プラットフォームのCFOが教えてくれた「個人クラウドファンディング」の現実と失敗のリアル

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里美さんが立ち上げたクラウドファンディングのプロジェクトが失敗していくのを、冷めた目で見ていた。

80万円の支援を募ったプロジェクトの達成率は、10%にも届いていない。未達に終わった場合は支援者に全額返金されるAll or Nothing式のプロジェクトなので、顔見知りのよしみで私が支援した5000円は、まもなく返金されるだろう。

 

ハンドメイド作家の里美さんは、自分が作った作品と、作家仲間たちの作品を委託販売するための店舗を開こうとしいていた。

そのための資金に50万円ほど必要だった。だからプラットフォームに払う20%の手数料と返礼品のコストを考え、手元に50万円以上のお金が残るよう目標金額は80万円に設定したのだ。

 

満を持しての試みだった。彼女のハンドメイド作家としての活動歴は3年を越えており、その間週末ごとに様々なイベントに出店しては、ハンドメイド作家とイベント主催者の知り合いを地道に増やしていった。

やがて自らも作家を集めて定期開催されるイベントを立ち上げ、イベント主催者としても作家たちや飲食店との付き合いを広げていったのだ。

そうやってできた人との繋がりは財産だった。Facebookで繋がっている数百人の「友達」は、きっと自分を支援してくれるに違いない。

 

と、そんな風に里美さんは考えたのだろう。

準備を万端に整えた彼女は興奮気味に、「友達」に向けてCAMPFIREのプロジェクトページを公開した。私もその興奮を目の当たりにした「友達」の一人だ。

プロジェクトページには、拙いけれど熱意がほとばしる長い文章で、ハンドメイド雑貨店を出店するにあたっての思いが綴られていた。

また、「個人の支援者様」「ご支援くださる企業様」と、個人と法人それぞれに向けて書かれたリターンの説明文も、練りに練ったと思われる書き方だった。

 

私は里美さんと親しくはなかったけれど、週末に開催されるあちこちのイベントで頻繁に顔を合わせる間柄であったので、5000円のリターンを選択した。リターンの内容は覚えていないが、大した中身ではなかったはずだ。

週末の度に顔を見て挨拶を交わす相手であり、SNSでも交流があることを考えると、1000円や3000円しか出さないのはケチな気がして気が引けた。今後のお付き合いを考えての5000円だった。それに、純粋に彼女のチャレンジを応援したい気持ちもなかったわけではない。

 

他のハンドメイド仲間や飲食関係の知人たちも同様にするものとばかり考えていたが、私の予想は裏切られた。

 

プロジェクトの発表から1週間が経ち、2週間が過ぎても、支援者はほとんど現れず、3万円しか集まっていなかったのだ。そのうちの5000円は、さほど親しくもない私からで、しかも私が一番の高額支援者だった。

たった3万円しか集まらない状態で、そのプロジェクトは膠着してしまった。

 

その様子に、私は驚き戸惑いを覚えた。

里美さんはハンドメイド仲間やイベント関係者との付き合いを大切にする作家であり、顔が広かった。

にも関わらず、彼女を支援しようという人間は数えるほどもいなかったのだ。

 

里美さんがいくら呼び掛けても全くお金が集まらない様子を見て、私は次第にしらけた気持ちになり、彼女を見る目も変わってしまった。

浅い付き合いでは分からなかったが、クラウドファンディングによって里美さんが仲間内で好かれておらず、作品のファンも居ないことが可視化されてしまったのだ。

それまでは大事に付き合わないといけない人物だと考えていたのが、とるに足らない人間に見えるようになった。

 

結局、そのプロジェクトは募集終了間際のかけこみ支援で総額が2万円増えたものの、プロジェクトは5万円で終了した。あれだけ熱い思いを綴って募集をかけ、仲間やファンと信じる人たちが見ているはずのFacebookやブログで「支援お願いします」と繰り返し呼び掛けたのに、目標達成率が10%未満で終わったのだ。

私なら恥ずかしくてもうイベントには出られない惨事だった。

 

クラウドファンディングで資金を集めようとしたために赤っ恥を書く羽目になった知り合いは、里美さんだけではなかった。

 

盛りに盛った自分とキラキラに装飾した交友関係を投稿するのに余念がなかった知人のキラキラ起業女子は、大規模なイベントの開催費用をクラウドファンディングで集めようとし、50万円と控えめな目標金額を設定したが、4万円も集めることができずに終わった。

その結果、SNSでアピールしていた華やかな活躍ぶりが全てハリボテであったことが露呈し、物笑いの種になった上、廃業に追い込まれた。

 

知人の中には、プロジェクトを成功させたにも関わらず、信用を無くすという結果に終わった者もいる。

彼女は留学生として来日した中国人女性で、やはりアクセサリーを作るなどして作家活動をしていたが、ハンドメイド作家向けの情報誌を出版して稼ごうと思いつき、創刊号準備のため10万円の支援を募った。

義理のある相手だったので私も1000円だけ支援をしたが、プロジェクトの成功後に送られてきた薄い小冊子は笑ってしまうほどお粗末な出来で、続刊の発行は無かった。

 

雑誌編集の経験がない出版の素人が低予算で作ったのだから、クオリティが低くて当たり前なのだが、他人からお金を集めて作った以上は厳しい目で評価される。信用をなくした彼女もまた、活動をやめてしまった。

 

「クラウドファンディングは打ち出の小槌ではない。名も無い一般人がお金を集められる仕組みではないよ」

 

と、教えてくれたのは、あるクラウドファンディングのプラットフォームを運営している会社の最高財務責任者(CFO)だった。その男性の話を聞いて、私は初めてクラウドファンディングがどういうものなのかを詳しく知った。

彼が教えてくれるまでは、私も現実を知らず、クラウドファンディングに対して過剰な期待を持っていた。

「資金が全く無くてもアイディアさえあれば事業をスタートできる仕組み」

だと、かつてビジネス書のカリスマと言われたベストセラー作家が書いた本で読んでいたからだ。

 

その本が出版された2014年ごろはまだ世に出たばかりのサービスであったため、クラウドファンディングについて詳しく知る人がろくにいなかったせいか、色んな人が適当なことを言ったり書いたりしていた。

 

よく知りもしないくせに「新しい世界の到来」だと語っていた著者によると、これからの社会では個人が店を出したいと思い立った時、貯金する必要もないし、銀行から借入をする必要もない。

誰でもクラウドファンディングでお金を集めて、すぐにでも事業が始められる。社会を根底から変える画期的なサービスだということだった。

 

しかし、実際にサービスを運営している会社のCFOは、そんな安易なものではないと言う。

 

「個人がクラウドファンディングで活動資金を集める場合は、知名度の高い者が有利。例えば、全国に不特定多数の熱心なファンがいる芸能人なら大金を集めることができるけど、無名の一般人にはまず不可能。

なぜなら、クラウドファンディングは見知らぬ赤の他人がお金をくれるシステムではないから。

 

一般人のプロジェクトの支援者は、身近な人たちや知り合いなんだ。まずは家族、親族、友人に支援のお願いをして、あとは知人を訪ね歩いて頼みこみ、さらに地元で支援をお願いするビラを配るなど、相当な努力をしなければお金は集まらない」

 

まるでドブ板選挙活動か、金策に奔走する零細企業経営者のようだ。

たかだか数十万円のためにそこまでしなくちゃならないのなら、働いて貯金したり、金融機関から借金したり、助成金を申請する方がマシに思える。

 

「以前あっという間に200万円を集めた中年アマチュアバンドの例がニュースになり、話題になったことがあったけど、例えアマチュアと言えども彼らには20年の長期にわたって活動してきた実績があって、その実績があるから信用があり、熱心なファンも居たんだよ。

何の実績もない、ファンも顧客も居ない一般人が簡単に真似できるわけじゃないんだ」

 

CFOの話を聞けば聞くほど、膨らんでいた期待は萎んでいった。けれど、よく考えてみれば常識的な話だった。

私だって見ず知らずの他人のプロジェクトに投げ銭しようとは思わない。正直に言えば、見知った相手のプロジェクトでもお金を出すのには躊躇を感じる。

 

「クラウドファンディングは、災害に遭った被災地の自治体が支援を求めたり、企業が商品開発前に潜在需要を知る目的で利用するには良い仕組みだと思う。けれど、個人レベルのプロジェクトでは、著名人でない限り多くの他人からお金を集めるのは難しいんだよ」

 

聞かされた身も蓋もない話に私の夢は打ち砕かれたが、代わりに現実を救ってもらったのだろう。

その頃の私はある計画をしていて、資金はクラウドファンディングで集めれば良いと簡単に考えていた。もしもクラウドファンディングを誤解したままチャレンジしていれば、私も里美さんのように恥ずかしくていたたまれない状況に陥ったり、わずかばかりの信用を更に失くしてしまったに違いない。

 

それから7年が経ち、クラウドファンディングの市場は順調に成長しており、広く世間に認知されたように思う。特に昨年からはコロナの影響により、利用者が急増したのではないだろうか。

 

今もネットを見ていると、あらゆるところで支援を求める呼び掛けがなされているが、無名の一般人が個人的なプロジェクトにお金を集める難しさに大きな変化はないように思う。

サービスを上手に利用するためには、先ずは身近な人たちから応援してもらえるよう地道な生き方をすることだ。

 


 

【著者】マダムユキ

ネットウォッチャー。

最高月間PV40万のブログ「Flat 9 〜マダムユキの部屋」管理人。

リンク:http://flat9.blog.jp/


 

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