過保護な親が、男性をお金扱いする女性を育てる

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結婚に愛よりもカネが期待される時代

(出典)国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査・独身者調査」
〔結婚の利点の内容・2015年〕
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450431&tstat=000001105115&cycle=0&tclass1=000001105117&stat_infid=000031611134&result_page=1
〔結婚の利点の内容・2010年〕
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450431&tstat=000001051682&cycle=0&tclass1=000001052418&stat_infid=000014891021&cycle_facet=cycle
〔結婚の利点の内容・2005年〕
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450431&tstat=000001037976&cycle=0&tclass1=000001037978&stat_infid=000007740040&cycle_facet=cycle
〔結婚の利点の内容・2002年〕
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450431&tstat=000001037973&cycle=0&tclass1=000001037975&stat_infid=000007739815&cycle_facet=cycle
〔結婚の利点の内容・1997年〕
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450431&tstat=000001037969&cycle=0&tclass1=000001037972&stat_infid=000007739610&cycle_facet=cycle
「e-Stat 政府統計の総合窓口・社会保障・人口問題基本調査」HP」


近年、女性が結婚の利点だと思うものが愛よりもお金に変わってきています。
国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査・独身者調査」では、未婚者(18歳~34歳)に「結婚の利点だと思うもの」をきいており、男女ともに精神的利点(「精神的な安らぎの場が得られる」「現在愛情を感じている人と暮らせる」)が減少し、「自分の子どもや家族をもてる」という利点が増加しました。


特に女性についてはそれに加え「親を安心させたり周囲の期待にこたえられる」「経済的に余裕がもてる」という利点が男性よりも増加しており、「結婚=「お金」「体裁」を得るもの」として捉えられるようになってきました。


多くの男性のみなさんにとっては、このような女性の変化については、苦々しく思っていらっしゃるのではないでしょうか。


労働者の賃金が伸び悩み、女性の社会的地位向上も進んだ昨今、女性の求めるような経済力を得ることはなかなか難しいからです。


そこで本記事では「女性の、男性にお金を求める傾向」について深く理解し、どう向き合えばよいのかについて論じていきたいと思います。

プラグマ(実利的な愛)とは

恋愛にお金を求める傾向は学問的にどのように論じられているのでしょうか。
心理学では、恋愛のタイプを分類する目的の研究は複数ありますが、ジョン・アラン・リーが「the colors of love」(1973)で提唱した「恋愛色彩理論」が多く用いられています。


リーは、恋愛についての文献の分析や面接調査をもとにして、恋愛のタイプを、マニア(狂気的な愛)、エロス(美への愛)、アガペ(愛他的な愛)、ストルゲ(友愛的な愛)、プラグマ(実利的な愛)、ルダス(遊びの愛)の6つに分類しました。
恋愛にお金を求める傾向はそのうち、プラグマ(実利的な愛)に該当すると考えられます。


プラグマ(実利的な愛)は以下のような質問項目で測定されます。

プラグマ(実利的な愛)を測定する質問

・私は、交際相手と深くかかわる前に、その人がどんな人になるだろうかとよく考える
・恋人を選ぶとき、その人は将来性があるだろうかと考えてみる
・私は恋人を選ぶ前に、自分の人生を慎重に計画しようとする
・恋人を選ぶにときには、その人が私の経歴にどう影響するかも考える
・恋人を選ぶとき、その人の学歴や育ちが、私と釣り合っているかどうかを考える
・恋人を選ぶとき、その人との付き合いは、私の格を下げないかと考える
・恋人を選ぶときには、その人が私の家族にどう受け取られるかを一番に考える
・恋人を選ぶのに重要な要素は、その人がよい親になるかどうかだ
・恋人を選ぶときには、その人に経済力があるかどうかを考える
(引用)松井豊「恋ごころの科学」(サイエンス社、1993年)「Lee’s Love Types Scale 2nd version」より


以上の質問群を要約するとプラグマ(実利的な愛)は以下の①~⑤の特徴にまとめられると思います。


①自分の人生設計をしっかりしている
②交際相手の将来性をみている
③交際相手に対する他人からの評価を気にしている
④交際相手と自分との釣り合いを気にしている。
⑤交際相手を子育ての手段として考えている


前述した、近年、女性が結婚の利点だと思うものとして増加した項目、「親を安心させたり周囲の期待にこたえられる」(→②と合致)「経済的に余裕がもてる」(→⑤と合致)と内容的に合致しています。

「プラグマ型女性」の特徴

 プラグマ型女性の特徴をさらに詳しくみるために、プラグマ型に関連する質問項目が他のどのような特徴の質問項目と関連しているのかを調べてみました。


筆者が調査会社にインターネット調査を外注した「生活と価値観についての調査」(全国の20代未婚女性200名対象、2019年7月実施)には「結婚する相手を決めるときは「相手の経済力」を重視する」というプラグマ型に関連する質問項目がありましたので、他の質問項目との相関係数を算出してみました。


相関係数とは、2つの質問項目の間にある関係の強弱を測る指標で、−1~1の間の値をとります。
正の相関が強いほど1、負の相関が強いほど-1、相関がないほど0に近づくというものです。


「結婚相手の経済力を重視する」と相関がある(有意水準5%を満たす)質問項目は以下の通りです。

(出典)すもも「生活と価値観についての調査」(2019年)

内容をもとに分類すると「親と親密」「精神的脆弱性」「リアルが充実」「保守的ジェンダー観」の4つに分けられました。


この分類から20代未婚女性の「結婚相手の経済力を重視する」という意識の原因を解釈すると「過保護な親に育てられ、精神的に打たれ弱く、経済力のある”強い男性”を望む」というメカニズムがあるのではないかと推測できます。

親の過保護と「プラグマ型女性」

親の関わり方とプラグマ型の関連を、さらに詳しくみていきましょう。
心理学では過去の親の養育態度のタイプを分類するためにPBI(Parental Bonding Instrument)という尺度をよく用います。


PBIでは親の養育態度を「養護(care)」と「過保護(over-protection)」の2つの軸でみていきます。


「養護(care)」は「愛着」「温かさ」「共感」「親密さ」などに関わるものです。「過保護(over-protection)」は「操縦」「侵入」「過剰接触」「幼児扱い」「自立的行動の妨害」などに関わるものです。


今回は「養護(care)」の代表項目として「私とあれこれ話し合うのが楽しみだった」という質問項目を、「過保護(over-protection)」の代表項目として「私には過保護だった」という質問項目を用いて、それぞれの該当有無で四象限に区分したものを使って「結婚相手の経済力を重視する」の比率をみてみました。


(参考)小川雅美「PBI(Parental Bonding Instrument)日本版の信頼性、妥当性に関する研究」(東京女子医科大学博士論文、1994年)
https://ci.nii.ac.jp/naid/500000125624(国立情報学研究所(NII)「CiNii」HP)(国立情報学研究所(NII)「CiNii」HP)

(出典)すもも「生活と価値観についての調査」(2019年)


まずは、母親と父親の過去の養育態度の分布を確認します。母親では「養護あり×過保護あり」、父親では「養護なし×過保護なし」が最も高く、20代未婚女性においては父親よりも母親とのつながりが強い傾向があります。


では、この区分によって「結婚相手の経済力を重視する」の比率をみてみると、母親・父親の両方において「過保護あり」のケースで「結婚相手の経済力を重視する」が高いです。


「過保護なし」のケースでみると、母親では「養護あり」で「結婚相手の経済力を重視する」が約20%高まりますが、父親ではほとんど変わりません。

(出典)すもも「生活と価値観についての調査」(2019年)


「結婚相手の経済力を重視する」が7割を超えるのは「過保護あり」の条件だけである点を踏まえると「プラグマ型女性」の増加の背景には親の過保護が大きく関わっていることが推測できます。

母親の子供への関わりが増えている

近年、母親と子供の関わりは強まっています。
NHK「中学生・高校生の生活と意識調査」によると近年「悩みごとや心配ごとの主な相談相手」として「友達」が減少して「お母さん」が増加しています。*1

NHK「中学生・高校生の生活と意識調査・生徒調査」


また、同調査では父母調査も実施しており、子供との関係について「つい、面倒をみてしまう」と回答する比率は、母親において2002年から2012年にかけて7.0pt増加しています。

NHK「中学生・高校生の生活と意識調査・父母調査」


時代の変化として、「母親の過保護化」が進んでいます。

「プラグマ型女性」とどう向き合うか

さて、以上をまとめますと、近年、結婚にお金を期待するタイプの女性が増えました。


このような、恋愛に対して実利的なものを期待するタイプはリーの「恋愛色彩理論」の分類ではプラグマ(実利的な愛)に分類されました。


データによる相関分析により、プラグマ型女性は「過保護な親に育てられ、精神的に打たれ弱く、経済力のある”強い男性”を望んでいる」という解釈の可能性が示唆されました。


さらにPBIの考え方によって細かく分析してみても、親の過保護と結婚相手に経済力を重視することの関連性が高いことが確認できました。


結婚にお金を期待するタイプの女性が増えた同時期に、母親の過保護化も進んだという連動性からも「母親の過保護な養育態度が原因でプラグマ型女性が育つ」という因果関係の信憑性がさらに高まりました。


男性とすればこのようなプラグマ型女性とどう向き合えばよいでしょうか。
そもそもこのようなタイプの女性を避けたいのであればリーの<プラグマ型を測定する質問>を参考にして「仕事についてやたら詳しく聞いてくる女性」「将来性についてまで聞いてくる女性」「出産や子育てなど人生計画がやたら綿密な女性」に注意すればよいでしょう。


しかし近年プラグマ型の女性が多くなっている以上、避けるばかりではうまくいかないかもしれません。
そういう場合は恋愛の過程の中で「今はそんな時代ではない」という価値観をしっかり伝えていく必要があるのではないでしょうか。


もちろん男性側も、お金以外の家事・育児などに対する姿勢を見せていく必要があります。
ぜひパートナー選びと、自らの立ち居振る舞いについて、考える切っ掛けにして下さい。


*1
NHK中学生・高校生の生活と意識調査2012 失われた20年が生んだ“幸せ”な十代 より

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すもも
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Photo by freestocks on Unsplash

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