恐喝の罪名の裁判を傍聴しました。傍聴席に座ると、被告は若い男性で、身なりも黒いスーツとキッチリしていて、表情も真剣。誰かを恐喝する人には見えません。
被告の経歴が読み上げられます。高校卒業後、職を転々とし、犯行時は土木関係の仕事をしていました。
住居は共犯者AとBと本人の3人で同居ということです。
Aは男性。被告の職場での先輩で、すこしだけ年上の友人です。「Aが怖いとかは?」と聞かれ「いや、ないです」とのこと。
Bは女性であり、3人が住んでいた家の名義人です。AとBは交際していました。ここに被告が転がり込んできたのでした。

3人は誰からともなく「お金稼ぎたいよね」という話になります。
酒を飲みながら。
仕事の愚痴を吐き出しつつ、辞めたい、けどお金が無い、お金があれば辞められるのに・・・というどこにでもある定番の話題です。
ここでBがとあるアイデアを出しました。「昔援助交際していた」と言い出したのです。援助交際こそ手っ取り早くお金を稼ぐ手段!とBはそう思っていたのかもしれません。
もちろん、BはAと付きあっていますし、Aがそんなことをさせるはずはありません。ですがAはこのアイデアに飛びつきました。
「どうすれば、犯罪にならないでいけるのか?」と考えたのです。そこで美人局をやることにしたのですが「ヤル前にAと被告で駆けつけて、脅せばいいんじゃない?」との結論に達しました。
Bがマッチングアプリで男を探す→ヤル前にAと被告で駆けつける→示談金を引き出させる
そして
・暴力を振るわない
・切れない
・イラつかない
・金を出せと言わない
を守れば大丈夫だと。
傍聴していて、そんなので上手くいくの?と思ってしまいましたが、不幸にも上手くいってしまいました。
1件目、夜のコンビニの駐車場で被害者と接触します。
「示談金の相場は50万だけど、そんなに取るつもりはないから」
とやさしく交渉すると、被害者は22万円も支払ってしまいました。
被告たちは味をしめて、この被害者に「今から家に行くから」など脅しをかけ、さらに20万円ゲットしています。さらに「毎月3万払え」など無茶な脅しをかけました。
被告たちが最初に決めていた、犯罪にならない方法である「お金を払えと言わない」は早速破られてしまいます。被害者も恐怖を感じていましたが、限界だったのでしょう。警察に相談し、被告たちは逮捕されます。
後に被告から被害者に示談金を渡す話がありましたが、被害者はこれを拒否。ヤル前とはいえ、Bを買春しようとしたのは事実ですからね。被害者も罪の意識があるので、美人局というのはバレにくい犯罪なのだと思いました。
キッツー!母から言われたアノ一言
そして裁判では、弁護士による証人尋問が始まりました。
証人は被告の母親です。
「事件前に被告と交流はありましたか?」
「めったになくて、たまに電話をするぐらいです」
「事件を知ってどう思いました?」
「怒り、くやしさ、何をしているんだ!そんな風に育てた覚えはない!と・・」
キツイ一言です。そんな風に育てた覚えはない!ってなかなか聞きませんよね。
家族ドラマの1シーンがリアルで行われているのでした。
これを受けて、検察も証人に質問を始めました。
「被告が友人宅を転々としているのは知っていました?」
「知りませんでした」
「仕事を休んでいたことは?」
「電話の折り返しが早いので、なんとなく気づいていました」
「お金の援助は?」
「今、27歳、20歳の時から家を出ていて、ガソリン代5000円を渡すとかたまにありました」
「今被告は妹の家に住んでいる、なぜ母親と住まないの?」
「過去、職を転々としていることで父親と折り合いが悪くなっているので・・」
裁判では家族関係が重視されます。被告は父親とは折り合いが悪いとのことですが、見放されているわけではなさそうです。問題は友人関係にありそうでした。
裁判官もその点について、証人(母親)に質問します。
「友人関係が気になるのですが」
「私の知っているのは学生時代の友人で、その時は気になるほどではありませんでした」
環境や人間関係が人を作ると裁判所は考えています。
その意味でAは最悪の人物だったのかもしれません。
いっそ普通に働いた方が楽なのでは?と思える美人局
被告人質問の時間になり、被告人が証言台に向かいます。
黒スーツでちょっとダルそうな口調でした。
まず始めに、弁護士から被告に質問が為されます。
「合計何回やった?」
「だいたい、10回ぐらい」
「提案したのは?」
「Aだと記憶してます」
「動機ってなんだったのかな?」
「お金が欲しかったから」
「捕まるとは?」
「甘く考えていました」
「Aと仕事の分担はどうなってた?」
「どちらかが接触して、どちらかが運転という感じでした、最初の3日目までは交互でしたが、それからはAが接触して自分が運転という役割です」
質問が検事に変わります。
「途中でやめようとは?」
「お金も取れないことが多かったし、被害者との待ち合わせの時に刑事がいたこともあって、ヤバイと思って・・でも頻度は減ったけどやめられなかった」
「頻度ってどれぐらい?」
「週で言うと、多い時に4日とか」
「現金得たのは2回だけ?」
「そうですね」
「なんで?」
「後日になって、連絡取れなくなったりとか、お金の話にならなかったり・・」
週4で美人局って働くなあ・・・と思いました。ですが、そんなに真面目に美人局をしても、あまり稼げなかったようです。
被告はマッチングアプリで被害者と連絡をとっていたので、ブロックされたり、アカウントを消されてしまえばそれまでだったようです。

得たお金は3等分していましたが、2回で1人10万ちょっとだけです。それぐらいだったら真面目に働いた方がいいのでは・・・と思ってしまいます。
土木関係の仕事で月25万ほどの給料をもらっていた被告。それに対して、美人局は10回やって、成功したのは2回だけ。危ない橋を渡っている自覚があったのにやめなかったのはどうして?と裁判官に聞かれてこう答えています。
「軽いノリでした」
マッチングアプリは便利な機能ですが、被告たちのように軽いノリで美人局が出来てしまう側面もあります。
そこらへん、使う時は気を付けなければと思いました。
まとめ:軽いノリと気持ちで
1人目の被害者がこの事件のキーパーソンだったと感じました。被告が10回も美人局を続けたのも、この時の甘い汁が忘れられなかったからでしょう。そして被告が捕まったのも、この被害者を脅し続けたからです。
軽いノリと気持ちで人を舐めてはいけないのだと思います。どーせ買春しているヤツなんだからやっちまえ!と攻撃的になると、カウンターパンチを喰らうことになります。
それに美人局という仕事を舐めてもいけません。いや、やってはいけない犯罪なのですが、やはり脅しにはそれなりのテクニックがあるのだと思いました。どんな仕事にも本気でやっている人には勝てません。プロのやくざだったら、もっと上手く脅すんでしょうね。
そんな世界とは無縁でいたいものです。結局、真面目に働くのが一番儲かるんじゃないかと感じた裁判でした。
【著者プロフィール】
ライター名 : 野澤 知克
自営業(飲食店)を営みながら、ふとしたきっかけで裁判傍聴にハマった傍聴ライター。
現在は兼業ライターとして、介護の仕事をしながら裁判所に通う毎日。
事件を通して人間の「生き方」と向き合ってます。
Twitter:@hatinoyado

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