つきあっている男によってガラリと印象が変わる女性がいます。
さらに気が弱くメンヘラ気質の女性だと、男に依存してしまうこともあります。
覚せい剤取締法違反の裁判を傍聴したのですが、被告がまさにそのタイプでした。
28歳で美人。外見的にとても恵まれている女性です。
22歳の時に知り合った彼氏に依存して生きている人でした。
その彼氏が駄目な人だったのです。
被告は彼氏の影響で覚せい剤を始めてしまいます。
人間の意思では、とてもやめられないのが覚せい剤。
一度中毒になってしまったら、一生そこから抜け出すのは不可能とも言われています。
しかし、被告は彼氏がいない時は覚せい剤をやっていませんでした。
覚せい剤を克服したのではなく、男性への依存が覚せい剤を上回っているようです。
被告は覚せい剤はやめれても、彼氏との関係はやめられません。
そんな被告を救うため、法廷では説得が続いた裁判でした。
それはまるで法廷の別れさせ屋。
弁護士や検事や裁判官が彼氏と別れろと説得する裁判でした。
美人だけど男運のない被告の人生
法廷に入ってくる被告の姿に目が惹きつけられました。
誰が見ても美人だと言うでしょう。
やややつれた感はありますが、それすらも美しさに変えてしまうような女性です。
28歳。3人の子供を産んでいますが、出産による美貌の衰えなど感じさせません。
被告の初産は18歳でした。
中卒で社会に出て、最初の旦那とは別れています。
スナックで働きながら子育てをするシングルマザーでした。
そして22歳になったときにYと知り合います。
このYが駄目な男で、被告の人生はYによって狂ってしまいました。
Yとの間に2人の子供を授かりましたが、Yは覚せい剤中毒だったのです。
Yの影響により覚せい剤を始めてしまった被告。
覚せい剤について弁護士が質問すると、被告はこう答えました。
「シャブやっている間は気分がよくなり、ダルくなくなる」
被告もすでに覚せい剤中毒だったのです。
被告とYは万引きを始めます。
覚せい剤を買うお金と生活費を稼ぐ為です。
その手口は大胆で、被告がカゴにいれた商品をYが持ち出すというものでした。
さらに、地元では万引きし尽くして警戒されてしまい、別の街に遠征して万引きをするようになります。
そんな日々の中、万引きで逮捕されるまえに覚せい剤で捕まってしまったのです。
この万引き生活がいつ始まったのかは不明でしたが、Yはこの間に覚せい剤で逮捕され刑務所に拘留されていました。
Yがいない間の被告は覚せい剤をやることもなかったようでした。
覚せい剤の依存度は強烈です。
それはこれまで傍聴してきた裁判から確信できます。
その覚せい剤を「一緒にやる男がいないから」とやめられるのは大変珍しいことです。
これは被告にとって有利な条件といえるでしょう。
初犯ですし、Yと別れると宣言してしまえば、執行猶予を勝ち取るのは簡単に見えます。
そして、さらにプラスになる材料が登場します。
彼女の姉が証人として出廷したのです。
この姉の証言はとても力強く、被告の更生の道筋をはっきりとさせる内容でした。
妹は真逆の強さを感じる姉の証言
傍聴席から証言台に向かう姉、彼女の足音は力強く、法廷に響きます。
金髪ボブカットのヘアスタイル、派手めなファッションを着こなすセンス。
美容師やファッション業界にいる人かもしれません。
もしくは経営者などでしょうか。
そんな力強い印象を周囲に与えます。

カツカツと靴音を響かせ証言台に立つ姉。
嘘をつかない宣誓をし、弁護士の質問に答えます。
「被告はどんな人物でしたか?」
「精神が弱く、自傷癖がありました」
「これから被告をどうやって監督していきますか?」
「これから妹の生活、経済的支援を私が行います」
「それはどうやって?」
「精神科への予約をしています。子供たちと健やかに生活できるようサポートします」
被告の子供はすでに被告と証人の母親つまり祖母のところに引き取らせているとのことでした。
とても力強く、具体的な証言です。
この力強い姉がいれば、被告の人生は良い方に向かっていくでしょう。
子供の話になると証人は涙を流して泣いていました。
「ただし、Yの存在は容認できません。別れるべきだし、別れさせます」
と言い切って証言を終えました。完璧な証言です。
カツカツと傍聴席に帰ってくる姉に拍手を送りたい気分でした。
それほど証人である姉の力強さは見事でした。
彼女に任せれば、被告の社会復帰は希望があるでしょう。
法廷内にいる誰もがそう感じるような印象を受けたはずです。
さて、舞台は整いました。あとは被告が「Yと別れます」と宣言すれば、裁判所はすぐにでも執行猶予付きの判決を出すでしょう。
そのための道筋が完璧に用意され、被告が証言台に向かいます。
それでも別れたくない女の心理
最後に被告人質問が行われます。2名いる弁護士が熱弁しました。おそらく姉が雇ったのでしょう。

「すでに子供たちは母親が何をしたのかを知ってしまいショックを受けています」
そんな子供たちからさらに母親を引き離す気ですか?裁判所は?と言っているのです。
世の中には引き離した方がいい母親はいっぱいいますが、被告は子供の話になると涙を流してしまうようなマトモな人間です。
とにかくYさえいなければ被告の人生はマトモなものだったはず。
ですので、被告にも何度も聞きました。
「Yと別れる気はありますか?」
検事も同じことを聞きます。
「Yと別れられますか?」
ここで「はい、別れます」と言えばこの裁判の幕は下ります。
若く美しい3児の母を覚せい剤の泥沼から助け出し、社会復帰するきっかけになるはず。
ですが被告の答えは同じでした。
「迷っています・・2人の父親だし」
あっちゃーという声が各所から聞こえてきそうでした。
別れさせ屋のようになっていた法曹三者と姉はがっくりと肩を落としたでしょう。
彼ら彼女らが頑張って引き離そうとした、被告とYの間柄。なかなかに強力です。
被告はYに依存しきっているのです。
それも覚せい剤よりも強力に。
あれほどまでに愛している存在がいるのは幸せなことかもしれませんが、Yと別れなければ被告と覚せい剤の関係は続くでしょう。
それこそ覚せい剤の依存治療のような覚悟と計画がなければ別れることは難しいかもしれません。
結論:俺色に染められた女
美人って得だよな・・と思っていた時期が私にもありました。
美人ってだけでチヤホヤされて、学力とか努力とか関係なく金持ちの男を捕まえれば一生安泰だと思っていたのです。
しかし、被告の人生を垣間見てそうではないと思いました。
外見だけならかなり恵まれている被告。
彼女は高校にも行くことなく働き始め、18歳で妊娠。
28歳までに3人の子供を授かっています。
おそらく働きづめの毎日だったのではないでしょうか。
リストカットしたくなるほど、どこかに逃げ出したかったのかもしれません。
そんな被告にとってYとの関係は希望だったはずです。
Yへの依存は苦しいリアルな世界からの逃避行に見えます。
もし、Yではなくもっとマトモな男が、22歳になるまえに被告をひっぱってあげたら・・と思わざるをえません。
それならば覚せい剤とも無縁で、リストカットする必要もない人生だったと思います。
いたと思うんです。
スナックではたらく美貌の22歳。彼女を見て「いいな」と思うのが自然な男の反応です。
最初に手を伸ばしたのがYではなく、別の男だったらと想像してしまいました。
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【著者プロフィール】
野澤知克
自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。
現在は専業ライターとして、裁判所に通う毎日。
事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。
