め、走って逃げてしまうのです。
「被害者と話そうと思わなかったの?」
「自分が大丈夫だから大丈夫かと・・・」
「なんで逃げてしまったんですか?」
「いいところに就職できたばかりで、なんで俺ばっかりこんな目に合うんだと腹が立って・・」
事故を起こしたのは自分の責任なのに、被害者の様な発言でした。
本当の被害者は現場から逃げ出した被告に代わって警察に連絡します。
裁判には検察を通してコメントをしていましたが、「厳重な処罰を望む」と怒っています。
しかし驚くのは、これだけではありませんでした。
完全にとばっちり!被告の彼女と被告の人生
被告は高校生の時、両親と喧嘩をし祖母の家に転がり込むように生活をはじめ、そして祖母が他界した後も、その家に住み着いていました。
卒業後、アルバイトや派遣社員で食いつないでいた被告。職場での人間関係をうまく構築できず、職を転々とします。
やっと正社員として就職できた新しい職場でも、上手くいっていません。
「課長との関係が上手くいかない」
「同僚は私のことが嫌いなんです」
「もう若くないので、仕事を覚えるのも大変なんです」
など、いい年をして子どものような文句を言います。
そのストレスから毎日のように酒を呑み、休日にはアニメDVDを観ながら酒を飲むことが唯一の楽しみでした。
そして事故を起こすのですが、その日は休日で、朝5時まで酒を飲んでお昼だというのにまだ寝ていました。
そこに母親と妹がやってきます。
「なにしてるの!だらしない!」
「お兄ちゃんマジありえない。30歳過ぎて最悪!」
マジギレした家族は、被告の生活を立て直すために本気で説教をはじめました。
するとあろうことか、被告は車のキーを取り出し、その場から逃げ出してしまいます。
「うっせーな!彼女の仕事が終わる時間だから迎えに行くんだよ!」
そしてその途上で、事故を起こしたのでした。
「お前のせいで人生崩壊だ!バーカ!」
そんな呆れた経緯で事故を起こした被告。弁護人の質問に続いて、検察官の質問が始まります。
「『お前のせいで人生崩壊だ!バーカ!』というメールを、事故現場から送ってますよね?なんでですか?」
「彼女を迎えに行く途中の事故だったからです!」

当然といえば当然ですが、法廷は呆れ返り冷たい空気が流れました。
弁護士も正直お手上げという感じで、弁護の方針としては
「被告はかなりかわいそうな人だから、許して欲しい」
と、同情を求める方針です。
しかし検察官だけは、被告をグイグイ責め続けました。
「っていうかさ、お酒飲んでたでしょ?」
「起きた時には飲んでいましたが、事故発生時は19時だったのでもう抜けていたと思います」
「いつもそうやって言い訳して、人生から逃げるの?」
「っていうか、感情のコントロールが上手くできなくて・・」
「事故現場から逃げたでしょ?飲酒運転で捕まるのが怖かったの?」
「いえ、家に帰るとコートを脱ぐ前に酒を飲む習慣がありまして・・」
何を言ってるのかわかりませんが、どうやら事故現場から自宅に逃げ込んでから、酒を飲んだと主張しているようです。
事実かどうかはわかりませんが、家についたらまず酒を飲みたくなるというのであれば、アルコール中毒でもあるのでしょう。
事故当時の動きから推測するに、被告人は飲酒運転をしていた可能性が高いと思われます。
だから事故後にすぐ逃げ出して、家に帰り、追い酒で発覚を免れようとしたのでしょう。
捜査員が被告人の家に到着した時、被告人はすっかり出来上がっており、いつ酒を飲んだかの証明は不可能とのことでした。
結局裁判では、飲酒運転の立証はされませんでした。
求刑は10ケ月、初犯ですので執行猶予が付くのは間違いありません。
弁護側としては飲酒運転の疑いを自白しなかっただけでも勝利なのでしょう。
被告人も、飲酒運転がつかなかったので満足しているようでした。
しかしここでも彼はまた「真実から逃げた」のです。
これが彼の人生にとってプラスになるとは、とても思えない事件であり裁判の結果でした。
結論:自分の甘さと向かい合えない被告
事故を起こしてしまった時点で、警察を呼び罪を認めていれば正式裁判まで来ることはなかったでしょう。
いえ、そもそも、前の車にぶつけてしまった時点で車を停め、謝っていればよかったのです。
さらに言えば、大人しく母親と妹の説教を聞いていれば、事故も起こしませんでした。
被告は、30歳を過ぎてもなお祖母名義の家に住み続け、母親に光熱費を支払ってもらい、車のローンも肩代わりしてもらっているダメ人間です。
そんな生き方をしているから、母親からの支配を抜け出せません。
逆にいうと被告は、恵まれた家庭に生まれ育ったために、生きることに苦労しているのです。
恵まれた環境が甘さとなって、被告人の身体にしみ込んでいるのです。
怒られたくないという甘さが、被告人の人生をいつまでも狂わせているのでしょう。
この裁判を傍聴して、私は自分の甘さと向き合えたと思います。
私は末っ子で両親は普通に私を育ててくれ、高等教育を受けさせてもらいました。
ここに甘さが生まれる土壌があったと思います。
気がつけば、誰かと争ったり闘うことを避ける人間になってしまいました。
それは私の一部になっていて、もう脱ぐことはできません。
私が幸運なのは、被告人の姿を通して自分の甘さを見つめなおすことが出来たことです。
これから残りの人生を、この甘さを身にまとったまま、そして被告を反面教師に歩んでいこうと思わされた裁判でした。
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【著者プロフィール】
野澤知克
自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。
現在は専業ライターとして、裁判所に通う毎日。
事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。
