今回傍聴したのは、昏睡強盗の罪に問われた20代後半の女性の裁判です。
色白で細身、化粧をすれば映えるタイプで、なかなかの美人と言って良いでしょう。
被告人はテレクラで男を捕まえて、睡眠薬で眠らせ現金を奪った罪に問われていました。
この犯罪、ある意味でとてもシンプルで、しかも起訴されにくい手口でもあります。
テレクラでやりたい男を捕まえて、ラブホテルで睡眠薬を飲ませるだけ。
あとは男の財布から現金を抜き取り、姿を消すだけです。
しかも被害者である男性は買春しようとしているのですから、カッコ悪くて被害届を出すこともためらうでしょう。
薬を相手に飲ませることさえできれば、成功率の高い犯罪といえるかも知れません。
そしてテレクラで男を捕まえ、自分の名前や住所がバレないよう公園で待ち合わせした被告。
被告は自転車、被害者は車でやってきました。
そして被害者の車に乗り込み、ラブホテルに入り、先に被害者である男ににシャワーを浴びさせます。
被告はその間に部屋に置いてあるインスタントコーヒーを入れ、そこに睡眠薬を投入。
シャワーから出てきた男にコーヒーを差し出し、目の前で飲んでもらえれば、後は薬が効くまでゆっくりお風呂に入っていればいいのでした。

被告から差し出されたコーヒーを飲んだ被害男性。
一口でおかしな味に気がつき、「味がおかしい・・・何か入れた?」と聞きます。
被告は「砂糖入れたから」と答えたそうです。
あまりにも不自然です。こんなコーヒー飲む人いるのかと被害者の間抜けさにも驚きましたが、実はこのような男性は少なくないのだとか。
これまで被告の魔の手にかかった男達はみな飲んでしまい、被告を調子に乗らせてしまったことから考えても、その事実を窺うことができるでしょう。
「今からヤれる!」とはしゃいでいる男とは、これほどまでにバカなのです。
被告は頃合いを見て浴室から出ましたが、薬が効いて被害者は眠りこけていました。
そして、ぐうぐうと眠る男の財布から現金1万5千円を抜き出し、部屋を出ます。
男が起きた時には1人きり、女の連絡先もしらないので逃げ切り成功・・・
のはずなのですが、今回ばかりは逮捕されてしまいました。
なぜ被告は今回に限って、しくじってしまったのでしょうか。
裁判ではまず、被告が昏睡強盗を始めた理由の解明から始まりました。
生活保護だけでは生活できないので、昏睡強盗をやりました
最初は検察官による、被告人質問です。
「前からやっていたでしょ?」
「今回が初めてです!」
相手にしっぽを掴ませないやり口や、睡眠薬の飲ませ方、効果がでるタイミングを熟知しているなど、初犯のはずがありません。
しかし、証拠もないことなど、見通しているのでしょう。
相当強いメンタルの被告です。

攻め手に書く検察の質問が終わり、弁護士の質問が始まりました。
「なぜ、このようなことをしたのですか?」
「精神的に不安定で、仕事を続けられませんでしたので」
「月の収入はどれくらいでしたか?」
「障害年金と生活保護で12万円ほどでした。この手口は、テレビを見ていてテレクラで稼ぐ方法を知り、思いつきました。」
「でも、体の関係を求められるって分かってましたよね?」
「はい、そこで睡眠薬を使う方法を思いつきました」
お金に困る→テレクラなら稼げる→でもセックスするのはイヤ→そうだ!睡眠薬を飲ませよう!
という事だったようです。
このやり取りを聞いていた裁判官も、呆れたように質問をはさみました。
「12万あれば、生活できませんか?」
「できません!全然足りません!」
力強い断定口調です。
ハッキリとそう言われてしまえば、裁判長もそれ以上深く掘り下げることができないのでしょう。
この行動力とメンタルの強さ、本当に精神的に不安定で障害年金をもらっている人なのでしょうか。
検察も裁判官もそこらへんは怪しんでいる様子でしたが、どこかめんどくさそうです。
実際に、いろいろと面倒くさいのでしょうね。
最後に証人として、被告の父親も出廷し弁護士から質問が飛びます。
「被告の監督や生活の面倒を見ますか。更生させられますか?」
「正直に言いますね。いい大人なのだから無理です。監督などできません」
「・・・」
この回答には、弁護士も困っている様子です。
それでもこの事件では、証人である父親から被害者に賠償金として、10万円が支払われたことが弁護士から説明されました。
裁判官からも検察からも「もうこの事件、それでいいじゃん・・・」という空気が法廷で流れます。
判決まで見届けませんでしたが、きっとあのダルい空気の中で、結審したのではないでしょうか。
ところでこの事件。なぜこれほどの「完全犯罪」が破綻したのでしょうか。
そこにもまた、この事件のマヌケなエピソードが隠れていました。
昏睡強盗帰りにスーパーで買い物をして帰る女
昏睡強盗の被告を捕まえた、被害者の行動です。
睡眠薬入りコーヒーを飲まされ、1人、ラブホテルのベッドで目覚めた被害者。
被害者である男性は怒りましたが、それをぶつける相手はいません。
相手の住所、名前、連絡先も知らないのです。
唯一の接点は待ち合わせの公園だけ。
ただの待ち合わせ場所ですが、被害者はそこに行くしかできることはありませんでした。

とはいえ、強盗をはたらいた加害者が自分の痕跡を残すはずが・・・あったのです!
被告人が乗ってきた自転車がそのままそこに置いてあったのです。
おそらく、その自転車を取りに加害者が戻ってくるはずだ!
そう思った被害者は近くの交番に行き、巡査をつれて草むらに隠れハリコミました。
そこにスーパーで買い物を終えた加害者が、本当に戻って来てしまいました。
さっそく被害者は被告を取り押さえ警察に突き出したのですが、まさか被害者が追ってくるなんて想像してなかったのでしょう。
いや、想像しろよと思いますが、もしかして被告は本当に精神障害なのかも知れません。
昏睡強盗をしておいて、唯一の接点である自転車にのうのうと戻ってくる被告に、売春をしようとしていたのに、警察に被害を訴える被害者。
ぶっちゃけどっちもどっちで、両方とも捕まえとけといえば、言い過ぎでしょうか。
結局のところ、突然のハリコミに付き合わされた巡査が一番の被害者であると言えそうです。
結論:性欲は盲目
男はヤリたい。女はイヤだけどお金が欲しい。
この両者のマヌケなせめぎあいが顕になった恥ずかしい裁判でした。
しかし、自分だったらどうでしょう。
ラブホテルに入った見知らぬ女がいきなり差し出してくる不審なコーヒーを飲むでしょうか。
何度も考えましたが結論は、「ヤレるなら飲む」でした。
ヤリたい時、男はそれほどまでに頭の悪い獣になります。
売春だろうが、不倫だろうが関係なくなってしまうのでしょう。
見ず知らずの女性とラブホテルに入れたとしても、その先には落とし穴があります。
なぜ、この女性は自分と話してくれているのだろう?
どんな所に住み、どんな仕事をしていて、どんな性格なのだろう?
何も知らないまま性欲に突き進んだら、あなたも1人、ラブホテルのベッドで目を覚ますことになるかも知れません。
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【著者プロフィール】
野澤知克
自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。
現在は専業ライターとして、裁判所に通う毎日。
事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。
