
(画像引用:政府広報オンライン)
とある趣味グループが解散したらしい。
理由は単純で、1人の女性をめぐって2人の男性が対立し、全体の空気が悪くなったからです。
それだけ聞くと、
「大人気ない男が悪い」
「もっとうまく話し合えなかったのか」
と思いますよね。
でも事情を知れば、「これは女が悪い」と確信します。
なぜなら彼女は、自分を好いてくれているふたりに対していい顔をして、期待をもたせていたのですから。
男心を弄んだ魔性の女のせいでグループ解散
わかりやすく、女性を「花子」、男性Aを「太郎」、男性Bを「和夫」とします。
もともと花子と太郎は同じ趣味グループに入っていました。
そこに和夫が参加し、花子と仲良くなります。
太郎としては、花子を取られるようでおもしろくない。だから花子に、
「あんまり和夫と仲良くしないでほしい」
と言います。
それを知った和夫は、
「太郎はなんて心の狭いやつだ! 花子、俺にしておけ!」
と臨戦態勢に。
結果、和夫はそのグループから抜け、その騒動を見たまわりは面倒臭くなって距離を置き、グループは自然消滅しました。
……さて、だれが悪いんでしょうか。
束縛しようとした太郎?
もともといい雰囲気だったふたりを邪魔した和夫?
いいえ、この場合は花子です。
断言します。花子が悪い。
というのも、彼女はまわりに調子のいいことばっかり言ってたんです。
太郎には、
「本当はもっとあなたと遊びたいけど、和夫クンが怒るから最近遊べなくて……」
と落ち込んでみせる。
グループを抜けた和夫には、
「太郎クンがいないところでこっそりふたりで遊ばない?」
と誘う。
それを聞けば、太郎は
「和夫は邪魔者だ」
と認識しますし、和夫は
「花子は俺を選んで声をかけてくれてる」
と、より一層花子への気持ちを募らせます。
だから太郎も和夫も一歩も引かず、
「花子は俺のことが好きなんだから俺が守ってやらないと!」
と燃えてしまったわけです。
しかも花子は、まわりに対して
「あのふたりがいがみ合ってて困る。わたしはみんなと仲良くしたいと思ってるのに」
と困ってるアピール。
だからまわりも、仲裁に入るというよりは
「2人ともなにやってるんだよやれやれ」
と呆れながら静観していたのです。
結果、花子というひとりの女性のせいで多くの人が振り回され、グループも解散。
こういう
「だれにでもいい顔をする女性」
は、トラブルの元です。
チヤホヤされる快感>相手への思いやり
もともとの出来事が
「女1人に男2人」
という構図だったので「女」と書きましたが、もちろん男性にもそういう人はいます。
「妻とはうまくいってない。離婚するつもりだから」
と言って浮気相手に期待させておきながら、円満家庭を楽しんでいるようなタイプです。
性別や年齢を問わず、自分に好意をもっている人に囲まれるというのは、とても気持ちのいいものですよね。
自分の価値が高まったように思えますし、都合のいいときに都合のいいほうを呼び出せますから。
それでも大抵の人は、片方を選ぶか両方選ばないかのどちらかの選択をします。
両方選ぶ、もしくは両方キープするような態度は避けるのが当然。
それが誠意であり、相手への思いやりだからです。
でもそうはせず、両方にいい顔をする人も存在します。
そういう人たちは、相手が傷つく可能性より、自分がそのとき楽しいほう、自分にとってより有利なほうを選び、結果的に人の心を弄ぶのです。
その気がないのに期待させる態度をとるのは悪趣味
まわりにもいませんか?
「全然好みじゃない後輩が毎週飲みに誘ってくる」
「マッチングアプリでしつこい人がいるんだよね」
「1回デートして微妙だった人が諦めてくれない」
こういう相談をしょっちゅうしてくる人。
本当にしつこい人、いわゆるストーカーに悩まされている可能性もあります。
しかし多くの場合、こういう問題が起こる原因は、まんざらでもない態度をとっているその人の言動なのです。
「困るぅ〜」と言っているくせに、事情を聞いてみれば相手にあっさりLINEを教えているし、律儀にすべて返信しているし、
「その日は予定が入っていて」
なんてやんわりとした断り方をしている。
無視したり、
「もう会う気はありません」
ときっぱり伝えたり、場合によってはブロックしたりする手段があるにもかかわらず、です。
その気がない人からのアプローチというのは、ある程度冷たくするのが誠意です。
期待させるのは悪趣味ですし、期待させていろいろ誘われても困りますしね。
でもそうやって引導を渡してあげないのは、自分をちやほやしてくれる人、求めてくれる人がいるという状況を楽しんでいるからなのです。
「困る」と言いながら困っていない。
それが、「だれにでもいい顔をする女」の厄介なところです。
だれにでもいい顔をするから事実がねじ曲がる
そうやってどっちにもいい顔をしてちやほやされたい人がいると、すぐに人間関係トラブルが起こります。
だれに対しても都合のいいことしか言わず、その場にいる人に賛同してその場にいない人を悪者にするので、事実がねじ曲がっていきます。
太郎には
「和夫が悪い」
と言い、和夫には
「太郎が悪い」
と言い、まわりには
「ふたりが悪い」と言う花子がその典型です。
チヤホヤされるのが好きだからこそ、責められたり自分の悪いところを指摘されるのを避けようとするのかもしれませんね。
そのせいで、関係者はみんな
「自分や花子は悪くない」
と確信し、
「相手が悪い」
と敵愾心を強めるので、溝は深まるばかり。
そういう人は、どんなコミュニティにいてもトラブルメーカーとなります。
トラブルを呼び込む女性には「答えあわせ」で対処すべし
じゃあどうすればいいのかというと、
「その人の言うことは真に受けない」
が手っ取り早い解決策です。
都合のいいことしか言わない人の言い分は、信用できません。
とはいえ、実際に話を聞いたら、
「花子は太郎と和夫に気を持たせる悪い女なんだな」
とは考えず、
「勝手に男ふたりがいがみあって花子は困ってるんだな」
と思いますよね。
疑いながら相手の話を聞くことなんて、まずありませんし。
また、好きな人が他の男から狙われて困っていたら、
「そんなやつより俺にしておけ!」
とむしろ燃える気持ちもわかります。
しかし
「複数の人から好意を持たれて困る」
という状況では、その人があえて話を複雑にしていることもあります。
もし話がこじれて丸く収まらないときは、当事者を集めて「事実」と「解釈」をわけて話を聞いていくことがおすすめです。
どう思ったか、ではなく、実際にだれがなにをしてなにを言ったか。
客観的事実を当事者全員の前で確認し、それぞれがどう解釈したか、なぜそう認識したかを聞いていくのです。
そうやって「答え合わせ」していくことで、トラブルの中心にいるのがその女性であり、彼女が引っ掻き回していることが明確になるでしょう。
花子の件も、第3者があいだに入ってそれぞれの言い分を聞けば、花子がどっちつかずの態度をとっていたことがわかったはずです。
そこで、太郎と和夫も目が覚めたかもしれません。
だれにでもいい顔をしてトラブルを呼び込む女性に惑わされないよう、ほかの男性の存在をチラつかせながら期待をもたせるタイプには、ぜひ気をつけてください。
雨宮 紫苑(あまみや しおん)
91年生まれ、ドイツ在住フリーライター。Yahoo!ニュースや東洋経済オンライン、ハフィントンポストなどに寄稿。ブログ「雨宮の迷走ニュース」運営。著書「日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち」(新潮新書)