デザイナーとして成功を夢見たが、足掻けば足掻くほどに借金が増えた発達障害に悩む女性〜コンビニ人間〜

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それは、ハンドメイド雑貨&アクセサリーモールというFacebookグループで見つけた投稿だった。

 

ハンドメイド作家さん向けのビジネスマインドアップ勉強会を開催します。

先日、こちらのグループにある作家さんがとても素敵な作品を投稿されていたのですが、そのお値段を見て衝撃を受けたのです。

安い!安すぎる!

買い手にとっては素敵な作品が安いと嬉しいものですが、そこまで安くては逆に不安を感じる値段の設定をされていました。

その方のコメント欄には沢山の作家さんからコメントが寄せられていましたが、私は以下のようなコメントをさせていただきました。

『謙虚と自己卑下を混同されていませんか?作品の値段=作品の価値=作品を作った作家の価値ですよ。』

これは今回に限らず、以前から感じていたことなのですが、作家の皆さんは本当に心とエネルギーを込めて素晴らしい作品を作ってらっしゃるのに、明らかに作品の値段が安すぎる人が多すぎますよね。

今、ここまで頷きながら読まれた方、一緒に成長を目指しませんか?

ご応募お待ちしています

 

その、関西に住むASUNAというバッグデザイナーを名乗る女性の投稿を目にしたとき、私は

「すごい。こんな人が居るんだ!」

と感銘を受け、すぐに友達申請を送った。

 

当時の私はハンドメイドで雑貨やアクセサリーを製作していたが、作家が増え続ける中で次第に売り上げが上がらなくなり、悩んでいた。

また、「できればハンドメイドを仕事にしたい」と考えながらも、やはり手をかけて作った作品が低価格でしか売れず、利益を出せずに行き詰まっているハンドメイド作家仲間が身の周りに多かったのだ。

そこへ

「謙虚と自己卑下を混同していませんか?」

と、鋭く切り込んでくるASUNAは、私たちの悩みを解決し、現状を打開する答えを持っているように見えた。

ASUNAが主催する勉強会には直ぐにでも参加したかったのだが、その頃の私はまだ学齢期にある子供たちの子育て中で、平日に遠方まで出かけることは難しく、申し込みはできなかった。

 

私が彼女と会う約束を取り付けたのは、それから半年後のことだ。

待ち合わせ場所に現れたASUNAは、事前に写真で見ていた通り、大きな顔をピンクに染めた髪が縁取り、フリルとリボンを多用したロリータファッションで丸い体を一層大きく膨らませていた。

閑静な住宅街で彼女の出で立ちはひどく浮いていたが、駅から彼女の自宅まで歩きながら、奇抜なファッションに身を包む理由を聞かされた。

私はもう後戻りしたくないんです。こんな色の髪をしてたら、普通の仕事で雇ってもらうのは無理でしょう。どこにも採用されませんよね。私はお金のためにパートに出て働くとかは、もう絶対にしないって決めてます

と、決意を語る彼女は頼もしかった。

 

自宅へお邪魔した私にお茶を淹れてくれた彼女は、言いにくそうにしながら、実はもうハンドメイド作家のための勉強会はしていないし、今後するつもりもないと切り出した。

「せっかくこんなところまで会いに来てくれたのに申し訳ないですけど、勉強会はあれっきりやってないんです。もうやろうとも思わないし」

 

予想外の話に驚いた私が理由を尋ねると、

うーん。その…何ていうか。まあ、私は喋りが上手くないから会をまとめられなかったこともあるし、他人に干渉するのはやめて、自分の作品作りに専念した方がいいかなって…。

自分の頭の中にあるデザインをまだ上手く作品にできないから、近々1年くらいイタリア留学して技術を学ぼうと考えてます。

それと、実は、今パリで個展をやる話があって。

パリのルーブル美術館近くのギャラリーで日本の新人デザイナー展をするんで、私もそのグループ展に作品を出すんですけど、同じギャラリーで個展もしないかって誘われてるんです。だから私、忙しいんですよ

 

なるほど、そういう事情があるのであれば、今は他人にかまっている暇はないというのも納得だ。

しかし、そこから話は意外な方向へ逸れた。

「これからはもっといいバッグを作って、高い値段をつけて、その金額が払える人たちだけを顧客にするつもりです。お金が必要だから。実は、借金を作っちゃってて」

…一体どういうことなのだろうか。

 

えぇっと。去年、私が大好きなアクセサリーブランドの求人が出てたので、そのお店で働くことにしたんです。でも、職場が家から遠くて大変だったから、ご飯はほとんど外食になって、保育園のお迎え時間にも間に合わないから、タクシー使ってたんですよね。

生活にお金がかかるようになっちゃったけど、働いているんだからお給料を貰えば返せると思って、消費者金融でキャッシングしながら払ってました。

だけど給料日に振り込まれたお給料が物凄く少なくて、使ったお金に全然足りなかったんですよ。その仕事はお給料が歩合制だったんです。

しばらく働いたけど結局お給料は増えなくて、借金の額も膨らんじゃったから辞めました

 

「ちょっと何言ってるのか分からない」というセリフはこういう時に使うのだろうか。

求人に応募するにあたり、給与体系も理解せず、得られるであろう月収も計算しないまま、消費者金融で高金利の借金を繰り返して、考え無しに浪費を重ねてきたということか。

正気とは思えなかったが、初対面の相手に行動のおかしさを指摘することも、それ以上掘り下げて話を聞くこともできなかった。

 

ASUNAに対して疑いを持つ気持ちは確かに芽生えたが、その時点ではまだ彼女を信じたい気持ちの方が強かった。

「謙虚と自己卑下を混同されていませんか」と、鋭い言葉を投げかけた彼女が呆れるようなバカだとは信じたくない。

その日は疑念に目を背け続けて笑顔で別れたが、そこから更に1年後に彼女と再会した時には、もう違和感の打ち消しようがなくなっていた。

 

ASUNAのSNSは更新されなくなっていたが、彼女の活躍を信じていた私は、パリでの個展の様子や、イタリア留学の計画はどうなっているのかと尋ねた。

すると、彼女は気まずそうな笑顔に歯切れの悪い口調で話し始めた。

イタリア留学の実現は難しく、パリのグループ展と個展も金銭面の事情で白紙に戻ったという。

そして今は、黒いウィッグをかぶって近所のコンビニで働きながら、週末に地元で開催されるハンドメイドバザーや、百貨店の催事場で開催されるハンドメイドイベントに出店しているそうだ。

 

話を聞いていくほどに、様々な裏事情が読めてきた。

パリのグループ展や個展というのは、作家としての才能や実績が認められたのではない。「パリのギャラリーで展示をした」という実績が欲しい作家たちを集めて高額な出展料や販売手数料を得るビジネスのカモにされていたのだ。

既に借金持ちのASUNAは要求された費用を工面できなかったのだろう。

出店しているという百貨店の催事も似たようなものだった。出店の為にかかる費用と手間暇に見合う収益を上げられているとは思えない。

 

ASUNAは、「借金を返すために売れるものは何でも売らなくちゃ」と意気込んでいたが、「海岸でシーグラスを拾って売れば、原価が無料だから売り上げはみんな利益です」と言い、自宅から遠い海岸まで出かける交通費を考慮していなかった。

家で飲んだ500mlのペットボトルに、100均で買ったカラフルなビーズ消臭剤を詰めて100円で販売するのを、

「バザーで子供たちによく売れる。これも原価は安いからぼろ儲け」

だと考えており、その商品づくりのために割高なペットボトル飲料を飲み続けていた。

 

彼女は「稼ぐ。儲ける」と言いながら、全てがちぐはぐなのだ。

彼女なりに足掻いてはいるのだが、ハンドメイドではまるで利益が出ないので、結局はコンビニで働いた給料で減らない借金を細々と返す生活を続けている。

バッグデザイナーとして技術力を高めて高価格帯の作品を制作し、富裕層の顧客を掴むという目標からはほど遠い。

 

ASUNAは悲しいほどに計算ができない。

そして既婚者であるにも関わらず、自分の子供の前でも男と見れば誰彼構わず媚態を示し、嬉しそうに性的な話をするなど、良識とコミュニケーション能力にも大きな問題を抱えていた。

 

私は彼女と話をすればするほど確信が深まった。

おそらく彼女は、実はある種の障害で苦しんでいるのではないだろうか・・・。

障害のために論理的思考力と計算能力を持てない悲しい女性と、Facebookグループに投稿された文章は結びつかなかったが、その頃には私もセミナー業界のカラクリが分かっていたので大方の予想がついた。

 

彼女のタイムラインを遡ると、案の定あの投稿の直前に、彼女自身が「趣味で起業するためのセミナー」に参加していたことが分かる。

やはり、あの文章はテンプレートだったのだ。

指導されたマニュアルがあったのだろうが、勉強会開催までの段取りと集客まではマニュアルに沿ってできても、いざ対面すると集まった受講生たちの前でボロが出て、収集がつかなくなってしまったに違いない。

ASUNAがセミナー講師になろうとしたのも、借金返済を考えてのことかもしれない。

しかし、マニュアルを得るため高額セミナーに足を運んだことで、逆に借金の残高は増えてしまったのではないか。

見栄っ張りで頓珍漢なASUNAにはうんざりさせられたが、腹立たしいのは、彼女のような憐れな女性からなけなしの金を巻き上げる側の人間たちの方だった。

 

 ASUNAは、お金のためにいやいや勤めているわけではなく、コンビニの仕事は心底楽しいと言っていた。

「コンビニ人間」という小説の主人公のように、「普通」の枠には収まれないASUNAにとって、高いコミュニケーションスキルが必要とされず、完璧なマニュアルが整えられた仕事は確かに向いているだろう。

 

彼女と最後に会ってから数年の時が過ぎたが、バッグデザイナーとしての彼女は鳴かず飛ばずのまま消えてしまった。

コンビニ店員として今も元気で居るだろうか。借金を返し終わっていることを祈るばかりである。

 

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【著者】マダムユキ

ネットウォッチャー。

最高月間PV40万のブログ「Flat 9 〜マダムユキの部屋」管理人。

リンク:http://flat9.blog.jp/

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