人は怒られることで成長します。
「怒られるってのは期待されているってことだよ」
とよく言われますが、これは本当かも知れません。
自分が年齢を重ねて、やっと気づくことができた真実がありました。
今回は、そんなことを改めて再確認した児童福祉法違反という罪名の裁判を傍聴した時のお話をご紹介します。
いつもはシブい説諭をする裁判官が、今回は何も言いませんでした。
道を踏み外した被告に、現実的な言葉を叩きつけてくれるS裁判官。
彼の大岡裁きを聞きたくて裁判所に通っていた私からすれば、これは大変なことです。
本当に駄目な人間には怒らないんだな・・・と。
淡々と、事務的に、法に従って罪を与えるだけ。
人間が本当に恐ろしいのは、怒っている時ではなく怒っていない時です。
そのことを思い知った裁判傍聴体験でした。
人に非ず!実子に手を出した畜生ジジィ
児童福祉法違反の裁判を傍聴しました。
被告人名は「A」となっており、公開されていません。
その理由は裁判が始まってすぐに分かります。

「被告人は実子に性的な暴行を加え・・・」
という怒りの美人検事。
彼女の口調からは激しい怒気が吐き出されています。
つまり、被害者は被告人の実の子どもなので、被告人名を公開してしまうと、被害者にも害がおよんでしまうのです。
それで、被告人名は伏せられていたのでした。
被告人は60代の男性。
しょぼくれた覇気のない感じです。
留置場に入れられているらしく、腰ひもをつけて法廷に入場しました。
弁護人は淡々と、かつ仕方なくやっている感じです。
弁護士は「年金暮らしで妻が相手をしてくれないから」という情状酌量を求めていました。
被告人質問でも証人は呼ばれませんでした。
普通だったら弁護人が誰かを呼んで「私が面倒を見ます」と監督を約束する流れです。
ですが、この被告のやったことがあまりに畜生すぎて、だれも証人になりたがらなかったようでした。
裁判は被告人質問が中心となって進みます。
裁判は美人検事の独壇場となりました。
白い肌に、まだ僅かに幼さを感じさせる目元。
しかしながら、まだ20代を感じさせる若さから被告人にナメられないように頑張り過ぎる余裕の無さを感じることもありました。
その彼女が、今回は鬼の表情で黒髪を逆立たせながら、被告人に詰め寄ったのでした。
怒りのクールビューティー!パイパンというワードが飛び交う法廷!
「あなたねぇ、私にパイパンが好きって言いましたよね?」
と美人検事が被告人に詰め寄ります。
怒りの感情を隠そうともしません。
席から離れ、被告人の右前方に立ちます。
極めて緊張感のある雰囲気で、美人検事による卑猥な単語を含めた被告人質問が続きました。
なお、彼女が怒っているのも無理はないかもしれません。
なぜなら、弁護士の用意した情状酌量のストーリーはこんな感じだったからです。
弁護士「奥さんとは夫婦関係があったのですか?」
被告人「結婚してからほとんどありません」
弁護士「それはどうして?」
被告人「妻は毎朝仕事に行ってしまい、私は家に1人きりだからです」
弁護士「性的に満足できない状態だった?」
被告人「はい」
弁護士「だったら夜の街、風俗などに行けばよかったのでは?」
被告人「いま年金暮らしで、月5万円しか使えないのです」
弁護士「だから娘に手を出してしまった・・と」
被告人「はい」
妻がパートに出るからセックスできない
→
年金暮らしだから風俗に行けない
→
だから小学生の娘に手を出した
こんなことが弁解になるのなら、警察も裁判所も必要ないでしょう。
弁護士も弁護するポイントが無さ過ぎて困っているようでした。
被告人質問はサイドチェンジし、怒りの美人検事が先程のセリフから詰め寄ります。

美人検事「あなたねぇ、私にパイパンが好きって言いましたよね?」
被告人「・・・」
美人検事「毛の生えていない、小さな女の子が好きなんでしょ?」
被告人「いえ・・・」
美人検事「奥さんがパートに出ている間、陰茎を小学生の子供に押しあてていたの?」
被告人「最初は遊びでした」
美人検事「そのあと『誰にも言うな』って子供に言ったでしょ!」
被告人「はい」
美人検事「どうして風俗に行かなかったの?」
被告人「お金がなかったし、病気も怖かったからです」
美人検事「奥さん、今日来てませんね。離婚するんですか?」
被告人「おれが家を出ればいいんでしょ・・」
美人検事「被害者が高校生になるまで毎日やっていたんですか?」
被告人「毎日というほどでは・・・」
美人検事「被害者が高校で『性被害にあったことがある』ってアンケートに〇つけなかったら今も続いてたの?」
被告人「わかりません」
美人検事「子供に悪影響を及ぼすって考えられなかった?」
被告人「・・・・」
美人検事「終わります」
ツカツカと靴音を響かせ席に戻る美人検事。
何度も法廷でお見掛けしましたが、彼女がここまで感情を露わにしたのは初めてみました。
眉間にシワをよせ、被告人を睨みつける彼女。
その迫力と、神聖な法廷に「パイパン」というワードが飛び交っている現実に少し脳が混乱しました。
気持ちも分かります。
同じ男としても、吐き気を催すような被告の犯行。
最低で最悪の男です。
美人検事は被害者と同じ女性として、実子に手を出す被告を許せなかったのでしょう。
裁判の最後にも
「被告人の行為は非人道的であり、卑劣である」
と強い言葉で求刑を締めくくっていました。
本当に恐ろしいのは何も言わない時
まだ若い美人検事とは対照的だったのがS裁判官です。
いつも最後に絶妙な説諭で被告に語りかける人なので、淡々と事務手続きを済ませる姿が印象的でした。
S裁判官「では、以上で審議を終わります。次回は判決となりますが、日程の方は〇月〇日で大丈夫ですか?」

ええ!?
この人は、いつもだったら「あんた人間じゃない」ぐらいの事は言いかねない裁判官です。
そのため、この流れには驚きました。
私の中にはS裁判官の語録ができてしまうぐらい、ナイスワードで裁判を締めくくってくれる人なのです。
例えば、過去にはこんなお言葉がありました。
「っていうかさぁ、ウザかったんじゃない?」(後輩に暴行した裁判で)
「身体に未練があったんでしょ?」(仕事に差し支えるからと不倫した職場の後輩に付きまとった被告に対して)
「そのジリジリ切ってくれるかなあ!?」(法廷内でスマホが鳴っているマスコミに対して)
このような説論やコメントを聞くのが楽しみでした。
今回も期待しただけに、意外な締めくくりです。
そしていつも温情をもって被告人と対しているS裁判官のやさしさに気付きました。
大麻、覚せい剤、窃盗などの比較的軽めの犯罪から強盗や殺人にいたるまで、S裁判官は
「今回はやらかしてしまったけれど、反省して社会に復帰してくださいね」
というスタンスで被告人と接していたと思います。
ですが、相手に更生すら期待しないときは、彼は感情を出さないのです。
いつも鬼の表情で説諭をしているS裁判官。
しかし、本当に恐ろしいのは能面のような静かな表情で、淡々としている時だったのです。
結論:怒られるうちが華
人間関係で本当に恐ろしいのは、怒られなくなった時です。
相手が表情も変えずに、感情的にもならずに、事務的に接してくるようになった時です。
人は相手に期待するから怒るのです。
怒られる方はキツイし、逃げたくなりますが、そのことを忘れてはいけません。
本当に期待されていない時は、怒られもせず、叱責もされず、感情的にすらなりません。
それは「諦められる」というより「人ってより、モノとして見られる」ぐらいの状況です。
私はこの裁判傍聴体験を通じて、今まで私に怒ってくれた人のことを思い出しました。
よく怒られてきた人生でしたが、今ではありがたみを感じています。
あの時怒ってくれなかったら、今の私はどうなっていたでしょうか。
きっともっとロクでもない人間になっていたでしょう。
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【著者】野澤 知克
自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。
現在は専業ライターとして、裁判所に通う毎日。
事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。
