「マリトッツォ」に「エルメスのロデオチャーム」 ごく普通の男がモテる本当の理由とは

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同僚の桜井はごく普通の男。そして言い得て妙と感心したのは、

「桜井の顔ってさ、フツー・オブ・フツーだよね」

と言った友人の発言。

意味するところは「キング・オブ・フツー」なのだろうが、仮にも「キング」などという呼称は桜井には絶対に似合わない。むしろ気持ち悪い。

そのくらいフツーの中でも最もフツーの顔を持ち、背が高いわけでもマッチョでも金持ちでもなんでもない、ごくごく普通のサラリーマンが桜井だといえる。

 

そんな存在感の薄い桜井、なかなかどうしてモテるのだ。その理由の一つに「流行に敏感」という点が挙げられる。

先日のミーティング後、女子たちが流行りのスイーツの話題で盛り上がっていた。各々がお気に入りのパンケーキやジェラートを挙げる中、桜井がぼそっと一言、

「マリトッツォなんかはどうですか?」

と呟いた。女子たちは目を丸くして、なにそれ?食べてみたい!と食いつく。

 

ーーマリトッツォ。イタリア・ローマの伝統的な菓子パン。ふわっとしたブリオッシュの真ん中に山盛りの生クリームを挟んだ、見た目も映えるイチオシ商品。

ちなみに外見がシュークリームと似ているため、カッコつけたい女子の前では見間違わぬよう注意が必要。

このマリトッツォ、日本では「カルディ」で売られており、そのインパクトに思わず足を止めるOLも多い。余談だがカルディのオンラインストアでは、品切れ状態が続く人気商品でもある。

 

女子に人気のスイーツ、なかでも密かな人気を博すマリトッツォを把握しているあたり、女子社員の目の色が変わる。

もちろん、男としての桜井の評価というより、ナチュラルに流行を掴んでいる部分でのポイントが上がった、という感じ。

「桜井、それどこで食べられるの?今日行こうよ!」

その結果、桜井と女子4人は仕事後にマリトッツォツアーへと出かけていった。

 

桜井がモテる理由に触れた瞬間

今となっては記憶が曖昧だが、私は過去に桜井と寝たことがある。そして何度目かのベッドの上で、なぜこの男がモテるのかを知ることとなる。

 

金に余裕があるわけではないが、オシャレに興味のある桜井。身につけているアイテムは、割と有名なブランドや誰もが知っている流行りの商品が多い。

ある日、ファッションについてどう考えているのか尋ねてみた。

「ぶっちゃけて言うと、モテたいからかな」

 

顔もスタイルも学歴も仕事も、何もかもが普通の桜井。今より少しでもモテるための努力として、コンビニでファッション誌に目を通したり、仕事のついでに表参道をウインドウショッピングしたり、最新の流行に目を光らせていた。

そしてそれは女性にモテるためだけではない。

「交渉の時とかさ、俺みたいに冴えない男じゃ信頼されないこともあるんだ。だからせめて格好はビシっとオシャレに決めておきたいんだ」

 

お世辞にも印象的な要素など皆無の桜井は、身なりまで普通ならばそれこそ「空気のような存在」になりかねない。

ただ、印象の薄い顔だからこそ衣服が映える、というメリットがある。

ーーそういえば「モデルの顔が美人すぎると、衣装に目が行かないからデザイナーは嫌がる」という話を聞いたことがあるが、正にこのことだろう。

 

ニュートラルなキャンバスに流行りの衣装を乗せることで、アイテムが目立つ=桜井はオシャレだ、という評価が得られる。

そしてこの可もなく不可もない凡人が、結果として多くの女子からお誘いを受けることとなるのだ。

 

そんな桜井、ジャケットの袖からティファニーのブレスレットを覗かせている。リターン・トゥ・ティファニーの「ハートタグ」が目印のブレスレットだ。

「ティファニーなんてするんだ、男なのに」

私はからかいながら桜井の手首をつつく。

「ティファニーが好きなわけじゃないんだけど、このブレスレットはなんとなくいいかなと思って」

やや照れながらもブレスレットを撫でる桜井。

私もティファニーが特別好きなわけではないし、ましてや装飾品を身につける習慣もないため、会話はそこで終わった。

 

そういえば取引先のクライアントから、

「桜井君がバッグに付けてたチャーム、あれってエルメスのロデオだよね?」

と聞かれたことがある。

そのとおりだが、桜井が持っているチャームの色は日本では未発売なのだそう。どうやって手に入れたのか本人に聞くと、

「『バイマ』っていう、海外で買い付けしてくれるサイトがあってそこで買った。でもよくわかったね、あの人」

と嬉しそうに顔を赤らめた。

 

なぜならそのクライアント以外、誰も気が付かなかったのだそう。ブランドにうるさい女子社員ですら、エルメスのロデオチャームだと分かっても、その色が国内では手に入らない色であることまでは知らなかった。

男性からもモテたい、と言っていた桜井は、その目標をしっかりと達成したようだ。

 

ーーそして何度目かの桜井との夜。私に覆いかぶさる奴はニコニコしながらこう言った。

「あ、そうだ。ちょっと目つむって」

キスでもされるのかな、と思いながら素直に目を閉じる。すると私の右手を頭の上まで持っていき、何やらガサゴソしはじめた。しばらくすると、

「目、開けていいよ」

と言った。

 

頭上から右手を下ろしてくると、なんと、そこにはあのティファニーのブレスレットが付けられていた。あまりの驚きに言葉を失う私。そんな私を見下ろしながら桜井は続ける。

「やっぱさ、男が付けてたらキモイのかなって思って。だからあげるよ」

 

ーーこれがコイツのモテる理由なのかもしれない。

胸の奥のほうで温かい何かが流れるのを感じた。ブランド物のアクセサリーをくれたことが嬉しいんじゃない。私との他愛もない会話を覚えていてくれたことが嬉しかったのだ。

このブレスレットを手放すにあたり、思うところはあっただろう。それでもその行き先として「私」を選んでくれたことに、感謝とともに愛を感じた。

 

どんなにミスをしても愛されるキャラ

普段の桜井は見た目どおり、目立った活躍など一切ない。それどころかしょっちゅうミスをするため、常に監視の目を光らせていなければならない。

 

先日も、書類の提出期限を間違えてクライアントを激怒させる事件が起きた。

そこで我々は雁首を揃えて謝罪に出向いた。

先方は当然のことながら怒り心頭に発しており、桜井を担当から外した上で任命者である上司にも責任を負ってもらう、と譲らない。

 

「私の責任です。言い訳の余地もありません。本当に、申し訳ありませんでした」

泣きそうな顔で深々と頭を下げる桜井。我々も続いて頭を下げる。

その後もお説教は続き、1時間が過ぎたあたりでようやく解放された。

 

しょぼんと肩を落とす桜井。それを見た上司が思わず声を掛ける。

「まぁ失敗は付き物だから、また頑張ってくれよ」

小さく「ハイ」と答える桜井の顔に、生気は見られない。

 

帰社からしばらくすると、先ほどのクライアントから私に電話があった。

「桜井君、大丈夫?なんか自殺でもしそうな雰囲気だったから心配で」

元はと言えばミスを犯したのはこちらで、先方が激怒するのは当たり前のこと。にもかかわらず桜井の様子を気にかけ、心配までしてくれるとはーー。

 

横目でチラっと桜井を確認する。やはりしょんぼりとうなだれている。

「まぁ顔は土色ですけど、元々が彼の責任ですからしかたないですよ」

私は当然の返事をする。するとクライアントは、

「もう済んだことだ。桜井君には気にしないでくれと伝えてくれ。これからもウチの担当を頼むと、な」

なんということだ。

さっきは鬼の形相で担当替えを要求し、上司の責任も追及すると言っていたではないか。それなのに、桜井の反省っぷりに被害者側が折れてくるとは。

 

これも全て、桜井が「フツー」だから為せる業だ。これがもし、長身で細マッチョなイケメンだったりしたら、このような展開は到底望めないだろう。

冴えない、しがないサラリーマンだからこそ温情を施されたのだ。・・と考える意外に、納得できる理由など思いつかない。

 

ーーちなみに。このクライアントは「ロデオチャーム」を言い当てた、あのクライアントだった。

 


 

【著者】炭汁稲門子

学生時代は麻雀で稼ぎ、卒業後はスポーツ新聞記者として三競オートも手掛ける。

今は風俗に詳しい士業者。

その筆致とは裏腹に、内田有紀似の美人。


 

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