今回は、特殊詐欺の受け子の裁判を傍聴しました。
被告はツイッターで裏のアルバイトを探し、この仕事にたどり着いたようです。
気軽に使えるアプリでも、裏ではとんでもない所につながっていることもあります。それを身をもって体験してしまった被告の、取り返しのつかない犯罪でした。
家を飛び出し彼女と同棲した被告のアルバイト探し
被告は男性で、20代であるにも関わらず白髪が目立ちます。
特殊詐欺の受け子は犯罪グループの1人ではなく、一般人であることがほとんどです。
被告は手っ取り早くお金になるバイトを探していました。
その手段としてツイッターを使い、「裏バイト」「闇バイト」などで検索してみたのですが、怪しいアカウントがいくつもヒットします。
被告はその中の一つに、コンタクトしてしまったのです。

弁護人による被告人質問が始まりました。
「どうやって、このアルバイトを見つけたんですか?」
「ツイッターで『裏』とか『闇』とかで検索しました」
「それで特殊詐欺のバイトを始めたんですか?」
「最初は『物』が自宅に届き、それを転送するだけの仕事だったんです・・・。」
「『物』とは何ですか?」
「中身は見てはいけないと言われていたので分かりません」
見てはいけないと言われると気になって見てしまいそうですが、こんなところにも被告の妙にマジメな性格が現れています。
私だったら好奇心に負けて開けてしまいそうですが、何が入っていたんでしょうね。
「見たな!おまえはクビだ!」
と書かれた紙だけだったら、面白いかも。
そして「マジメに仕事をこなす」被告に、次の仕事が入りました。それが特殊詐欺の受け子だったのです。
「詐欺だって気づいたのはいつですか?」
「実際に客のところに行ったら、指示役から『郵便局員と名乗ってください』と言われたときです。」
「断ればよかったのでは?」
「そこまでの交通費を支払ってしまい、帰りの現金が無く、やるしかないと思いました。」
「それから何回も受け子をやっていますよね?」
「指示役から『アナタの免許のデータを持っているし、やるしかないよねw』と言われたんです・・・。」
ツイッターで免許の写真を送ってしまったようです。
頭の悪さに驚きますが、悪い奴らがつけ込むのはそういう弱さを持ってしまっている人なのかも知れません。
被告は弱みを握られパニックになり、従わざるを得ませんでした。
最初の被害者は一軒家のおばあちゃん。それから受け子を9回もやってしまいました。
そしてついに逮捕されてしまったのです。
キツい拘置所生活
ツイッターで始めたバイトで裁判まで来てしまいました。
追起訴が8件あり、裁判は長期化。留置所生活は1年近くに及んでいます。
被告の取り分は、たったの10%。
被害額は2200万円とのことですから、220万円ほどの収入でしょうか。
被告の手元に残っていたのは96万円で、弁護士により被害者に返済されています。
その中には、すでに亡くなった被害者もいました。

検察官からの厳しい質問に先立ち、弁護人による被告人質問が続きます。
「ところで、元からそんなに白髪ありました?」
「いえ・・・逮捕されてから留置所で過ごすうちにこうなりました。。」
「ストレスがキツイってこと?」
「狭い部屋で火もないんです。自由も無く妄想しか娯楽がありません。」
「あなたに騙されて、悔しい思いをしたまま亡くなったおばあちゃんもいますが、そのことについてどう思いました?」
「自分もおばあちゃん子だったので・・つらいです」
彼は、お年寄りが爪に火を灯すようにして貯めた老後資金を奪ってしまったのです。
いくら法廷で反省の言葉を述べても、おばあちゃんに謝罪することも、全額返済をすることも、もう叶いません。
「最低なことをした」と声を震わせて答えていました。
皮肉なことに、犯罪が被告の家族関係を強固にしたようです。
地元から遠く離れた土地の留置所生活で、母親とは100通以上手紙のやり取りをし、離婚して会ったことも無い父親も更生に協力すると言っています。
被告はまだ若く、家族が社会復帰に協力的なら、情状酌量を見込める可能性が出てきました。
懲役6年!ツイッターで始めたバイトの結末
髪が白くなるまで考え、答弁では声を震わせている被告。
反省の意志は固そうですが、検察はその様なことはまったく意に介さない存在です。
ネチネチとした、検察質問という攻撃が始まりました。
「でもさ、交通費が無くて犯罪したっていうけど、それぐらい近くの交番で説明して借りればよかったんじゃないですか?」
「とても考えられませんでした」
「あなた、親に黙って家を出てますよね?今さら、親が更生を助けてくれるとは本当は思ってないよね?」
「・・・・」
「彼女との生活を優先したってことですよね?」
被告は彼女の元に行くために地元を出て、親には仕事だからと嘘をついていたのです。
彼女の存在が親にバレたのは彼女が妊娠した時でした。
検察はそんな希薄な親子関係では、親による更生の監督は難しいと言っているのです。
検察「しかもさ、被害弁償は96万円だけだよね?」
被告「返していきたいのですが、母の生活もあるんです・・・」
検察「被害者にも家族があるし、生活があるよ?」
ネチネチとした攻撃に被告はうつむきっぱなしです。
結局「全額返済するつもりです」と被告は全額弁済の意志を引き出されてしまいました。
しかし、指示役は捕まらないという前提で使い捨ての下っぱにそれを言わせることに、どこまで意味があるのでしょう。
一番悪いやつを捕まえない前提で裁判が進むことに、正直、疑問を感じないでもありません。
最後に、裁判官からも被告に質問が飛びました。
「お金は彼女との生活に使っていたんですよね?」
「はい」
「では、彼女から返済の協力はお願いできますか?」
「できません・・・。もう、一切かかわらないと話がついています」
彼女の親が被告との付き合いに反対して、縁を切られているのです。
彼女との生活のために地元を飛び出し、ツイッターでバイトを探したのに、悲惨な結末となってしまいました。
そして、検察による求刑です。
「被告に懲役6年を求刑します」
なんと、求刑は6年でした。留置所に入れられた分を引いても、あと5年。出所するころには若いとは言えない年齢になるでしょう。
ツイッターで始めた気軽なアルバイトは、被告から人生の大事な時期を奪う結果となりそうです。
結論:ツイッターはほどほどに
特殊詐欺の裁判では、実行犯が姿を現すことはまずありません。
捕まるのは被告の様な、軽率な行動をしてしまった下っぱの人間です。
もし被告が仕事から逃げ出しても、ツイッター上で嫌がらせを受けるぐらいだったはずでした。
しかし被告は、ツイッターでさらされることを恐れていました。
まるで自分のツイッターのタイムラインが世界のすべてだと言わんばかりです。
受け子として免許の写真をアップされたとしても、それがバズることはまずありえませんし、そもそもツイッターのルールとして他人の個人情報を公開することは禁止されています。
ツイッターだけでなく、もっと世界を広げておけば良かったのに・・・。
それは被告だけに当てはまらないでしょう。人間、自分の見えてる世界がこの世のすべてと思い込んでしまうものです。
スマホやアプリを断捨離して、自分の知らない世界を見に行くこと。
若い被告に自分の世界を広げる大切さを教える人がいなかったことが悔やまれます。
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【著者プロフィール】
ライター名 : 野澤 知克
自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。
現在は兼業ライターとして、介護の仕事をしながら裁判所に通う毎日。
事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。
Twitter:@hatinoyado
