
1.男性の結婚が難しい時代
女性の社会的、経済的地位が向上すると、結婚相手への要求水準も高まる
未婚男性のみなさんは、近年、男性が女性と結婚することがとても難しい時代になっていると感じておられるかもしれません。
それは今の日本では女性が高望みになっているからです。まずはその仕組みから説明しようと思います。
そもそも女性には男性と比べると結婚相手に「経済力」を重視する傾向があります。
国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査・独身者調査」(2015年)では、「結婚相手を決めるときに重視すること」として「経済力」をあげる比率は、未婚女性(18~34歳)が39.8%であるのに対して未婚男性(18~34歳)では4.7%と、男女差が約35%もあります(注1)。
女性が男性に経済力を求める傾向は、女性が社会的、経済的地位を高めることで、緩まるどころか、逆に強まります。
未婚女性が結婚相手に「経済力」を求める比率は、学歴別にみると「高校」では34.1%であるのに対して「大学・大学院」では43.0%と高まります。
また、職業別にみると「パート・アルバイト」では32.0%であるのに対して「専門・管理」では40.4%と高まります(注2)。
このような変化が生じるのは女性に「上昇婚志向」があるからです。
「上昇婚志向」とは社会学者の赤川学氏によると「女性が自分よりも経済的、社会的に有利な立場を有すると期待される男性との結婚を求める傾向」のことです。
女性の高学歴化が進んだ今の日本においては、女性の男性に対する要求水準が非常に高くなってしまうというわけです。
(注1)(注2)国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」(2015年)http://www.ipss.go.jp/site-ad/index_Japanese/shussho-index.html
(国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」HP)
今の日本女性の上昇婚志向は非合理的な「高望み」の域
女性が上昇婚志向をもっていること自体は時代や社会に関わらず普遍的なものです。
しかし、その時代や社会と照らし合わせて合理的な望みになっているかどうかはそれぞれ異なってきます。
今の日本においては女性の上昇婚志向は、非合理的な「高望み」の域に達していると考えます。
内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」(2018年)では、未婚女性(20~49歳)の7割以上が、結婚相手(男性)に「年収400万円以上」を求めています(「収入は関係ない」「わからない」を除外した金額回答者ベース)。
しかし未婚男性(20~49歳)のうちそれを満たせるのは3割未満しかいません(注3)。
つまり現実の男性の年収分布とくらべて女性の望みが非現実的なものになっているのです。
このように女性が高望みをしている状態では、男性が女性と結婚することが非常に難しくなります。
(注3)内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」(2018年)https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h30/zentai-pdf/index.html
(内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」HP)
男性は移動婚活を検討すべき時代になった
出典)総務省「国勢調査」(2015年)より筆者作成https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/
(総務省「平成27年国勢調査」HP)
女性の高望みによって男性の結婚が非常に難しくなっている、ということは未婚率の男女差として端的に表れています。
総務省「国勢調査」では、35~39歳の未婚率は、単に上昇しているだけではなく、1990年以降は女性よりも男性の方が未婚率が10%以上高い状態がずっと続いています(注4)。
これは、女性に人気のある男性が複数回結婚しているためで、一度も結婚できない男性が増えているからです。
また2005年以降男性の未婚率が3割を超えています。
これは男性が結婚しにくいということが肌感覚でわかるレベルになっているということです。
3割を超えるということはプロ野球でいえば、いつでもヒットを打ちそうな雰囲気のある一流打者の打率です。
では、女性に人気のある男性以外の人は、どのようにすれば女性と結婚できるのでしょうか。
結婚で経済力が重視されるということはモテ(コミュ力、容姿など)の努力をしても十分な成果が得にくいということです。
もはや婚活が成功しやすい市場を求めて場所を変えることを検討する時代になってきているのではないでしょうか。
(注4)より一般的な未婚率の指標である生涯未婚率(50歳時点の未婚率)ではなく35~39歳の未婚率を採用する理由は、比較的最近の時代を反映しており、かつ婚姻の大勢が決まってくる年齢区分だと考えたからです(婚姻が30歳前後に集中するため)。
2.移動婚活をする意義は大きい
未婚率は都道府県間で10%以上異なる
総務省「就業構造基本調査」(2017年)より筆者作成https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
(総務省「平成29年就業構造基本調査」HP)
都道府県を移動する婚活をする意義は大きいと考えます。
総務省「就業構造基本調査」(2017年)では、男性(35~39歳)の都道府県別未婚率は、最大の福島県で39.4%、最小の宮崎県で27.3%と、最大と最小の差は12.1%です。
一方、女性(35~39歳)は、最大の東京都で27.5%、最小の長野県で15.0%と、最大と最小の差は12.5%です。都道府県が異なるというだけで、未婚率が10%以上も変わってくるのです。
男性は西日本での未婚率が低く、女性は大都市から離れた場所での未婚率が低い
総務省「就業構造基本調査」(2017年)より筆者作成https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
(総務省「平成29年就業構造基本調査」HP)
さらに未婚率の高低を日本地図に表示すると、男性は東日本で未婚率が高く、西日本で未婚率が低いという傾向が、女性は都市部で未婚率が高く、中部地方で未婚率が低いという傾向が読み取れます。
男女別未婚率は「女性人口比率」「親との同居率」(男女)「都市度」(女性)と関係
都道府県によって男女別未婚率が大きく異なるのは「女性人口比率」「親との同居率」と関係しているからです。女性に限っては「都市度」とも関係しています。
都道府県ベースで、男女35~39歳の未婚率と、それに影響を及ぼすと考えられる複数の項目の相関関係をみると、男性では「女性人口比率(25~34歳)」との相関が最も強くでました(相関係数-.584)。
その他、「既婚者(25~54歳)の親との同居率」とも相関がありました(相関係数.328)。
一方、女性においては、男性と同様、「女性人口比率(25~34歳)」との相関が.587と最も強かったですが、「既婚者(25~54歳)の親との同居率」との相関が-.510と男性より強くでました。
それ以外にも「人口集中地区面積」「専業主婦世帯比率(妻30~59歳)」「大学生・大学院生比率(19~24歳)」「男性(35~39歳)の年収の標準偏差(格差の度合い)」など都市部で高くなる項目と相関がありました。
つまり、男性は「女性が余っている」「親との同居率が低い」場所を、女性は「男性が余っている」「親との同居率が高い」「都市度が低い」場所を選ぶことが移動婚活においての大きな方向性となるのです。
3.移動婚活のメリットが高い人と、低い人
年収によって移動婚活にメリットの高低が変わる
男性の未婚率は、在住している都道府県よりも年収によって大きく左右されます。
年収が高い男性はそもそも場所に関係なく需要があるので移動するメリットが低いです。
そこで以下では男性(35~39歳)の都道府県別未婚率を、年収500万円台、400万円台、300万円台のそれぞれの段階でみていくことで、移動婚活のメリットが高い人とそうではない人を分類してみようと思います。結婚しやすいかどうかの判定基準を未婚率3割として設定します。
年収500万円以上の男性は移動婚活のメリットが低い
総務省「就業構造基本調査」(2017年)より筆者作成https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
(総務省「平成29年就業構造基本調査」HP)
まずは年収500万円台の男性(35~39歳)の都道府県別未婚率を確認します。
未婚率3割を超える都道府県はありません。
年収500万円を超えている男性は、都道府県を移動してまで婚活をするメリットは低いです。
今いる場所で努力する方が効率的でしょう。
年収400万円台では東京都、愛知県、神奈川県、宮城県在住の人は移動婚活のメリットが高い
総務省「就業構造基本調査」(2017年)より筆者作成https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
(総務省「平成29年就業構造基本調査」HP)
次に年収400万円台の男性(35~39歳)についてみていきます。
ほとんどの道府県が未婚率が3割未満です。
それらの道府県では移動婚活のメリットは低いです。
しかし、東京都、愛知県、神奈川県、宮城県の4都県については未婚率が3割を超えているため移動婚活のメリットが高いです。
年収300万円台では東日本の多くの都道府県在住の人は移動婚活のメリットが高い
最後に年収300万円台の男性(35~39歳)についてみていきたいと思います。
東日本の多くの都道府県在住の人は未婚率3割を超えるため、移動婚活のメリットが高いといえます。
総務省「就業構造基本調査」(2017年)より筆者作成https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
(総務省「平成29年就業構造基本調査」HP)
移動婚活のメリットが高い人は移動にともなう転職の所得減少の影響は少ない
以上のように、移動婚活のメリットが高い人は、大都市(東京都、愛知県など)の年収400万円台の人と地方在住の年収300万円台の人です。
そのような人にとっては都道府県移動にともなう転職の所得減少の影響は少ないでしょう。
移動先では多くの県で7割以上の人が年収300万円以上を稼げるため差があまり生じないと考えられるからです。
日本は高齢化で労働者不足の時代に入っているため転職時の雇用環境は比較的よいでしょう。
〔まとめ:移動婚活のメリットが高い人と低い人〕
〇移動婚活のメリットが高い人
・年収400万円→東京都、愛知県、神奈川県、宮城県在住の人
・年収300万円→東日本の多くの都道府県(未婚率3割以上)在住の人
〇移動婚活のメリットが低い人
・年収500万円以上→全都道府県在住の人
・年収400万円→東京都、愛知県、神奈川県、宮城県以外の道府県在住の人
・年収300万円→西日本の多くの県(未婚率3割未満)の人
*年収は男性35~39歳時点の見込み年収
4.移動婚活の移動先として魅力的なのは、福岡県、広島県、長野県、福井県
さて、それでは移動婚活のメリットがある人はどのような都道府県に移動するのがよいでしょうか?
ここでは移動先での年収が300万円台になることを前提に議論をすすめます。
移動婚活の移動先として魅力がある都道府県を、以下の①、②を同時に満たす都道府県だと定義します。
①年収300万円台でも結婚しやすい
=男性(35~39歳)の未婚率が3割未満
②年収300万円以上の仕事が見つかりやすい
=男性(35~39歳)の年収300万円以上の構成比が7割以上
総務省「就業構造基本調査」(2017年)https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
(総務省「平成29年就業構造基本調査」HP)
それでみますと、移動婚活の移動先として魅力的な県は、福岡県、広島県、長野県、福井県の4県が該当します(この4県以外で探したい場合はできるだけ左上の都道府県がよいでしょう)。
特に、福岡県、広島県には政令指定都市(福岡市、北九州市、広島市)もあり、東京都、愛知県などの大都会に慣れた人でも比較的ハードルが低い県です。
福岡県に関しては様々な婚活関連のニュース記事においても女性余りや男性の婚活のしやすさが報じられており、今回の年収を加味した分析においてもそれと整合する結果となりました。
5.移動先の生活や文化が自分にとってなじめそうかという点も重要
最後に、移動先の生活や文化が自分にとってなじめそうかという点も重要だと思います。
地方移住を推奨するライターの多くの意見が一致しているのは「都会の人がいきなりド田舎に行くのは危険だ」という点です。
それは生活や文化があまりにも違いすぎるからです。移住を考える際はいきなりド田舎に行くのではなくまずは地方都市レベルから始めるのが無難でしょう。
男性の未婚率の低い(結婚しやすい)九州の婚活に関しては、私の匿名メッセージサイト(マシュマロ)にたくさん情報が届いたのでここで紹介したいと思います。
意見を要約すると「九州は男性が婚活しやすい」「九州の女性は性格がよい」という肯定的な意見が多数でしたが「九州では女性の父親が気難しいと大変」などいわゆる「九州男児」との付き合い方に関する否定的な意見も多数ありました。
ただしこの点は九州女性が九州以外の男性に魅力を感じやすいというメリットにもなりうるとの指摘も複数ありました。
このようにどんな地域にも長所と短所がありますので、移動婚活を考えている方は、冷静に分析して納得した上で、進めてみるのはいかがでしょうか。
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<Photo:Scott Webb>