「夜の女性心理」を知れば、南海キャンディーズの山ちゃんですらイケメンになる話

画像引用:消費者庁「障がい者の消費行動と消費者トラブルに関する調査」より

 

これは私が大学の某心理学研究サークルに入っていた頃のお話です。

 

旧学生会館と呼ばれた古めかしい建物に、ものが雑然と置かれた狭い部室。

「涼宮ハルヒの憂鬱」のS O S団の部室をご存知でしたらちょうど良いで感じです。

あれに似た間取りの部屋に、心理学の本が詰まった本棚が所狭しと並べられ、ボルドー色の古いソファが隅に寄せられ、読まれた本がソファや床に無造作に落ちていました。

 

そして過去の先輩がたの私物と思しきものたちが埃をかぶって置かれている、この足の踏み場がない薄汚れた空間が、我々が語り合う場所でした。

 

心理学研究サークルというと知的ですが、何を隠そう、実態はただの

「モテテク研究サークル」

私は心理学そのものに強い興味を持っていたので、マニアックな本目当てに毎週部室に通い、黙々と読書をしていました。

 

そこで、同じ時期に入部した法学部のある男子学生と出会いました。

こいつこそ今回、この話の主役です。

「夜の時間を使いこなして大学の4年間、いろんな女性と付き合っていた変な男」

であります。

 

なんとなく雰囲気が南海キャンディーズの山ちゃんに似ていたので、仮に「山ちゃん」と呼ぼう。

もう細かな顔の造形はきれいサッパリ忘れましたが、小さい変なメガネをかけていた事だけはよく覚えています。

別段面白いことを言うやつでもなかったので、「面白くない山ちゃん」でOKです。

 

 

「夜の心理術」(ごま書房)という本との出会い

 

 

山ちゃんと私は話が合いました。

山ちゃんはクールで、一見何を考えているのか読み取りにくいタイプで、唐突に変なことを言い出すところが私とよく似ています。

空気を読まない発言で場を凍らせることにおいて我々の右に出るものはいませんでした。

後輩からは、

「台本にないことを言う人たち」

と揶揄され、セット商品のような扱いをされていました。

 

毎週木曜日に必ず部室に行き、本棚に置かれた大量の本を黙々と読みふけっていた山ちゃんと私。

モテとは一切関係ない、「家族療法」について、面白いね〜と語り終わって一息ついたある日の夕方のこと。

部室の本棚の奥から、「夜の心理術」(ごま書房)という、一冊のあやしげな本を発見しました。

 

1986年に発行された本です。

「昼の“顔“からは想像できない行動・心の変化をどう読むか」というようなことが表紙に書いてありました。

別にエロい本ではありません。

 

私は山ちゃんが過去に女性と交際経験があるのかどうかも知りませんでしたが、当時、彼女はいないようでした。

そして、どう見てもその当時、山ちゃんがモテている様子はありませんでした。

我々は、

「これは何やら面白そうな本だ」

と興味を持ち、まずは山ちゃんが先にその本を読むことになりました。

 

・・・翌週の部室にて。

山ちゃんはその本を私に渡し、

「俺、これやってみるわ。面白いから佐久間さんも読んでよ」

と言うのでした。

 

 

夜の魔術師と化した山ちゃん

 

 

その後、端から見ていて清々しいほど、数ヶ月おきに新しい彼女ができ、変わっていく山ちゃん。

別にチャラいナンパ師になったわけでもなく、歴代彼女たちとはきちんとお付き合いをしていたようでした。

 

私もあの本は読むには読んだのですが、

「ふーん」

と思う程度でした。

やつは一体何を実践したというのでしょう。

 

山ちゃんは紳士なので、

「彼女たちと過ごした時間は彼女たちのプライバシーでもあるので、話せない」

と言います。

しかし、その手口を私に再現しながら説明することはできるとも言いました。

 

まるで熟練ナンパ師のような誘い方ですが、一応心理学オタクな我々なので、彼にそういう意図はなかったと付け加えておきます。

 

そして、ついに解説込みの、山ちゃんとのなんちゃってデートをする日を迎えました。

大学の授業が終わり、夜に校門前で待ち合わせしました。

すると山ちゃんはやってきて早々、大通りまで出て、タクシーを拾いました。

向かう先は、「車で15〜20分の場所」だといいます。

 

「女は、仕事では男と互角でありたいと思っていても、夜になると、“女”として扱われることを望んでいる」

(p.64より)

 

さすがに女性は、例え友人だとしても恋人でない男性の車にいきなり乗るのは抵抗があります。

それになんといっても、我々は当時大学生です。

山ちゃん曰く、その二つの理由でタクシーなのだそうです。

 

私は山ちゃんがタクシーを止めたことに驚きましたし、どこにいくのか知りませんでした。

しかし、これから向かう場所にタクシーで送り届けようとしてくれる姿に勝手に

「紳士的な男性性」

を感じ、お姫様扱いされているかような錯覚を感じました。

自分の女性性が、一瞬ときめいたのです。

 

「女は、昼間はクルマを自分の身体を運ぶ道具と思い、夜の二人きりのドライブでは、心を酔わせるベッドと思う」

(p.34より)

 

見知らぬタクシーの運転手がいるという環境が、恋人同士でない関係には安心感を感じさせました。

そして窓を流れていく夜の街明かりが、なかなか良い感じになっています。

 

現代社会では、昼は生産活動の場であり、効率性や合理性といった男性原理に支配されています。

それにより女性も、日中は大部分において男性的なルールに従って行動をせざるを得ません(もちろん人にもよりますが)。

しかし「夜」は、女性がようやくその鎧を脱ぎ捨て、自分の性を解放できる時間なのです。

 

「女は、昼間は視覚で男を感じ、夜は嗅覚で男を感じる」

(p.66より)

 

上がっていた自分のテンションが少し落ち着き、タクシーに乗って数分たったころ、私は山ちゃんが香水をつけていることに気づきました。

車内という狭い空間だからこそ、よくわかりました。

 

「ベタなことしやがって・・・」

と思いつつ、ホストがつけていそうな肉食系な香りではなく、ちょっと爽やかさと上品さのある、とてもいい香りだったので、好印象を持ちました。

 

人間の視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のうち、最も理性的な感覚は、言語化がしやすい「視覚」なのだそうです。

夜は、暗闇によってこの視覚の感覚が弱まるぶん、他の感覚が鋭敏になるといいます。

 

「くっ。こいつ、なんてこしゃくなワザを」

と、全く意識したことのなかった山ちゃんに惑わされている自分に驚き、本能に抗おうとしている理性の存在に気づきました。

「女は、昼間見た男をつまらないと思っても、夜、高級な場所に連れていかれると、イメージを一変させる」

(p.68より)

 

山ちゃんに連れて行かれた場所は、新宿にある古いジャズ喫茶でした。

「君には先にバラすけど。ここ、『ノルウェイの森』に出てくる喫茶店なんだ。」

ちなみに私は文学部だったこともあり、村上春樹の作品をいくつか読んではいました(特別ファンではなかったですが)。

 

すでに山ちゃんの手中にはまり苛立っていた私は、

「いや、文学部だからって村上春樹が好きとは限らないだろ。むしろアンチに転じる人だって多いぞ。」

などと内心悪態をつきながら地下へとすすむ階段を下ります。

しかし店内に入ると、古くてカッコいい音楽とオレンジ色の室内灯、茶系のインテリアでまとめられたレトロで幻想的な内装の雰囲気に、一気に心を奪われてしまいました。

 

「くっ。私の好きな世界観をしっかり心得ていやがる・・・。」

そう思いました。

 

このジャス喫茶は特に「高級な場所」というわけではありませんが、独特なムードなので、前述したルールに当てはまると分かりました。

先程の車の件と同じように、高級な店だと警戒しますが、独特なムードの店だと、警戒するどころか

「山ちゃんって本当は、どんな人なの?」

と、知らない一面に好奇心をかき立てられてしまいます。

 

「女は、夜、異質な場所に連れていかれると、本能的な恐怖心から男の保護を求めようとする」

(p.70)

 

女性は好奇心は強いのですが、体力面で非力なことから、恐怖心を感じるセンサーが敏感です。

このジャズ喫茶も、地下にあることで、開放感はありません。

そもそも私は若者の多い街が苦手なので、新宿駅・渋谷駅・池袋駅周辺などに普段は滅多に行きません。

 

しかし今、雑多な街・見知らぬ店・閉鎖的な地下空間、ということで異質な場所に身を置いています。

それゆえ、山ちゃんがワタナベくん(注:ノルウェイの森の主人公)に見えてくる瞬間だってあるわけです。

 

そして、二人ともカウンター席に横並びになって座り、マスターに珈琲とチーズとハムのサンドイッチを注文してから、我々はぶっちゃけトークに突入したのです。

 

 

夜を味方につければ、昼の時間も活きてくる

 

 

山ちゃんは言いました。

「あの本はバブル期の始まりに出た本だから、高級車とか高級な店とか、現代の価値観に照らすと狙いすぎている感がある。だから、現代風にアレンジする必要があると思った。」

私は確かに、と思いました。

 

「昼にモテるようなやつは何をやってもモテるが、俺のようなタイプはそもそも女性の恋愛対象にすら入っていない。だから夜という時間を味方につけた。」

その言い回しに私は飲み物を吹き出しそうになりましたが、耐えました。

その後の山ちゃんの話をまとめると、こうです。

 

「女は、夜、“音、光”などの小道具によって、その生理的興奮が性的興奮に転化しやすくなる」

(p.32より)

 

「女は女優と言われるが、非暗示性が強いため、夜の舞台装置が整うと、情熱的な恋人を演じるのをためらわない」

(p.40より)

 

山ちゃんは、女性という生き物は現実的でシビアなのに、なぜディズニーランドにあれだけ夢中になるのか、不思議だったそうです。

そこで、「夜の心理術」の本を読み、あるインスピレーションが降りてきて仮説を立てたと言います。

 

「女性は日常からの脱却を期待している。本当はロマンスを期待している。ディズニーのアトラクションは屋内空間で行われるものが多い。アトラクションの中で夜と同じく理性を緩ませる環境を作り出し、アトラクションから出た昼間の現実世界すらファンタジーだと混同させることによって、ディズニーブランド=夢の世界という図式を作り出し、女性を酔わせている。つまり、夜という時間に〈俺のアトラクション世界〉を作り出せば、俺でもうまくいくんじゃね?」

と思ったそうです。

 

昼の行動パターンは、忍耐と服従と自己制御の連続。

しかし、夜はその逆なのです。

 

「相手の女性の趣味趣向を見抜き、夜に相手に合ったミステリアスな世界観を見せ、昼に作られてしまった俺のイメージを変えれば良いと思った。まあ、相手の趣味趣向を見抜くのがなかなか容易ではないんだけどね。聞き上手にならないと、相手の情報を引き出せないしね。」

 

「女は、男の大きな声では心を動かされないが、夜、低い声で説得されると心を開く」

(p.72)

 

だからいつもよりなんとなく頼もしく、年上っぽく感じたのか・・・

細かく演出を入れてきていた山ちゃんに感服しました。

私も本を読んでいたのに、全然気がつきませんでした。

 

恐らくこの本を読むにあたっての気概が、私とは全く違うのです。

山ちゃんは大マジなのです。

私はサンドイッチをむしゃむしゃ食べながら、

「今、このバブル期の本を大マジメに実行する男は、山ちゃんしかいないのでは・・・。」

と違う観点で畏敬の念を抱き始めていました。

 

そして私の好きそうなジャズ喫茶を平気な顔して見つけて出してきたところに若干の腹立たしさがあったわけですが、

「なかなかやるではないか」

と山ちゃんには素直に称賛の意を示しました。

 

私とのなんちゃってデートはネタバレ会になりましたが、他の女性の場合は、山ちゃんが聞き役に転じて、普通に授業の話題や趣味の話題で話の輪を広げるそうです。

そしてあまり長居はせず、女性を遅くまで連れ回さないという紳士的なオレの価値観をチラ見せし、サッと切り上げるのだとか。

女性に

「もっと話したかった・・・」

と思わせて帰るのがポイントだそうです。

 

こうして私は、

「夜の魔力」

を実感しました。

 

私は山ちゃんと過ごしたあの日以降、古本屋街を巡り、この本を自宅保管用に購入し、時おり取り出して熟読するのでした。

ちなみにこの本には、夜に男性がどう変わるかも書いてあります(笑)

 

補足になりますが、二人でネタバレトークを行った際、山ちゃんと私が注意すべきと感じた点が同じでした。

「夜の心理術」

で、お目当ての女性と付き合うところまではいけたとしても、その関係が長続きするのか?

一人の人間と深い人間関係を作っていけるか?

は、まったく別の話だということです

山ちゃんもそこが課題と感じていたようでした。

 

ディズニーの世界も、運営側に回ってしまったら、まるで夫婦関係のように現実世界になることでしょう。

 

当たり前ですが、夜の心理術がすべてではありません。

テクニックを過信してしまうと、相当イヤな人間になってしまいます。

火遊び的に女性を落とせればそれでいい人は別なのですが、そうじゃない人は、きっといつか心が虚しくなってしまうだろうと思います。

 

とはいえ、「夜の人間心理」を知れば、夜に昼のルールを持ち込んでしらけさせるなどという過ちを犯さずに済みます。

まずは自分に興味を持たせ、親密感を感じさせるところまで行かねば、気になる相手と付き合うというスタート地点にも立てません。

夜の人間心理を知ることは、重要です。

 

ジャズ喫茶会合のあと、私が山ちゃんを前よりも尊敬するようになったのは言うまでもありません。

それどころか何か見透かされているようで、少しばかり緊張するようになってしまいました。

 

あのようにネタバレされてなお、昼の時間でさえ、山ちゃんを見るとあのジャズ喫茶の魅惑的なオレンジ色の光と優しい香水の香りを思い出すようになってしまいました。

そして山ちゃんという人物像が、勝手に深まっていってしまいました。

 

「人間の理性が休息をとる夜に、本能に訴えかけてくる合わせ技を繰り出されると、ほんのわずかなことで、こうもイメージが変わってしまうのか・・・。完全に山ちゃんの言うディズニー理論にハマっているではないか。夜の心理術とは、なんと魔術的で恐ろしいのだろう。」

 

私はそう強く感じたのでした。

 

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佐久間 雪
大学卒業後、営業職や管理職を経験したのち、独立してフリーのライターになる。