金とセックスを欲しいままにし、家庭も子供も手に入れた女友達は悪女だったのか〜悪女について〜

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「令和のミステリーファンが熱狂!昭和のミステリー第一位と言っても過言ではない!」

という文庫の帯に惹かれて、有吉佐和子の「悪女について」を手に取った。

富小路公子と名前を変えた物語の主人公、鈴木君子は嘘にまみれた虚飾の女王だったのか、夢のようなものと美しいものが好きなだけの、ひたすらに純粋な女だったのか。

27章によって構成される物語は、各章それぞれに異なった人物が登場し、その人物によって語られる富小路公子についてのモノローグによって展開していく。

 

私は1章読み終わるたびに、

「とんでもない悪女」

「誰より善良な女」

「何又もかけるヤリマン」

「純粋で一途な愛に生きる女」

と印象を変えていく君子に魅了されながら、

「沙紀ちゃん、元気かなぁ」

と、友人の友人である沙紀のことが思い返された。

 

沙紀は、私の親しい友人である真里の幼なじみだ。

私が沙紀と直接顔を合わせたことは一度しかないのだが、真里から長年にわたって沙紀の武勇伝を聞かされていた為、すっかり沙紀について詳しくなってしまい、まるで旧知の中のような気がしてしまう。

 

短大に通っていた頃の沙紀について、真里は「あんな悪い女は居ない」と言いながらも、彼女の強烈な魅力は認め、男を落とす手練手管には感心させられっぱなしのようだった。

沙紀の男遊びは、中学・高校時代に始まったそうだ。とにかく男と遊ぶことが何より優先だった為に勉強は一切せず、当然学業は振るわなかったのだが、

沙紀って大学に行けるような子じゃなかったんだけど、手先は器用で家庭科だけは得意だったから、家政科のある女子短に推薦で入ったんだよね。

短大に入ってからは、男ばかりの工学系の大学のサークルに入って、勉強しかしてこなかったような初心な男たちを好き放題に食い散らかしてんの

という経緯で短大に入り、面白おかしいキャンパスライフを送ることになった。

その当時の沙紀には高校生の頃から付き合っているサラリーマンの恋人がいて、

「私は働くなんてまっぴら。就職するつもりもないから、短大でたらすぐに彼と結婚する」

と宣言していた。

 

だからこそ結婚までに遊び尽くすのだと合コンに繰り出し、夜遊びに励み、サークルでも部員の男の子たちを順番に仕留めていったのだ。

感心するのはさ、合コンでも女の子の中で一番人気なのはいつも沙紀なの。

まあ、可愛い女の子たちの中でも特に沙紀が目立って可愛いのもあるけど、気の引き方とか甘え方が抜群に上手いんだよね。

だから、男どもは手玉に取られて、みんな沙紀のことを好きになっちゃう。

サークルも理系男子ばっかりのところだから、みんな女慣れしてなくて沙紀の言いなりだよ。

同じサークルの中で次から次へと男を乗り変えても、男たちはみじんも沙紀が悪いって思わないの。

『沙紀ちゃんは悪くない。前の男が悪いから別れることになったんだ』

って一人残らず言うんだから、まったくどうなってんだと思うよ

と、真里は呆れていた。

前述したように、沙紀には結婚を前提に交際している社会人の恋人が居たのだが、それとは別に大学生の男の子たちも常時3人キープしていた。

男の子たちは各自、「自分こそが沙紀ちゃんの彼氏」だと思い込んでいるのだが、沙紀にとって彼らは彼氏という存在ではなく、「デート用」「お財布用」「セフレ用」と3種類に分け、それぞれ用途別に使い分けていた。

 

デート用の男とは恋人らしく振る舞うが、財布とセフレには冷淡だった。

セフレとは週に3日はラブホテルに通うが、ホテル以外には出かけようとせず、財布と決めた男には極力ヤラせない。

男から金を引くにはヤラずぼったくりが基本で、セックスはお預けにするのがコツなのだそうだ。

 

セックス以外は求められないセフレの男が最も得をしているようにも思えるが、学生が週に3回もラブホテル代を払うのは大変だったろう。

実際、沙紀に籠絡された学生たちの中には、バイト代では足りず、自分が一人暮らしをしている部屋の家賃や生活費まで沙紀に貢いでしまい、生活ができなくなった者も居た。

セフレは沙紀に飽きられたら捨てられ、財布は金が底をつくと捨てられた。

 

デート用の男も、やはり振り回された。

合コンも大好きだったが、ヴェルファーレにも顔パスで入れた沙紀の夜は忙しく、終電を逃すと深夜にもかかわらず車で迎えに来るよう呼び出された。

しかし、男たちは誰も沙紀が派手に男遊びをしているとは思わない。

「沙紀ちゃんみたいに純粋で一途な子が、浮気なんてできる訳がないよね」

と、本気で信じ込んでいたのだ。

 

肉食女子という言葉は当時まだ無かったが、沙紀はセックスが大好きで、ほぼ毎日男とベッドインしていた。

特に社会人の彼とは、行為をビデオ撮影し、それを見ながらことに及んだり、怪しげな薬を使って快感を高めるなどアブノーマルなセックスをみっちり仕込まれていたが、そんなことはおくびにも出さず、まるで処女のように恥じらい、純情そうに振る舞うのだ。

 

沙紀が愛してやまないのは、ディズニーランドとジュエリーだった。夢の国と美しいものに目がなかった。

沙紀の毒牙にかかった男たちは、自分たちが沙紀を他の複数の男たちと共有し、同じことをさせられているとは知らないまま、ねだられるままにディズニーランドへ連れて行き、誕生日やクリスマスにはジュエリーを贈った。

 

そんな風に遊び暮らしていれば、沙紀に結婚する気がなくなったのも無理はない。

社会人の彼との関係に飽きてもいたし、テレビ業界人の彼は遊び人で、彼のマンションには沙紀以外の女の長い髪が残されていることもしばしばあったので、結婚相手として信用できなかったのも理由だった。

 

沙紀が婚約を破棄したのは卒業を間近に控え、就職活動を始めるには遅すぎるタイミングだった。

にも関わらず、育ちの良さと美貌と愛嬌で大手通信会社の営業職にすんなりと就職を決めた。

どこまでも運と要領が良いのだ。

とはいえ、社会人になって以降は、学生時代のように何もかもが思い通りになることは無かった。

 

就職後すぐに上司をたらし込んだ沙紀は、自分以外の女子社員全員から嫌われて吊し上げにあったり、その上司には年に5回もヤラせず財布としていいように使っていたら、遂に

「俺はただ金を払うためだけの存在みたいだな」

と言われて、唐突にふられてしまうなどした。

 

しかし、

「えっ、違うの?!って驚いちゃったわよ。むしろ自分を財布以外の何だと思ってたのかしらね」

と毒づいていたあの頃の沙紀は元気で、笑わせてもらったものだ。

 

そうしたことで職場に居辛くなった沙紀は退職し、その頃世話になっていた愛人に資金を拠出してもらい、銀座にマダム御用達のセレクトショップを開いた。

彼女は今で言うパパ活を当時からしており、金銭面では何かと男に面倒をみてもらっていたものの、己の店舗を持って働くのは存外に楽しかったようだ。

馬車馬のように働いて店の経営を軌道に乗せ、経営者として辣腕を振るうとは思いがけなかった。

 

実は働くことが向いていると分かったのだから、そのまま女実業家としての道を邁進しても良かったはずだが、「負け犬」という言葉が大流行するような時代だったのが悪かったのかもしれない。

次は人並み以上の結婚を手に入れたくなり、学生時代のように合コンに明け暮れて婚活に励んだ末に、理想的な相手を見つけて婚約すると店を閉めてしまったのだ。

 

彼女が結婚相手に選んだのは、当時メディアで脚光を浴びていたヒルズ族の一人だった。

沙紀の思惑では、そのまま順調に誰もが羨むような結婚をするはずだったのだが、相手も海千山千の起業家なので、ぶりっこしていれば信じてもらえるほど甘くない。

沙紀は正式な婚姻前に身辺調査をされて素行の悪さを暴かれ、婚約破棄の憂き目にあった。

 

不運というのは重なるもので、失意のどん底で子宮頸癌が見つかり、父親の借金まで発覚。

なんと父親は、まるで沙紀のような若い悪女にたぶらかされて、女に貢ぎ果たして多額の借金を作っていたのだ。

実家を救うため、沙紀はこれまで男たちに散々貢がせて貯め込んできた貯金を出して、親の借金を精算することになったのだから、これを因果応報と言わずして何というのだろうか。

 

それでも沙紀はしたたかだった。

さいわいにして癌は発見が早期だったために治療を受けて快癒し、重なる不幸に心身消耗していた時、親身になってくれた男性との仲を深め、妊娠をきっかけに結婚することとなった。

 

それは略奪婚であった。相手の男性には妻がいたのだ。

その哀れな妻はうつ病に追い込まれたが、沙紀は半年かかって別れさせ、盛大に挙式して幸せを掴んだ。

 

道ならぬ恋に身を焼く女は私の友人知人に何人もいたが、例え愛人が妊娠しても妻と別れる男は居ないものなので、不倫相手の略奪に成功した女を私は後にも先にも沙紀しか知らない。

度重なる不幸に打ちのめされてすっかり元気を失くしたとはいえ、やはり沙紀は大した女だと感心したものだ。

 

しかし、炊事が苦手な沙紀に主婦業など務まるはずもなく、元来大人しく家庭に収まるようなタイプでもないので、夫婦仲はあっという間に冷え込んでしまったようだが、一粒種の息子には夢中になった。

子供を盲目的に愛し、教育に入れあげている沙紀が、結婚後は仕事らしい仕事はしないままなのを、かつての働きぶりを知っている真里は「もったいない」と残念がった。

 

今も適当に若い男とデートはしているらしいし、Instagramに自撮りを載せていいねを集めているそうだが、そんなことで承認欲求を満足させて小さく纏まっていることを、私も何となく寂しく感じている。

本人はそれで十分満たされているのかもしれないが、私たちは沙紀のかつての華やかさをつい懐かしんでしまうのだ。

 

いくら子育てに打ち込んできたとはいえ、子供もそろそろ手を離れる頃だ。

沙紀には小説の主人公、君子のように、40歳をすぎてもなお衰えぬ女の魅力で男たちを翻弄し、誰もがよもや騙されているとは気付かない純粋さで、愉しみながら実業家としてのし上がる姿を、もう一度見せてくれることを期待している。

 

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【著者】マダムユキ

ネットウォッチャー。

最高月間PV40万のブログ「Flat 9 〜マダムユキの部屋」管理人。

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