
学生時代に付き合いはじめた男性と5年弱同棲して、今年の春に結婚しました。
そのため、いままで「結婚前に同棲ってどうなの?」となんども聞かれました。
もっと率直に、「結婚したからよかったけど5年も同棲して別れたら悲惨だよねぇ〜」なんて言われたことも。
結婚前の同棲には、賛否両論あります。
あなたは賛成派でしょうか、反対派でしょうか。
5年の同棲を経て結婚したわたしの結論は、「結婚前の同棲は必須」です。
結婚前同棲のデメリットなんて、本当にあるの?
「結婚前の同棲はすべきじゃない」という人の主張としてよく上げられるのは、
・結婚しても新鮮味がなくなる
・自由な時間がなくなる
・相手の嫌な面が見えてしまう
などでしょうか。
でもこれ、わたしにとってはひとつもデメリットになりえないんですよね。
結婚直後のキャッキャウフフ感なんて、どのみち半年やそこらでなくなります。
そして、新鮮味のない生活が数年、数十年と続くわけです。
その新鮮味のない平凡な生活が楽しめないような相手であれば、長く幸福な結婚生活は望めません。
「自由な時間がなくなる」というのも同じ。
別居婚を考えていないのであれば、結婚後はどうせそうなるのです。
それがイヤなら、同棲うんぬんではなく、そもそも結婚を考え直した方がいいでしょう。
相手の嫌な面が見えてしまう、というのもまったく同じです。
その嫌な面は、結婚したら見るんですよ。
だったらさっさと知っておいた方がいいじゃないですか。
そう考えたら、結婚前の同棲のデメリットなんて、まったくないような気がしませんか?
結婚前に「いっしょに暮らしていける」という確証がほしい
一緒に住むことを前提として結婚を考えているのであれば、事前に相手のことを深く知っておきたいものですよね。
休みの日の時間の使い方、金銭感覚、家事への考え方、求める清潔感のちがい……。
たとえば、相手は脱いだ靴下をそのままにしておくタイプで、あなたはちょっと潔癖ぎみかもしれません。
デートではおごってくれる素敵な彼も、蓋を開けてみればただの浪費家ということもあります。
デートのときは早く起きてくれていたけど、本当は相手は夜型で、朝ごはんをいっしょに食べたいあなたが毎日イライラすることも考えられますね。
生活スタイルというのは、なかなか変えることができません。
他人に合わせるのも至難の業です。
そのとき相手を受け入れられるか、お互いうまいこと妥協できるか。そこが大事なのです。
ちなみにわたしと彼の場合、彼が食べた食器をダイニングテーブルの上に置きっ放しにする癖があり、わたしがそれを許せずなんども注意。
彼もイライラしはじめて喧嘩に……なんてことがありました。
結局、「食後すぐに片付けなくてもいいけど、寝る前には片付ける」という落とし所に着地。
ただのお付き合いと同棲では、難易度の高さがまったく異なります。
住む場所やインテリアでモメて同棲前に破談……なんてこともあるくらいですから。
だからこそ、結婚する前に「この人と今後生活していけるのか」を見極めるのは、とても大切です。
相手をよく知った上での結婚のほうがいい
結婚を前提に同棲するもうまくいかず、同棲期間中に別れた友人がいました。
友人は、「結婚してたら別れなかったと思う。同棲なんてするんじゃなかった」と後悔していた様子。
でも、本当にそうでしょうか。
わたしは思わず、「いや、同棲中に別れてよかったんじゃない?」と言ってしまいました。
ただのお付き合いなら別れる理由になるけど、結婚してたら離婚するほどでもない範囲。
言い分はわかりますが、それって結局は「結婚したらかんたん別れられないから我慢するしかない」ってことですよね。
そういうかたちの結婚って、幸せなのでしょうか。
言い方は悪いですが、どのみち別れるなら結婚前のほうがいいですよ。
あと、結婚を機にいっしょに暮らしはじめて、「思っていたのとちがう」と嘆く人も結構います。
飲み会ばかり行っているとか、家事を手伝ってくれないとか、仕事後は疲れて無言だとか。
ただのお付き合いだけでは見えない部分も、同棲しておけば知ることができます。相手をよく知ってから、結婚するか否かを決めても遅くないのではないでしょうか。
同棲が楽しめる相手と結婚するのが吉
冷たい言い方が続いたので、もう少し明るい話題も。
わたしは、結婚前に彼と同棲してよかったと思っています。
相手の生活スタイルを知ることができた、というのももちろんですが、「毎日好きな人が自分のもとに帰ってくる」というのが単純に最高だったから。
朝起きたら彼がとなりにいて、「ただいま」って同じ家に帰って、いっしょにソファでゴロゴロして、適当にご飯食べて、いっしょに寝て……。
とりとめのない日常生活が楽しいと思える。
いつもいっしょにいられてうれしい。
そう思うから同棲したし、結婚しました。後悔はありません。
「同棲期間中に相手がイヤになったのなら結婚したってどうせうまくいかなかない」ということは、ウラを返せば「同棲を楽しめればその延長にある結婚生活も楽しめる」ともいえます。
恋人からいきなり家族になるのは、なかなかのハイリスク。
だからその前に、「同居人」というステップを踏んでおくべき。
そこで「この人となら!」という確信をもって結婚したい。わたしはこう考えています。
「婚前同棲なんてけしからん!」という考えであればメリットデメリット以前の話になりますが、結婚前の同棲のデメリットなんて、すぐ別れたときの引っ越し代くらいのもの。
わたしとしては、後悔のない結婚のために結婚前の同棲はもはや必須だと思うし、全国のカップルに婚前同棲をおすすめしたいです。同棲はいいぞ!
雨宮 紫苑(あまみや しおん)
91年生まれ、ドイツ在住フリーライター。
Yahoo!ニュースや東洋経済オンライン、ハフィントンポストなどに寄稿。
ブログ「雨宮の迷走ニュース」運営。著書「日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち」(新潮新書)
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