
男女が出会い、惹かれ合う。これは自然の摂理なのでどうしようもない。
忙しいビジネスマンとなると、会社の中で相手を見つけてしまうことだってある。
しかし、周囲には隠し通すのが社会通念というもの。
私たちもそうやってきたけれど……彼はひとつだけ「やらかして」しまった。そして程なくしてあからさまな異動、そう、世で言うところの左遷を喰らってしまった。
そう、たったひとつだ。
とにかく人気者だった彼
まだ私が新入社員、いや、その前の内定時代のこと。 企業は、面接は厳しくとも内定を決めれば学生をとにかく大事にする。何かにかこつけてタダ酒攻勢を仕掛け、囲い込みに入る。
そんな席でいつも若者に囲まれていたのが、人事部のバツイチKさん。 カッコイイし、若く見えるし、とにかく気さくなので、イジっていいし。 スポーツマンらしい日焼けがまた、ちょっとセクシーでもある。
そりゃあ誰だって、他のオッサンたちをヨイショしながら飲むより、気さくな彼と喋っている方が楽しいに決まっている。 彼の周囲の席は、内定者の間でも静かな奪い合いになっていた。
私もそのひとりだった。気楽なんだもの。
個人的には、香水をつける男性はあまり好きではなかったけれど、まあそんな関係になることもないだろうし。
そんな彼からまさかの電話、そして私たちは結ばれた
しかし、女子は鋭い。
「Kさんって、○○(私)のこと好きなんじゃない?お似合いだよー」と冷やかされるようになった。
ないない!いや、カッコイイとは思うけど、歳も違うし、別れた奥さんは超美人だっていうし、私なんかのことそんな風に思うわけなーいじゃーん!
と、思っていたれど…
「意識する」というのは怖い。なんとなくそういう気になってしまう。 Kさんの言動を観察しては、「もしかして?」と思ってしまう。
当時、私は地方の大学に通っていたので、飲み会ごとにこの東京の会社に来ていた。
卒業とともにようやく東京に引っ越し、入社式までは特にやることもなかった時期のこと。
夜、ぼんやりテレビを見ていたら、いきなりKさんから電話が来た。
「引っ越し終わった?今どうしてる?俺、いま同期と飲んでるんだけど来ない?」
えっ?えっ?これって個人的な誘いだよね? いや、まさかそんな、ね。同じ大学出身の人がいるから紹介してくれるとか、そういうことだよね。妄想が過ぎるよ。でも…
っていうか、なんで引っ越し終わったこと知ってんの?
かなりドキドキしながら慣れない東京の電車に乗って出かけたら、結局、終電を逃した。 というか、終電で帰してくれなかった。
そして彼の家に泊まるという、よくある展開になってしまった。 マジか。マジだったのか。
「俺がずっと好きだったの、わかってるでしょ?」 やっぱり同期の女子は鋭かった。
その後、彼はやらかしていた。
そこから、会うのはだいたい土日で、基本はどちらかの家の近所。
平日の夜、ということがあっても、万が一見つかった時の言い訳はちゃんと考えている。
そして、これは誰にでもあると思うのだけど、この秘密感がたまらない。
会社で顔を合わせた時に、普通の先輩後輩のフリをすることの楽しさよ。
しかも私たちの場合、人事部員が入社前から新入社員に手を出した、という背徳感… これも嫌いじゃなかった。
研修中の合宿で、夜中に彼の部屋に忍び込んで、早朝にしれっと自分の部屋に戻ったり。
そして数か月後。研修が終わると配属が決まり、新入社員たちはバラバラになっていく。 割と「やりたいこと」がハッキリしている若者たち。
もちろん全員の希望が叶うわけがなくて、不本意で泣き出す子までいた。そんな中、私はあっさり希望通り。
競争率高かったのに。私より明確なビジョンを持ってる子もいたのに。
しかし、あとで驚愕の事実を知ることになる。
何やってんの?バカなの?
次の休日、彼から電話が来た。
「配属どうだった?行きたいところに行けてよかったね」「そうだね」。
「いやー、俺、頑張ったんだよ」。
・・・・・・???頑張った?何を????
そう、人事部の会議で、彼はやらかしていたのだ。
人事部長の意向にひとり歯向い、私の配属について力説していたのだ…ほぼ全会一致の状況をひっくり返すほどに。どんだけやねん。
その経緯を自慢げに話す彼。私が喜ぶと思ってのことだろう。
でもね。
正直、ドン引きした。うわっ、マジかよ、と思った。
ごめん、ない。それはないわー。
さすがにそこまでの公私混同は、なし!
それって、自分で私との関係をバラしてるようなものだし、私の方は今後、「枕営業したな?」っていう目で見られるワケでしょ?
居心地悪いだろうが!バカなの?勘弁してくれ。
男性の方がやってしまいがち
なんだかそこから、あまり会わなくなった。 私も外回りばかりで忙しくなったというのもあるけれど、なんか冷めた、というのもまた事実。
夜、電話が来ても、仕事を理由に断ってしまうようになった。
程なくして。
社内掲示を見たら、彼の異動。それらしき所に。
ああ、やっちまったなあ。しかし、しょうがないよこればっかりは。
なんか申し訳ない気もするけど、私が頼んだわけじゃないし、知らんがな。
そのまま、私たちの関係も自然消滅。会社で顔を合わせても、正直なんとも思わなくなった。
その後も取引先の男性と交際することがあったが、この人もまたやらかした。 なんとなく心配はしていたが、やっちまってたか。
こちらはアウトの度合いが酷かった。 都心の職場から、通勤に2時間近くかかる場所への左遷。
「いや、こののんびりした環境も楽しいよ。暇だから座ってるだけで給料もらえるようなもんだし、昼休みにスポーツできるし。よかったら一度顔出しにおいでよ」。
とんだお花畑だ。まあ、ある意味でメンタル最強かもしれないけれど。
なぜ「やらかして」しまうのか
この現象はなんなんだろう?
おそらく、どんどんワキが甘くなっていくのだと思う。 そして、そこが見ていて嫌になるんだろう。
頭悪いというかダサいというか、これまでもそんなことやってたの?下半身で仕事してんの?と感じてしまうのだと思う。
極端な言い方をすれば、飲み屋で貢ぐために会社のお金に手をつける人と構図は変わらないではないか。
それから、「俺様気質」の人もいる。これは、もっと痛々しい。
オンナより優位に立ちたい、「俺が助けてやった」みたいな感覚。これはもうね、反吐が出る。 そんなズルいことじゃなくてね、他のことで偉そうにしなさいよ、と思う。
とにかく「職権」を使われるのだけは、嫌とかいうレベルを超える。 関係はバレるし、こっちまで共犯だと思われるし、本当に勘弁してほしい。
男性の方が、ワキが甘くなりがちだ。
こんなのを喜ぶ女はやめなさい
この一線をきちんと守る男性こそ、カッコイイのだ。
むしろ、職権を使うことを喜ぶオンナは、次からも当たり前のように要求してくるだろう。
頼まれた方もどんどん断りづらくなって、負のスパイラルに陥るのは目に見えている。
職権濫用を喜ぶのは、どこかで「色目で大概のことはなんとかなる」と思っている、世の中をナメたオンナなのである。かつ、相手のことを「チョロいなー」と思っている。
そういうオンナは相手そのものではなく、相手の「地位」に惚れているだけのこと。だから職権を使うと非常に喜ぶ。 「そんなに私のことを愛しているのね」みたいな勘違いオンナに発展する。
飲み屋のオネーチャンに貢ぐよりもタチが悪い。飲み屋なら金で済むではないか。
出会ってしまったものはどうしようもない。
しかし、「そんなことしちゃダメ!」と叱ってくれるオンナを選びなさい。 そのほうが、はるかにあなたのことを大切に思っているから。
この原稿が、当事者の目に止まらぬことを祈る。いや、もう時効だろうけれど。
<うさぎ66号>
アラフォーWebライター。大学卒業後、東京の一部上場企業に就職、それなりに勤めたのち退社。学生時代は主に夜の世界を学び、数多くのサラリーマン観察を経験。学校では「動物行動学」を専攻としていたため、人間の行動のなかに野生の本能を探す癖がある。
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