デート代は男がおごるべき?女装して理解した女性の努力と女心とは

 

女心の理解、これは世の男性が直面する永遠の悩みだろう。

頭を絞り切るほど考えても理解できないのなら、女性になってみるといい。

僕は女装させられたことがある。実際に女性がいつもやるように、メイクやオシャレをしてみることで、普通に生活していては気づけない世界が見えた。

女装したことで分かった、女性の努力や気持ちについて紹介しよう。

 

出典:国土交通省「世界コスプレサミット

 

当たり前のようにやっている女性の並外れた努力

「ねえねえ、メイクさせてよ」

大学3年生の頃、付き合っていた彼女に頼まれた。

化粧したら絶対に可愛くなるからと言うのである。

僕は幾度も断ったが、彼女も諦めないので、一回きりのつもりで引き受けた。

 

彼女は大量のメイク道具をバッグに詰め込んでやってきた。

どうせするのなら、本格的に化粧をしたいそうだ。

すぐにメイクが始まると思っていたが、まずは肌を綺麗にしなければいけないそう。

洗顔をした後、彼女は良い匂いのする化粧水やらクリームやらを、丁寧に僕の顔に馴染ませた。

正直、いつもぬるま湯で洗顔して、安い化粧水とワセリンをさっとつけていただけの僕は、この時点で疲れていた。

 

ようやくメイクの始まりである。

僕は彼女の言いなりとなって、目や唇を開け閉じするだけだが、地味に疲れてくる。

実際に手を動かして化粧をすると、思った以上に疲れるのだろう。

30分ほどして化粧が完成した。

 

化粧に慣れていないせいだろうか、僕は変な疲労感に包まれていた。

そんな僕を察知してか、彼女は

「女の子は毎日化粧しているんだからね」

と言った。

本当にそうだなと感心した僕は、彼女に様々な質問をした。

 

普段のメイクは20分ほどで、毎月のメイク・スキンケア代も安くはない。

毎日メイクするのは大変だろうなとぼんやり思っていたが、同じようにメイクすることで、女性の努力が痛いほど分かった。

特に印象的だった彼女の言葉はこれである。

 

「あなたと会う時は1時間以上メイクにかけることもあるのよ」

 

この言葉を聞いた時、僕は愛しさや感動さえ覚えた。

気になる人や好きな人と過ごす時、女性はほんの少しでも自分を可愛く見せようと努力しているのだ。

単純に考えて、1時間かけてメイクするということは、1時間早起きするということである。

 

多くの男性はパパッと身支度して、デートに出かけられる。

早起きして、身支度を整える人は少ないだろう。

対して女性は、少しでも素敵になるため、時間をかけて準備する方が多い。

もちろん女性もやろうと思えば、ぎりぎりまで眠って出かけられる。

だが彼女らは、それをしないのである。

 

僕の経験上、これまでデートしてきた女性は皆、メイクをした可愛らしい姿で現れた。

僕達男性はあまり意識しない、いや当然のように思っているかもしれないが、その素敵な姿の裏には大きな努力やお金がかかっているのだ。

 

この女性の見えざる努力を考えると、男性の意識も変わるのではないだろうか。

例えば、よく見られる男性がおごるべきなのかどうか論争。

毎回男性が支払う必要はないが、大きな負担にならない範囲で、男性が気持よく支払ってもいいと思う。

特に初回のデート時は男性が支払うべきだろう。

だって、初デートこそ、女の子が一生懸命努力をしてくれるのだから。

 

ハイヒールとマニキュアは魔法のアイテムだ

僕が女装をして魅力的に感じたのは、ハイヒールとマニキュアだ。

元カノに女装させられた時、僕は7センチと10センチのハイヒールを履かせてもらった。

経験しないと分からないが、たった数センチ目線が高くなるだけで、サポートなしで歩くのが怖くなる。

おそらくヒールに慣れていても、早いスピードでの歩行は難しいだろう。

 

またよく言われるが、ハイヒールは本当に疲れる。

ハイヒールを履くと、ほぼつま先立ちになる上、ヒールが細いため体重も上手く支えられない。

つま先立ちで数時間歩き回るところを想像してみて欲しい。

それがハイヒールの辛さだ。

 

「そんなに辛いなら履かなければいい」、そう思った方は女心が理解できていない。

ハイヒールは妖艶な魅力を持つアイテムなのである。

ヒールを履くだけで、変化させるのが難しいスタイルが格段に良くなる。

脚とお尻が綺麗に見えるだけでも、ハイヒールを履く価値は十二分にある。

 

ヒールを履いて幸せな女性の気分を台無しにしないためにも、デート中はゆっくり歩き、適度に休憩も取るべきだ。

意外と女性の歩行スピードに合わせられない男性は多い。

 

もっと言えば、歩く時に手を差し出してもいいと思う。

僕がデートした女性達は喜んで手を取ってくれた。

恥ずかしがって、何もしない男性こそ最悪だ。

 

ディズニー映画『シンデレラ』を観て思ったことがある。

ハイヒールを履いて逃げ走るシンデレラよりも、優雅にエスコートされているシンデレラの方が美しい。

だから男性は、大切なシンデレラのためにエスコートを心がけるべきだ。

そうすると、女性は一層嬉しい気持になるだろう。

 

僕が女装した中で一番気に入ったのがマニキュアだ。

これまで女性のネイルを褒めると、彼女達は嬉しそうにしていたが、内心不思議だった。

爪に色を塗っただけではないか。

だが、実際にマニキュアをしてみて分かった。

 

自分の好きな色やデザインが爪に塗られているだけで、本当に気分が上がる。

そもそも、ネイルはいつでもどこでも見ることができる。

僕もふとした瞬間に、妻に塗ってもらったネイルを見ては、気分を高めた。

 

また、傾向的に男性は、あまりネイルに気づかないことも分かった。

店先でお金を渡す時や知り合いに会った時など、女性は「可愛いネイルね」と褒め言葉をかけてくれ、そのたびに僕は嬉しくなった。

一方男性は、男の僕がネイルをしていることに気づきさえしない。

 

女性のマニキュアを気づけないのは本当にもったいない。

気づいてもらえるだけで嬉しいのだ。

僕の妻は、マニキュアを塗ると一人でニヤニヤして眺めたり、何度も僕に見せびらかしたりするほどだ。

 

今はアーティストのハリー・スタイルズやポスト・マローンなどのおかげで、男性のマニキュアが流行の兆しを見せている。

機会があれば、ぜひ一度マニキュアを塗ってみてほしい。

実際に塗ることで、ネイルに気づけるようになれば、心からの褒め言葉を言えるようになる。

 

メイクやオシャレは自分のためにしているんだ

元カノに初めてメイクされた時の話しに戻ろう。

「仕上りは出来てからのお楽しみ」という彼女の言葉通り、メイクをされている最中、僕は自分の姿を一切見られなかった。

メイクが終わり、鏡を見てみると、そこには別人が写っていた。

 

彼女のメイクの腕前のおかげで、なかなか女装は似合っていた。

だがじっくり見ると、

「もう少し脚が細ければいいかも」

「この服よりも、サイズが入らなかったあっちの服の方が良かった」

など様々なことが気になり始めた。

もし僕が女性だったなら、少しでも自分を良くするため、もしくは好きな服を着るために努力をするだろう。

 

何が言いたいかというと、女性は異性のためにメイクやオシャレをしていないということだ。

もちろん異性を意識する場合もあるだろうが、基本的には自分のためにしていると僕は思う。

メイクは好きな自分になれる魔法であり、オシャレは些細なものであれ気分を上げてくれる。

なにより、外見が変わるだけで、気分が変わり、もしかすると行動も変わるかもしれない。

 

今まで女性に

「このテイストの洋服よりもこっちがいいよ」

「わざわざ化粧しなくていいのに」

など言った経験はないだろうか。

善意からの発言でも、相手からすると興ざめになるかもしれない。

だって彼女らは、異性のためではなく、自分のためにメイクやオシャレを楽しんでいるから。

 

僕達ができるのは女性の味方になることだ

女装をすることで、女性達が毎日のようにしている大きな努力を痛感した。

その努力が表に出ることはないものの、僕達男性はそれを当たり前のものとして受け取るべきではない。

デートはもちろん、日常生活の振る舞いで感謝の気持ちを伝えるべきだ。

 

ただ、女性達は異性ではなく、自分自身のためにオシャレや努力をしていることも忘れてはいけない。

メイクをしようとしまいと、どんなテイストのファッションを好もうと、それは彼女らの選択であり、余計な意見を伝えるのはナンセンスだ。

男性がするべきことは、彼女らの選択の尊重と肯定なのかもしれない。

 


 

奥川駿平
アルゼンチン在住のフリーライター。

アルゼンチン人と結婚するため、大学卒業後の2015年アルゼンチンへ移住。

2017年よりフリーライターとして活動。

マテ茶と伝統炭火焼肉アサードをこよなく愛する。