人生に疲れた僕がとある少女と出会い活力を取り戻したお話

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子供の頃に想い描いていた大人ってなんだったのだろうとふと考えます。


「普通」って何だろう?


待っていれば自然に手に入るものだと思っていました。
でも、僕は手に入れることが出来ませんでした。


皆、努力をして手に入れたのだろうと想像しています。
いや、本当に手に入れる事が出来たのだろうか?


最近では、「普通」とは蜃気楼のようなもので手に入れることなんか出来ないのではないのか?と考えるようになりました。


思い返してみると、僕の人生はなかなかオリジナリティーがあって楽しい人生だったのかな?と少しだけ考えるようになりました。


失敗だらけの僕の人生のお話を少しだけ聞いてください。

都内で会社員として勤務していた20代の頃のお話

当時、僕には2歳年下の彼女がいました。
都内で独り暮らしを始めて、初めて出来た彼女ですが、ある日突然振られてしまいました。
半年くらいボーと家と会社の往復をしていた事を覚えています。


傷心も癒えはじめたある日の深夜、所用で駅の方まで行きました。
当時、住んでいた部屋から駅まではほんの数分でした。


所用を済ませ帰る途中、ふと酔っ払いが目に入りました。
看板を抱きかかえて寝ている女性でした。
普段は他人に興味を持たないのですが、何故かこのときは声を掛けてしまったのです。


「大丈夫ですか?」
僕は身体を揺すりながら声を掛けました。


するとその女性は
「遅い!」
と言いながら僕にしがみついて来ました。


「ほら!いくよ!」
とその女性は指を差しますが、泥酔していて訳がわかりません。


とりあえず歩き始めると別の看板に向かって
「邪魔だ!ばかやろう!」
と絡んでいました。


僕は下戸で全くお酒が飲めません。
なので、本当にこういう人って居るんだなぁ~なんて呑気に考えていました。


とりあえず僕の部屋につれて帰りました。


家に着くと彼女は服を全部脱ぎ捨て
「好きにしていいよ」
と言い残し、大の字でいびきをかきながら寝てしまいました。


しかし、次の日が大変でした。


その女性は起きるなり自分の格好に気がつき
「ひっ!」
と声を上げました。
僕もそれに気がつき目を覚ましました。


「何したの?ってか誰?」
とその女性は困惑気味です。


なんだか腹が立ったので
「え?昨日好きにしていいって自分で言ってたじゃん」
と意地悪く返しました。


僕はその日、仕事だったのでその女性に合鍵を渡しました。
鍵を閉めたらポストに入れといて欲しいと頼み仕事に向かいました。


仕事が終わり家に帰ると、もうその女性は居ませんでした。
しかし、ポストに鍵が入っていません。
部屋を見渡すと綺麗に掃除してありました。
散らかっていた洗濯物も綺麗に畳んで置いてありました。


1週間後、その女性が再び部屋に来ました。
とりあえず一緒に食事に出掛けました。


細身で綺麗だし身だしなみもしっかりしていて、改めて見るとすごく良い女性です。
食事の後にカラオケにも行きました。


どうも、この女性帰る気配がありません。
結局、僕の部屋に泊まっていきました。


なんだか良くわからないような関係が続いて日常化していきました。
僕は何なんだろうと考えながらも、どうせ暇だしという理由で受け入れていました。


その女性が僕の家に泊まりに来るようになりだした頃からある異変が起きました。


その女性が泊まる日に必ずワン切りの着信が掛かるようになりました。
そして、それは無言電話にエスカレートしていきます。


そんなある日、仕事が終わり家に帰るとその女性が居ました。
その女性は泣いているようでした。


「どうしたの?」
僕は声を掛けました。


すると変な女性に待ち伏せされて泥棒猫とか色々罵声を浴びせられたようでした。
どうも、その変な女性が僕の本当の彼女だと言っていたそうです。


話しを聞いてみると、どうも元カノのようでした。
そういえば、と僕も思い出し、その女性が来ているときに限っていたずら電話があることを話しました。


色々と話す誤解は解けたようでした。
今で言うところのストーカー行為です。当時はまだそんな言葉はありませんでした。
その後も色々ありましたが何とか解決できました。


そしてその後、その女性は
「私のこと、どう思っているの?」
と聞いてきました。


僕はとりあえず
「好きだよ」
と答えました。


その女性は「わかった」とだけ言いました。


次の日、その女性と一緒に買い物に出掛けました。
どうも僕の着る服から靴まで選んでくれるようです。
会計も彼女持ちでした。


「来週お出掛けするからコレを着て来てね。」と言われました。


約束の日に、僕は買ってもらった服を着て待ち合わせの駅まで行きました。
その女性は駅まで僕を迎えに来ていました。


「今日はどこに行くの?」
と聞きましたが、その女性は着けば解ると教えてくれませんでした。
駅から車で約30分程走ると目的地に到着しました。・・・が。普通の住宅街です。


僕は?????状態です。
「ここは?」
と聞くと、その女性は「私の家」と答えました。
どうも両親がお待ちかねのようです。


僕は全く理解が出来ません。
「え?どういうこと?」


その女性は
「今日は結婚の挨拶♪」
と笑顔で答えました。


「!!!!!!」
僕はもう声になりませんでした。


この日初めてわかったこともありました。
この女性は僕よりも1歳年上で某大手企業の役員秘書をやっている女性でした。
よくわからないですが、僕は結婚することになりました。


あと、これは更に後でわかったことなのですが初めて彼女と出会った日は、好きな人に告白して振られてやけ酒で泥酔してしまっていたようです。
自暴自棄ってやつですね。
たぶん、この結婚も振った相手への当てつけの意味合いがあったのだろうと思います。

風満帆だった頃のお話

なんだろう。不思議なんですが結婚する事になって、なんか人生が変わった感覚に陥りました。
まぁ色々ありましたが、なんだかんだ結構幸せな新婚生活を送っていました。


年に一度は海外旅行に行ったり、マンションを購入したり、そして不妊だった妻が妊娠。
子供を授かった事。
自分の子供は本当に可愛いものです。自分の分身のような感覚です。


この幸せが永遠に続くと思っていました。
しかし、次第に歪みも出てきました。

妻の浮気・離婚・退職をして絶望した頃の話

いつの頃からか、夫婦間の会話がほとんどなくなりました。
子供を介しての夫婦に変質していきます。


そして、子供が小学3年生の頃、妻は半年程ほとんど家に帰って来なくなりました。
子供が夏休みに入り子供を連れて家を出て行ってしまいました。
その後、離婚が成立して妻は浮気相手と1年後に再婚しました。


また、独りの生活になりました。
しかし、ただ独りに戻っただけではありませんでした。
子供の存在が非常に大きく胸の真ん中にポッカリと大きな穴が空いてしまったような感覚です。


少しして僕は仕事を辞めてしまいました。
もう、何もやる気が起きませんでした。

仕事再開。そしてとある少女との出会いのお話

半年ほど無職でボーとしていました。
さすがにこのままでは廃人になるなと思い仕事を探しました。


まぁ、40歳過ぎて仕事を探してもあまり良さそうな仕事はありませんでした。
仕事に対して意欲があるわけでもなかったので見つかる訳もありません。


そんな時に知人の知り合いの仕事を手伝って貰えないかと話しが来ました。
僕は2つ返事でOKをして仕事を手伝うようになりました。
とりあえず、生活に困らなければとそれだけでした。


仕事をするようになり外に出る頻度が増えました。
また少しずつ生活も変化し始めました。


この生活に慣れてきた頃、とある少女と出会いました。
その少女は夜遅い時間に独りでベンチに座っていました。
あまり人通りの多い場所でもなく、待ち合わせには見えません。
ちょっと違和感を覚えました。


「こんなところでどうしたの?」
僕は少女に声を掛けました。


少女は首を横に振るだけでした。
僕は少女の横に座りました。
季節は冬だったので外に居るのは寒いです。


「帰らないの?」
僕は再び少女に問いかけました。


「帰りたくない」
少女はぼそっと話しました。


困りました。何かありそうだけど迂闊に聞けない雰囲気です。
「僕の家近くだから一緒に来る?それとも家まで車で送っていこうか?」
僕は少女に2択を与えてみました。


すると少女は少し考えてから
「お家に行く」
と言いました。


う~ん、そんなに帰りたくないのか・・。しょうがないので家に連れて帰りました。
家に入ると少女はきょろきょろと見回しています。
「ねぇねぇ、何にも無いよ?」
と不思議そうに質問をしてきます。


「う~ん、全部持っていかれちゃったからね」
と答えました。


少女は怪訝そうな顔をしていました。
それはそうでしょう。
3LDKの分譲マンションで冷蔵庫も洗濯機もテレビも何も無いのですから。
あるのは唯一布団だけ。あとはクローゼットに入っている洋服類だけ。


少しだけ間を空けて少女は再び質問をしてきました。
「誰に持っていかれたの?」
僕は少しだけ考えて少女に全部話しました。



少女は目に涙を浮かべて「かわいそう」と僕の頭を撫で始めました。
やっぱり世間一般から見て僕はかわいそうなんだなぁとボーと考えました。


そして、少女に頭を撫でられて泣いてしまいました。
よくわからないけど2人で泣いていました。


だいぶ経ち、落ち着きを取り戻して、ふと少女を見ました。
明るいところでよく見るとコートを着ていましたがその下は制服でした。
う~ん、これ高校生だよな・・・。深夜遅くなってしまいましたが無事に家まで送り届けました。
ギリギリセーフです。


少女の話もいろいろ聞きました。近くのコンビニでアルバイトをしているそうです。
しょっちゅう行っているのに全然解りませんでした。
コンビニでバイト中の少女は明るく笑顔で接客をしているのでわかりませんでした。
僕が会った時は鬱屈とした影のある少女でしたから。
家に帰りたくない理由は結局聞けませんでした。


それ以降頻繁に会うようになりました。
お休みの日にデートもしました。
生活に楽しさが再び戻ってきた感じがしました。


少女は高校3年生でもうすぐ卒業です。
卒業後は専門学校に進学すると言っていました。
そして、高校を卒業したら家を出たいと。
家を出て僕と一緒に居たいと言うのです。


う~ん、一緒に居てすごく楽しいけど、27歳差なんだよなぁと考えてしまいました。
更に少女は「一緒に住みたいけどここに住むのはイヤ」と付け加えました。


なんか、この言葉で僕は吹っ切れてしまいました。
マンションを売却して新しい部屋を借りようと。


そして、少女の親と会う事を決めました。
僕は少女の母親と会い高校卒業後、一緒に住み少女を専門学校に通わせる旨を話しました。


母親は最初こそ驚きましたが、何か察するものがあるようで了承しました。
中学生の時にイジメに遭ったこと。
高校生のときも一時期不登校気味であったこと。
少しだけ母親から教えてもらいました。
そして、少女が笑顔でいられるならと付け加えました。


ただ、父親にはとてもじゃないけど言えないので内緒にします。との事でした。
それはそうですよね。少女の両親は揃って僕の2歳年上なんですから。
母親が容認してくれた事を少女はニヤニヤして喜んでいました。


そして、春から少女との新生活が始まりました。
家電をすべて揃えて新しい部屋での生活が始まりました。


なんかすごく健康的な生活です。
なぜか、僕が少女を起こしてごはんの用意をして学校に送り出します。
少女は「行って来ま~す」と自転車で学校に向かうのです。


最初に出会った頃の鬱屈とした面影はありません。
すごく笑顔の可愛い女の子になりました。


普通ではないのかもしれませんが、少女との生活に暖かい家を感じてしまうのです。
おままごとのような生活ですが僕にはすごく新鮮で楽しいのです。
失ってしまった時間を取り戻している感覚です。
そして僕は決めました。


少女にとってカッコイイ大人であり続ける事。
カッコイイ男であり続ける事。
そして少女が安心して居られる居場所である事。
僕はこの3つを守り続ける事を誓いました。


それからは、今までつまらなかった仕事も本気で取り組むようになりました。
つまらなかった仕事がどんどん楽しくなっていきました。
比較的女性の多い職場なのですが、職場では「別人」と言われるようになり、頻繁に食事に誘われるようにもなりました。


しかし、少女と夕飯を一緒に作るため、ほとんどお断りをしていましたが、たまに皆で食事に行ったりする事も増えました。
女性陣は「彼女は幸せだね~。あー羨ましい」と言ってくれます。


しかし、誰にも27歳年下とは言えません。秘密なのです。
絶対に犯罪者扱いされるに決まってますから・・・。


生活が充実すると全てがうまく行くようになりました。
僕は辛い現実から目を背け、人を寄せ付けないように殻に篭っていたのですね。

人生の目標を見つけた話

最近よく父の事を思い出すようになりました。
僕の父は僕が35歳の時に70歳で他界しました。
がんでした。


当時は末期がん患者本人に告知をするべきか否かが大議論されていた時代です。
がんを発見した病院は告知推進派の病院でしたので父は直接末期がんである事を告知されていました。もって半年という事も告げられました。


父に延命治療の意志が無いことから緩和病棟に入院することになりました。
父が他界する2日前の事でした。


父と病室で2人きりになりました。
僕は今まで父と面と向かって腹を割った話しをした記憶がありません。


父は照れくさそうにポツリポツリと話し始めました。
「う~ん、あれだな・・・。まぁ思い返すと案外幸せな人生だったなぁ・・・。」
「お前も家庭を持って今じゃ父親だしな・・。」
「この先特別やりたい事があるわけでもないし・・・。やり残した事もないしな・・・。」
「充分満足な人生だったよ。」
この2日後に父は他界しました。


今まで、自分の父親を尊敬した事はありませんでした。
今ならわかります。
死を待つ状況で満足と言えた父が、すごく格好良く思えました。


僕は死ぬ時にこんな事を言えるのだろうか?
死ぬのが怖くて、もがき喚くのではないだろうか?
その時になってみないと解らない。
だけど、自分の死を受け入れられる人生を送りたい。
これは憧れではない。目標だ。
答えは死ぬときにならないと解らない。
だから、今は全力で生きる。
すべてを全力で楽しむ。そして全力で悩む。決して逃げない。


終わりよければ全てよし!


僕はそんな人生を全うしたいと思っています。


ペンネーム ゆき
様々な失敗や経験を経て現在webライターとして活動中

<Photo: A. L.>


『不二夫のフレグラン』


ーーーにおいで遠ざかり、匂いが近づけた。一組の家族の物語。


【あらすじ】
気がついたら、離れていた。とある家族の物語。
今日は妻と映画を観よう。急いで帰宅した矢先に、妻とママ友の立ち話を耳にする不二夫。 「うちの夫も最近加齢臭が……」
ショックを受け一人ソファで寝ていると、追い打ちをかけるように娘が家出してしまう。
不二夫は娘を見つけ出し、家族との距離を縮めることができるだろうか……

第1話~7話 絶賛公開中!
第8話 7月26日(金)公開!




特設サイト
不二夫のフレグラン
気がついたら、離れていた。とある家族の物語。今日は妻と映画を観よう。急いで帰宅した矢先に、妻とママ友の立ち話を耳にする不二夫。「うちの夫も最近加齢臭が……」ショックを受け一人ソファで寝ていると、追い打ちをかけるように娘が家出してしまう。不二夫は娘を見つけ出し、家族との距離を縮めることができるだろうか……




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